地震による命の危機として最初に思い浮かぶのは、建物の倒壊でしょう。
ですが、その前に命の危機に直面することがあります。
それが「家具の転倒や移動」です。
特に、子供がいる場合家具の転倒だけでも大ケガをしたり、パニックで避難が遅れるリスクが高くなります。
ですが、家具の転倒や移動を防止すれば救える命が増え、ケガをする確率も格段に下がります。
この記事では、阪神淡路大震災で被災した私が家具の転倒によるリスクについてお話したのち、それを踏まえた正しい家具の転倒防止方法を解説していきます。
※この記事では、「家具の固定」についてピックアップしています。 室内の地震対策でするべきことを全体的に把握したい方は、家具以外も含めた室内対策についての記事もあわせてご覧ください!
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対策の前に知っておこう!家具はどれくらいの地震で転倒するのか
気象庁が発表している資料によると、「震度5強」でタンスなどの重い家具が倒れる危険性があるとされています。(※1)
あくまでこれは戸建住宅での話で、マンションなどの高層階では揺れ幅が大きいため、5強未満でも家具が転倒する危険があります。
大きな地震では室内のものが右から左へ飛び交う状態となり、その中に家具や家電も混じるわけですから恐怖でしかありません。
実際、私は神戸で震度7を経験しましたが、昔の重いブラウン管テレビ(37型)がコンセントを引き抜いて部屋の端から端に飛びました。
私の家に限らず、阪神淡路大震災では約6割の部屋で家具が転倒したというデータもあります。(※2)
震度7なんてそうそうない話だと思っている方もいるかもしれませんが、阪神淡路大震災以後も、日本全国で震度7を超える地震は何度も起きているのです。
それでは、家具が転倒するとどのようなことが起こるのでしょうか。
対策をしていなければこうなる!地震による家具の転倒で起こること
大きく分けると、以下の3つの危険が考えられます。
- 家具にぶつかってケガをする
- 逃げ道がふさがれ避難が遅れる
- 火気器具にぶつかり火災が起きる
家具の転倒で一番怖いのが、ケガということは承知だと思います。
また、倒れた家具の場所によっては避難が遅れたり、閉じ込められてしまうこともあります。
震度7など強い揺れに見舞われた際は、家具の配置に関係なくテレビや電子レンジが吹き飛ぶという通常では考えられないことも起こりますので、扉から遠い場所の家具もしっかり固定しておかなければなりません。
それだけではなく、転倒した家具が火気器具の上に落下したり倒れ込んでしまうと火災が発生する可能性もあります。
特に暖房器具を使う冬場の地震は火災発生のリスクが高くなると言えるでしょう。
また、料理中に地震が発生した時、電子レンジや食器棚などキッチン周りにある家具が倒れてくると火災に繋がります。
地震対策をしていない家具の影響でどれくらいの人がケガしているのか
地震による家具の転倒はとても危険であるということがわかりました。
では、家具の影響でどれくらいの人が負傷しているのでしょうか。
以下のデータは、その地震でケガをした人の中で、原因が家具類だった人の割合です。
近年(〜2016年頃)の地震でも約30~50%と、かなりの人が家具によってケガをしていることがわかります。
熊本地震(高層マンション)……40.0%
熊本地震(一般住宅)……29.2%
岩手・宮城内陸地震……44.6%
新潟県中越沖地震……40.7%
能登半島地震……29.4%
福岡県西方沖地震……36.0%
新潟県中越地震……41.2%
十勝沖地震……26.4%
宮城県北部地震……49.4%出典:東京消防庁「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」(※3)
たとえ家が丈夫な耐震構造であっても、家具でケガをする可能性は十分ありますので、油断できません。
地震が起きると対策していない家具はどうなる?
