ライターのkururiと申します。
7年間ボランティア活動のために海外に移住し、現在は海外で学んだことを糧に、読者に役立つ情報を発信できるようライターとして修業しています!
海外滞在時は中南米の発展途上国であるドミニカ共和国という国に住んでいました。
カリブ海とラテン気質の陽気な人々に囲まれながら、渡航前は想像できなかった「なぜこんな事が起きるの?」という疑問ととまどいに満ちた、冒険のような日々を過ごしていました。
今回は私が海外で経験した自然災害について、そしてそこから感じた
「やっぱり日本ってすごい」
「海外の防災対策でこれが役立った」
なんてお話をまとめてみました。
この記事の目次
行くまで知らなかった、ハリケーンの怖さ
海外についてのニュースを見ていると、
「ハリケーンで街が壊滅した」
なんて報道がされることがあります。
日本も台風の影響を受けやすい国ですが、ハリケーンは何となく台風よりも怖いイメージですよね。
実際に私が滞在中に起きたハリケーンも、かなり大きい規模のもので恐怖を感じました。
そもそも「台風」と「ハリケーン」は何が違うのか
とっても基本的な質問ですが、台風とハリケーンって何が違うのでしょうか?
私は何となく、
なんて思っていました。
調べてみると、台風もハリケーンも同じ熱帯低気圧であり、違いは「発生地」と「風速」だそうです。
日本付近の北太平洋(東経180度以西)や南シナ海で発生したものが台風、大西洋と太平洋(東経180度以東)で発生したものがハリケーンと呼ばれます。
同じく熱帯低気圧で、インド洋やオーストラリア近海で発生したものはサイクロンと呼ばれるそうです。(※1)
ではなぜハリケーンってあんなに恐ろしいイメージがあるのでしょう?^^;
それは、風速の違いのようです。
台風の場合は最大風速が17m/sで「台風発生」となるのに対し、ハリケーンは最大風速が33m/s以上にならないとハリケーンとして認定されません。
ハリケーンの「カテゴリー1」は台風の「クラス4」に相当するので、ハリケーンとして認定された時点でかなり規模が大きいことがわかりますね。
豆知識:ハリケーンの名前のつけ方
日本の台風はその年に生じた順番で「1号」「2号」…と名前が付けられていきます。
しかし、ハリケーンには人名がついているのを不思議に思われませんか?
私はニュースを見るたびに
なんて思っていました。
ですが実は、ハリケーンの名前のつけ方にはしっかりとした規則があるようです。
NATIONAL HURRICANE CENTERのページを見ると、年ごとのアルファベット順の名前表が用意されています。
毎年決められた表に沿って、Aから順に名前が使われるのです。
memo
ちなみにこの名前表を巡っては、
「女性の名前ばかり使うと女性差別的だ」
「黒人の名前だけを使うと人種差別に繋がる」
なんて論争が繰り広げられ、改訂が繰り返されてきたようです。
自由の国アメリカらしい事例ですよね。
最大警戒レベルに達した「ハリケーン・マリア」
私が滞在していた2017年、ハリケーン・マリアが発生し、国中が警戒モードになりました。
最終的にはドミニカ共和国は直撃を免れ事なきを得たのですが、隣国のプエルトリコでは台風が直撃し甚大な被害を及ぼし、4,600人近くの死者が出たという試算もされています。(※2)
あれが直撃していたら、私も停電・食料不足・クーデターなどに巻き込まれていたと思うとぞっとします。
そんな中で感じたのは、
「日本で防災対策に慣れていて良かった」
ということでした。
基本的に「自分の身は自分で守る」
ハリケーン発生時に強く感じたのは
という使命感でした。
ニュースでは連日
「ハリケーンが発生しました」
「カテゴリー2になりました。○日に上陸です」
「カテゴリー4になりました。家を補強してください」
なんて報道がひっきりなしにされていて、異様な雰囲気になっていたのを覚えています。
通常では「災害に前もって備える」という感覚を持つ人が少ない印象でしたが、ハリケーン・マリアの前にはハリケーン・イルマという同じく巨大なハリケーンが来ていたため、通常時よりも防災に対する関心が高まっていました。
スーパーで缶詰が売り切れていたり、窓を補強する姿が見られ、記憶に残っています。
ラジオやネットニュースで注意が喚起されていましたが、避難場所等の情報が流されることはありませんでした。
発展途上国のため行政が防災のために予算を組むのは難しいのか、地方自治体が災害発生時に施設を開放する、という取り組みはされていなかったと思います。
まして日本のように自治体ごとに非常食を用意しておく、なんて高度な取り決めはあるはずもありません。
災害が発生する前に、配給に頼らずに数日間生活するだけの用意をしなければ、と決意しました。
▼日本で台風に備える場合の基本は、こちらの記事をご確認ください!