地震による家具の転倒で一体何が起こるのか、どれくらいの人がケガをしているのかなどがわかりました。
では、実際に地震が起きると家具はどのような状態になるのでしょうか。
それぞれの家具に合わない転倒防止対策をしても意味がないので、まずは家具の揺れ方を把握していきましょう。
家具がガタガタと揺れる「ロッキング」が起こり上に置いているものが落ちてくる
ロッキングとは、家具がガタガタと揺れる現象のことです。
家具が倒れる震度は5強ですが、ロッキングは震度4などでも起こります。
ここで注意が必要なのは「倒れないくらいの揺れなら大丈夫」ではないということです。
ロッキングから考えられるリスクは以下の通りです。
- ものや人にぶつかる
- 食器棚や照明のガラスが割れる
- 上に置いたものが落ちてくる
- 収納しているものが破損する
- 扉や引き出しがゆがむ
地震の揺れにより家具が移動する
ロッキングが起きると、家具がガタガタと歩くように移動することがあり、避難経路の妨げやケガにつながります。
冷蔵庫がリビングに行くなど、信じられない距離を移動することもあります。
また、キャスター付きの家具は特に注意が必要です。
キャスター付き家具は勢いよく移動するため、ぶつかってケガをする可能性もあります。
動き方も複雑になり、避けられないため非常に危険です。
家具自体が転倒すると、ガラスによるリスクも
家具が転倒した時は、衝突による打撲などのほか、ガラス棚の場合は切り傷にも注意が必要です。
また、ガラス棚や花瓶などが割れると、破片が辺り一体に散らばります。
避難経路が塞がれなかったとしても、靴がなければ安全な避難が難しくなります。
家具の扉が変形・開閉する
揺れで家が歪んだことにより、扉が開かなくなり避難経路が失われるという話は時々目にします。
ですが、部屋の扉だけではなく家具の扉も変形することがあります。
家具の扉が変形することで、収納物や扉そのものが落下・破損することもあると理解しておきましょう。
また、変形まではしなくともバタンバタンと勢いよく扉が開閉することもあります。
ぶつかったり挟んだりしてケガをすることはもちろん、心理的な恐怖も大きくなるでしょう。
タンスの引き出しが飛び出す
家具の中でもタンスは特に凶器と化します。
タンス本体はしっかり固定していても、引き出しが勢いよく飛び出してくることもありとても危険です。
勢いのついた引出しは人や物に直接ぶつかるだけではなく、収納していた物を吹き飛ばすこともあります。
また、タンスが中途半端に倒れて引出しが出てくると避難経路を絶たれる可能性もあるのです。
地震による家具の転倒防止・扉の開閉防止にはどの器具が良い?
上記のように、地震が起こると家具は様々な動きをするため、特に小さな子のいるご家庭では徹底した対策が必要です。
ですが、転倒防止器具といっても様々な形や大きさがあり、どの家具にどの器具を取り付ければよいのかわからないかと思います。
そこで、家具の転倒防止器具や開閉防止器具のご紹介とともに、どんな家具に使うのが最適なのかも解説していきましょう。
家具の固定はどこでもできるわけではない
家具の転倒防止は専用の器具を使って固定しますが、家の壁ならどこでも使えるわけではありません。
まずは基本として、建物と一体になっている柱や鴨居に固定することを覚えておきましょう。
最近の住宅ではなかなか露出しているものではありませんので、壁のどこかに家具を固定することになります。
ただし、どこでも器具が使用できるわけではなく、壁の内側にコンクリートや断熱材があったり、配線が通っていたりと固定できない壁や固定してはいけない壁もあります。
配線が入っている場合は、「ここには配線が通っているので釘などを打ち付けないでください」と書かれていると思いますので、そこには器具を取り付けないようにしましょう。
壁に固定する際に大切なのは、壁の中の桟(さん)を探し出すことです。
コンクリートや断熱材などが入っていない木の部分で、柱材とも呼ばれています。
桟は縦横通っていますので、縦の桟があれば家具の高さに合わせて固定することができます。
桟がどこにあるかは叩いてみるとわかります。
金づちでは威力が強すぎるので、ドライバーの柄の部分を使って少しずつ横にずらしながら叩いていきます。
すると、「コンコン」という堅い音が聞こえる箇所があるはずです。これが桟の音です。
太鼓のようなゆるい音がする場合は、桟が入っていないため器具を取り付けても効果が発揮できません。
また、音が全く響かないところはコンクリートの可能性が高く、器具の取り付け自体できない場所です。
この方法が難しそうであれば、桟を探す専用の道具も販売されていますので、固定器具と一緒に探してみてください。
固定できる家具や重い家具は耐震効果が最も高い「L字金具」
point
- 向いている家具:タンス、机、食器棚などの大型家具
- メリット:強度が高い
- デメリット:壁に穴を開ける必要あり
家具の取り付け器具の中でも、L字金具は最も効果が高い耐震器具の1つです。
イラストのように上向きでつけるものと、壁との間に挟むように下向きで付けるものの2種類があり、下向きのほうが効果が高い傾向です。(※3)
短所は、ネジを使うため壁に穴を開ける必要があることです。
粘着式で、スポンジのような素材で揺れを軽減するタイプの器具もありますので、賃貸の方はぜひそちらを探してみてください。
ただ、壁紙によってはうまく貼れない・はがれないことがあるようなので、よく確認してから使うことをおすすめします。
種類が多く強度も高い「ベルト式器具」はキャスター付き家具にも有効
point
- 向いている家具:大型家具や家電、キャスター付きラックなど
- メリット:穴を開けずに使える器具もある
- デメリット:壁紙によっては貼れなかったり傷つく場合がある
ベルト式器具は、ベルト型はもちろんチェーン型やワイヤー型など様々な種類があり、家や家具に合わせて選ぶことができます。
基本的には壁にネジで金具を止める必要がありますが、壁に貼り付けられるタイプもあります。
こちらについても、壁紙との相性を確認してから使用するのがおすすめです。
キャスター付き家具を床に貼り付けて固定するタイプの器具もあります。
賃貸や桟がない場所は「ポール式器具」
point
- 向いている家具:天井に近い大型家具
- メリット:穴を開ける必要がない、道具も不要
- デメリット:耐震力はやや弱い、天井にも強度が必要
ポール式器具はいわゆる「突っ張り棒」で、家具と天井の隙間に設置することで家具の転倒を防ぎます。
取り付けがとても簡単で、穴をあけることもなくドライバーなどの道具も必要ありません。
ですが、L字金具より強度が弱いため、後述の「ストッパー式器具」と組み合わせて使用するのがおすすめです。
また、ポール式器具は、どんな商品を購入するかを慎重に選ばなければいけません。
まずはサイズです。機能が良さそうなものをなんとなく買うのではなく、天井との間の高さをしっかり計測して選びましょう。
さらにおすすめなのは、天井と家具に接する面が広いものです。
弱い天井では、接地面が狭いと天井を突き破ってしまう可能性もありますので、板のような形になっているもののほうが安定感があります。
器具がすぐに揃えられない場合の応急処置として、ぴったりサイズのダンボールで突っ張るだけでも効果はあります。
ダンボールの下には耐震マットなどを敷き、しっかり固定しましょう。
積み重ねるタイプの家具を連結する「2段分離家具用連結器具」
point
- 向いている家具:2段式チェストなどパーツが分かれた家具
- メリット:穴を開けなくてよいものもある
- デメリット:単独では転倒防止にならない
大型家具で注意しなければならないのが「連結型」の家具です。
上下を積み重ねて一つの家具にしているタイプの場合、分離して上段が落下してくる恐れがあります。
連結部分をしっかり固定するためには「2段分離家具用連結器具」を使います。
平金具をネジで止めるタイプのものや、かんぬき状の金具、シートタイプなど様々なタイプがありますが、強度が強いのは平金具やかんぬき状のものです。
もちろん、連結部分以外の対策も必須です。
家具の下や後ろに挟み込む「ストッパー式」
point
- 向いている家具:床に直接触れている家具、背が低い家具
- メリット:安い、設置が簡単
- デメリット:単独では転倒防止にならない
耐震強度は弱いですが、ロッキング程度なら軽減できる器具がストッパーです。
家具の前下部に挟み込むことで傾斜がつき、手前に倒れてこないようにするものです。
費用も安く設置が簡単なのは良いのですが、ストッパーの単独使用だけでは転倒防止にまではなりません。
あくまでもポール式器具や他の器具と併用したり、ロッキングを軽減させるためのものと考えて使用しましょう。
キャスターには下皿を
キャスターはベルト式器具で固定することもできますが、ふだん動かすときに不便になってしまいす。
そういった場合、下皿をつけるだけでも効果はあります。
頻繁に動かすのであれば、使わないときのロックを対角線上にかけるようにしてください。
すべてのタイヤをロックするよりも倒れにくくなります。
テレビや小型家電には「粘着ジェルマット」
point
- 向いている家具:小型家電、小物など
- メリット:手軽に設置できる
- デメリット:大きなものは固定できない