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「非常持ち出し袋」の大切さ
自分の身は自分で守らなければ、と思ったときに感じたのは、日本が災害大国であると同時に防災対策に関してかなり進んだ国であるということです。
特に東日本大震災以後の首都圏の防災対策の進化は、素晴らしいと感じています。
2019年は自然災害が多発し、千葉で台風が相次いだときには避難所でのトラブル、行政の対応への批判がニュースになっていました。
しかし私が住んでいた海外ではもし災害が起きた場合、避難所の開放や寝具の提供、食料の配給は皆無だと思います。
そう思うと、日本の行政機関の防災対策の素晴らしさを感じ、それに感謝しなくては…という思いが深まりました。
ついつい
「なんでこんなに支援が行き渡らないの?」
なんて疑問を抱いてしまいそうになりますが、支援があるのが当たり前と思ってはいけないのかもしれない…なんて考えるようになりました。
日本では個人の防災の意識が高いため、一家にひとつは非常持ち出し袋があるのが当たり前と思っていましたが、海外滞在中に一般の方のお宅で非常持ち出し袋を見たことはありません^^;
持ち出し袋が販売されているのも見たことがないですし、それが話題になることもほとんどありませんでした。
そしてそのとき感じたのが、
ということです。
日本で非常持ち出し袋を作る経験をしてなかったら、慣れない海外の地ですぐに袋を作ることはできなかったでしょう。
▼おすすめの非常持ち出し袋の中身はこちら
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海外で「非常持ち出し袋」に入れるべきものとは
海外で非常持ち出し袋を作るにあたり、アメリカの赤十字社が出している「サバイバルキット」のページを参考にしました。
万が一、旅行先でハリケーンが発生することが予想できる場合、また滞在中に災害が発生した場合などに参考にして頂ければ嬉しいです。
必要なもの(筆者訳)
- 水 (3日分:避難用 2週間分:備蓄用)
- 食料 (3日分:避難用 2週間分:備蓄用)
- 懐中電灯
- ラジオ
- バッテリー
- 救急キット
- 薬
- アーミーナイフ(十徳ナイフ)
- 衛生用品
- 重要書類のコピー
- 携帯電話と充電器
- 緊急連絡先情報
- 現金
- 毛布
- 地図
基本的には日本で用意するものと同じですが、海外だからこそより重要度が高いアイテムがあります。
例えば重要書類のコピーと、緊急連絡先情報です。
海外に滞在している場合、一番避けたいのがパスポートやクレジットカード等の紛失です。
これら重要書類が紛失した場合、再発行までかなり時間がかかります。
災害によりやむを得ず紛失した場合でも、コピーがあれば比較的スムーズに再発行が可能でしょう。
自分の滞在している国の大使館の連絡先、滞在している国の友人等の連絡先、日本の家族の連絡先なども必須です。
被災時に日本の家族と連絡を取るのが難しい場合でも、大使館に無事である連絡をしておけば、家族が大使館に連絡をしたときに無事でいることを伝えてもらえます。
日本にすぐに電話したいならば、skype等を通して日本の電話番号へ発信することもできます。
それならば、被災後の混線も関係なく発信ができるでしょう。
最近はSNSが発達していますので、家族に「LINE Out(旧:LINE電話)」等SNSツールを利用した電話の使用法を覚えてもらっておくと良いかもしれませんね。
海外からでも無料でかけることができるツールならば、安心して電話ができるでしょう。
また緊急キットや衛生用品、薬等もぜひ揃えておきたいものです。
発展途上国に滞在している場合、路上など公共の場所は衛生的に危険な場合が多いです。
まして被災時には水事情が悪くなるため、衛生状態は悪化すると考えられます。
自分の身を守るために、消毒用のアルコールジェルやマスク、使い捨て手袋などの準備が必要です。
さらに海外の薬は強すぎて体に合わない可能性もあります。
自分がいつも使っている薬や、抗生物質など必要になりそうな薬の用意は、絶対に必要です。
やっぱり頼れるのは大使館!
海外で被災するかも、と思ったときに不安になったのは
「誰に頼ればいいのだろう」
という点でした。
「外国人」は援助を受ける面で弱い立場になりますので、大使館の援助が受けられるようにしっかり対策をしておく必要があります。
実際私も、大使館に滞在者登録をしておいてよかった、と思いました。
大使館への滞在者登録は必須
大使館は随時その国に何名の日本人滞在者がいるのかを把握し、管理しています。
そのため、長期滞在する場合には大使館に在留届を提出することが勧められています。
実際私も登録していましたが、登録者には現地の危険情報やイベント情報、さらに次のような災害対策のメールも送られてきました。
対策は個人に任されているわけですが、日本語でこのような情報が得られること、私が滞在していることが知られていることにかなり安心したのを覚えています。
さらにハリケーン発生後にはこんなメールがありました。
私はハリケーン発生後には予想通り電気が使えなくなったのでメールに気づきませんでしたが、その際には登録している電話番号に安否確認のための電話があり、
「さすが大使館!」
と感心してしまいました。
改めて在留届けを出す大切さを認識させられました。
在留届は長期滞在者向けのものですが、短期滞在の場合には「たびレジ」という制度があります。
たびレジは外務省が提供しているサービスです。
登録することで現地の最新安全情報や、被災時の被害情報、安否確認や支援の情報などを受けることができます。
短期滞在中に事件やテロが発生することがあり得る時代ですし、そうした時には外出していいのか、家に留まるのは安全なのか、などの判断がつきにくいものです。
緊急時に外務省からの指示を簡単に受け取ることができるサービスなので、ぜひ登録しておきましょう。
まとめ
海外にいると、日本のような万全の防災対策は望めません。
自分で自分の身を守る必要があるのです。
ですがその点で、私達日本人は恵まれていると言えるでしょう。
子どもの頃から防災訓練を繰り返し、ある意味で防災のエリート教育を受けていると言えます!
その防災の意識を活用し、海外に滞在するときにも安全に気を配りたいものですね。
同時に、日本で受ける行政の援助に感謝したいと深く思います。
家族の健康を守るために、ひとりひとりの防災意識が高まることを願っています。