器具で固定するのが難しい物には、耐震用の粘着ジェルマットを使います。
液晶テレビやパソコン、電子レンジなどの家電も固定することができます。
また、粘着ジェルマットは小さくカットして貼る事ができるので、どうしても飾りたいインテリアグッズの転倒対策も可能です。
購入する際は、固定したい物にあわせて適応温度や耐荷重、厚みなどを必ずチェックしておきましょう。
冷蔵庫や洗濯機などの家電製品は専用の転倒防止器具を
家電製品は、L字金具やネジなど金属器具を取り付けてはいけないものもあります。
メーカーによってはその家電製品専用の転倒防止金具を販売している場合もあるため、専用のものがあるのなら必ずその器具を使います。
最近テレビを新調した我が家。今時のテレビは、固定具も付いてくるんですね😲というわけで、さっそく週末に固定してみました。#家電の固定 というと大げさな作業を想像してしまいましたが、たった数分で作業完了✨こんなに簡単になら、気軽に #転倒防止 対策ができて有難いと思いました🌼#いつもしも pic.twitter.com/rkrxxiKvk1
— いつもしも◇子どもとママの防災 (@itumosimo) December 14, 2020
もし、専用の器具がない場合はどのタイプの転倒防止器具を使用すればよいのか確認してから取り付けましょう。
扉の開閉防止や引き出しの飛び出し防止には赤ちゃんグッズも
食器棚やテレビ台など収納品が多い家具の扉や、包丁が飛び出す危険のあるキッチン戸棚の扉にも地震対策が必要です。
開閉防止器具にも色々種類があり、粘着タイプやチェーンタイプ、ネジで固定する掛け金タイプなどがあります。
高性能なものでは、地震の揺れを感知して扉をロックする「耐震ラッチ」と呼ばれる器具もあります。
強度も理想的ですが、価格がやや高く、設置も難しいことがデメリットになります。
また、赤ちゃんがいるご家庭ではピンと来たかもしれませんが、赤ちゃんが勝手に扉を開けないようにするベビーストッパーも防災に使えます。
プラスチック製のものがほとんどですが、これでも地震による扉の開閉を防止することができます。
もちろん強度は低くなりますので、危険物の多い食器棚にはラッチや金属器具を、扉が開閉するのを押さえるだけであったり軽いものを収納している場合は赤ちゃんグッズと使い分けると良いでしょう。
また、簡易的ですが輪ゴムやS字フックをかけておくだけでも効果はあります。
ガラスの飛散を防ぐ「飛散防止フィルム」
食器棚やテレビ台などのガラス、窓ガラスなどには飛散防止フィルムを貼るとよいでしょう。
ガラス飛散防止フィルムを貼るだけで、地震による家具の転倒、家のゆがみからくるガラスの飛散を防ぐことができます。
一般的にはガラスの外側の面だけ貼りますが、外側だけではなく内側にも貼ることで飛散防止効果が格段に上がります。
照明も忘れずに!吊り下げ式ならワイヤーを
特に吊り下げ式照明の場合、揺れによって電球やカバーが割れる可能性があります。
メインのワイヤーをできるだけ短くしたうえで、追加のワイヤーも3本ほどつけておきましょう。
小さなライトがいくつも並んでいるタイプなら、揺れてぶつからないよう繋げる器具も必要です。
その製品専用のワイヤーやチェーンがあればベストですが、ホームセンターや通販などでも汎用的なものを入手することができます。
各種器具の取り付け方法などは、東京消防庁のパンフレットでより詳しく解説されていますので、ご参照ください。
出典:東京消防庁「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」(※3)
家具の転倒防止器具を使う前に、地震対策に一工夫
転倒防止や開閉防止をする前に大切なことがあります。
それは、家具の配置のしかたです。
どんな対策をしていても、予想外の揺れに襲われることは否定できません。
しっかり固定したつもりでも、素人目には気づかないミスがあったり、壁や天井のほうが壊れてしまった…ということもありえます。
家具を動かせなくなる前に、本当にその場所でいいのかを一度見直してみましょう。
他にも、一工夫するだけで防災対策になる方法をご紹介していきます。
寝室や出入り口、よく座る場所には家具を置かない
まず、就寝する場所の近くに大型家具を置かないことは鉄則です。
どうしても場所がないという時は、倒れても人が寝ている位置に影響がない場所に設置しましょう。
次に各部屋の出入り口付近です。家具の転倒で避難経路が絶たれてしまいます。
出入り口付近にも家具を置かない、もしくは家具が倒れても通り抜けられる位置にしましょう。
また、よく座る場所にも注意が必要です。
座っている時に地震が起きると、最初は小さな揺れのため「地震かな?」と思うだけでその場にとどまってしまいます。
揺れが大きくなってからでは、何かにぶつかりそうになっても立てるものではありません。
ですので、食卓やソファ、勉強机など、座る場所の近くにもできるだけ家具を置かないようにします。
難しい場合、買い換えるか向きを変える
移動できる場所がなければ、安全なものに買い換えてしまうのがベストです。
たんすや棚は背の低いものに、揺れる照明はシーリングライトにすることで、安心度が大きく変わります。
背の低い棚なら比較的倒れにくいですし、収納物が落ちても頭にはぶつかりません。
家具の移動も買い替えも難しい場合は、方向を変える方法もあります。
倒れる方向・逃げる方向などをシミュレーションして、できる限り安全な方向を工夫してみましょう。
家具は一般的に長辺側に倒れやすくなっていますので意識してみてください。
ここまでしっかり考えた上で、家具の固定に進みます。
重い物は低い場所へ移動
家具に物を収納する際も重い物は下に置くという工夫が必要です。
重心が下になるため、揺れても倒れにくくなります。
家具に収納する時は「重いものは下へ」を覚えておきましょう。
家具の上に物を置かない
家具の上にある物は、地震がくると飛び交う凶器となってしまいます。
先程もお話ししましたが、重いものは落ちてくるだけでも大けがをする可能性がありますし、下の家具も揺れやすくなります。
また、ストッパーを家具の下に挟んでいても家具と壁の隙間に物が落ちてしまうと、元の位置に戻れず家具が転倒してしまいます。
家具の上に物を置くことはとても危険だということを覚えておきましょう。
どうしても置きたいものがある方は、こちらの記事で工夫できることを解説しています。
家具の転倒防止対策をするとインテリアがダサくなる?
地震対策として家具の転倒防止について色々お話しをしてきましたが、
などなど、インテリアで気になることもあるのではないでしょうか。
ひと昔前は転倒防止器具も種類が少なく、悪目立ちしてしまっていたかもしれません。
ですが、今では様々な器具がありますので、インテリアを損なうことなく家具や扉の地震対策ができます。
インテリアを損ねない器具や工夫にはどのようなものがあるか、少しご紹介しておきましょう。
赤ちゃん用のグッズを使うと可愛くなる
扉開閉防止器具は、赤ちゃんのいたずら防止グッズで代用できます。
プラスチック製なので金属より強度は落ちますが、重い本棚や食器棚だけ金属のものにし、そのほかは赤ちゃん用グッズでも良いでしょう。
色も白やブラウン、クリーム色など様々な種類がありますのでインテリアに合わせて選ぶことができます。
柄やキャラクター付きのものなどもありますので、可愛くしたいのであればキャラクター付きで揃えてもいいですね。
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そんな方は、手軽に転倒防止器具が手に入るホームセンターに行ってみてください。
総合スーパーなどではあまり見かけない、扉の内側につけるタイプの耐震ラッチや、家具の後ろ側に挟めるストッパーなどが手に入るかもしれません。
最近では、耐震器具も進化しています。
金属器具でも黒や茶色、白などがありますし、ポール式器具には木目調のものも販売されています。
もちろんAmazonや楽天市場にも数多くありますので、お気に入りを探してみてください。
memo
シンプルなものがお好きな方は、無印良品の耐震グッズもおすすめです。
他の防災グッズも見た目良く揃えることができるため、デザインにこだわりたい方はぜひ無印もチェックしてみてください。
なければ作る!?100均材料で簡単おしゃれアレンジ
インターネットを駆使してもなかなか理想の器具が見つからないなら、自分でアレンジしてしまうのも手です。
パッと見をごまかす程度なら、100円均一ショップでも材料が揃います。
100均には金属にも使える塗料が売っていますし、器具によってはリメイクシートやマスキングテープを貼ることもできます。
また、ポール式器具であればカフェカーテンなどで隠したり、フェイクグリーンを巻きつけたりして魅せることも可能です。
安全とおしゃれを両立した部屋は作れますので、あきらめず工夫してみましょう。
notice
加工する際は、本来の機能が失われないよう十分注意してください。
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そして、小さなものでも地震のときは凶器になります。
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イラスト:クリハラマリ