子どものお弁当や日々のおかずなどで、多くのママが1度は必ずお世話になっているであろう『イシイのおべんとクン ミートボール』を販売している石井食品さん。実は、非常食も販売しているメーカーだということを知っていましたか?
今回は石井食品さんの本社にお邪魔して、非常食開発のきっかけやミートボールのアレンジなど、色々お話を聞かせていただきました!
お話を伺ったのはこちら
【石井食品株式会社】
ミートボールやハンバーグでおなじみの食品メーカー。おいしさはもちろん、無添加調理(※)をはじめとした「食の安全」にも力を入れている。
※石井食品の製造工程では、製造過程においては食品添加物を使用しておりません。
ホームページ
https://www.ishiifood.co.jp/
公式SNS
X(旧Twitter) / インスタグラム
この記事の目次
『イシイの非常食』はどうやって誕生したの?
一般的にはミートボールやハンバーグで有名な石井食品さんが、なぜ非常食を販売することになったのか、その誕生秘話について伺いました。
きっかけは東日本大震災
やはり世間では「ミートボール」のイメージが強いですよね。
でも実は、石井食品は佃煮や煮豆の製造販売からスタートしたメーカーなんですよ。
元々は電気ドリルなどを製造する工場だったのですが、食糧が不足している時代背景があり、海に近い立地を生かし、アサリなどの魚介を長持ちするよう、煮て佃煮として販売していました。
そのため、長期保存する技術は昔から培っていて、現在販売しているおせちや非常食にもその技術が生かされているんです。
本格的に非常食の開発を始めたのは、東日本大震災がきっかけです。
当時の非常食は水を入れて食べるなど、ひと手間かける食事が主流でした。そこで、石井食品では「手元に届いたらそのまま手軽に食べられる非常食」を提供できる事を目指しました。
また、年齢問わず誰でも食べられるよう、セットの主食はおかゆにしています。
2011年以前も社内備蓄用としては非常食がありましたね。販売はしていませんでしたけど…。
白米ではなく玄米を使っているのもこだわりの一つなんです。
避難生活が長期化した場合、白米だけだと体調を崩しやすくなるので、食物繊維を摂りやすいように考えました。
特にお子さまにはしっかり栄養を摂ってほしいですね。もちろん、体に優しい無添加調理にもこだわって作っています。
非常食ミートボールが生まれた理由
きっかけは、この”イシイっぽくないパッケージ”にあります。
実は常温保存ミートボールは、自衛隊からのお声がけがあって、2018年〜19年に開発されたものなんです。
最初は、自衛隊の方々が任務中でもすぐ食べられる備蓄として開発しましたが、最近では行政や団体、一般企業など、様々な方にご購入頂いています。
そして、一般の方にも気軽に食べてもらえるよう、今年2月に『
そうなんです。最近は自然災害が増えてきていることもあり、常温保存できる食品には需要があると考えていますし、何より「ローリングストック」の意識付けを、石井食品の商品を通して高めていって欲しい、と思っています。
日常でも、災害などの非常時でも、変わらず皆さんの助けになるような商品になってもらいたいですね。
まず殺菌方法が全く違います。常温の方はレトルト処理、チルドの方は加熱殺菌をしています。そういったところでも賞味期限の差が出てきますね。
パッケージも違います。常温の方はアルミのレトルトパウチですが、チルドはプラスチック製で中が見える仕様になっています。
原材料は全く同じなんですよ。細かい配合は秘密ですけど…。
もちろん、味わいがチルドと常温で同じになるよう努力もしています。保存性を高める点でいうと、ミートボールがソースに浸かっている事にもすごく意味があるんですよ。
「余っちゃうからソースの量を少なくして欲しい」というお声もあるんですけど…。
ハンバーグも同時にリニューアル
※常温保存ハンバーグのパッケージはリニューアル後のデザインです
そうなんです。ちなみに、ミートボールよりハンバーグの方が先輩なんですよ。ご存知でしたか?
ソースに浸かった見た目はミートボールと似ていますが、ウスターソースが入っているなど材料が少しずつ違うので、味の違いも楽しんで頂きたいですね。工場にはスパイス部屋があって、香辛料もしっかり入っています。
食物アレルギー配慮食品のために専用建屋を設置
食物アレルギー配慮食品は以前から「いっしょがいいね」シリーズとして展開していたのですが、主食になるご飯類がなかったんです。そこで、食物アレルギーのある方向けの備蓄として、リゾットを開発しました。
表記では1人用となっていますけど、400g入っているので、2人でも十分食べていただけると思います。
京都の京丹波工場には食物アレルギー配慮専用施設があって、食物アレルギー配慮食品はそちらでしか作れないんです。厳格な管理体制で製造され、最後にELISA法による検査に合格した商品だけに、合格シールを貼って販売をしています。
「いっしょがいいね」シリーズ(上記写真)もそのまま食べられる備蓄食としておすすめです。一口サイズの「プチミート」の味を増やすなど、少しずつリニューアルを重ねています。お客様のなかには、箱買いされている方もいらっしゃいますよ。
災害時には商品を支援物資として提供している
はい。『日本笑顔プロジェクト』さんという団体と連携して取り組んでいます。能登半島地震の被災地にお届けする支援物資についても、今回提供いたしました。
石井食品は日本笑顔プロジェクトさんとともに被災地に支援物資を届ける活動を実施しています。
現在お水、野菜のおかゆpotayu、常温保存できるミートボール等を被災地に向けてお送りできるよう対応を進めております。少しでも皆様のお力になれれば幸いです。https://t.co/ivsYLehjXM
— 【公式】石井食品|イシイのおべんとクン ミートボール (@ishii_official) January 4, 2024
特に決まっていないのですが、おかゆが多いですね。石井食品で非常食として取り扱っている商品の中から備蓄しています。もしもの時は、その備蓄からお渡しする形になります。
ほかには、子どもの貧困問題の解決を目指して活動している『認定NPO法人 おてらおやつクラブ』さん協力のもと、支援を必要としている方に商品をお渡ししています。
はい。販売しきれなかったけど、まだまだ食べていただける商品をお裾分けする形で、必要な分を都度提供しています。
ミートボールをフル活用♪お手軽アレンジレシピ
もしもの時にミートボールが食べられたら嬉しいけれど、
という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、ミートボールを知り尽くした石井食品さんがおすすめする、管理栄養士さん考案のアレンジレシピを紹介していただきました。
ミートボールのソースは余る?余らない?
実は以前「ソース使い切れてますか?」というアンケートを取ったことがあるのですが、結果的には「1回では使い切れていない」という方が多かったですね。
ママ達がどのように商品を使ってくださっているのか、私たちは常に気にしています。SNSでミートボールアレンジを載せて頂いているのを拝見すると「そういう使い方もあるのか!」と驚くこともありますよ。おにぎりにソースを塗って食べる方もいましたね。
余ったソースの活用法について、アンケートを取ってみるのも面白そうですよね。
中の人おすすめ!ソースごと使えちゃうアレンジレシピ3選
色々あるのですが、その中でも特におすすめの3つを紹介しますね。
1つ目は「ミートボールの酢豚風」です。味付けはミートボールだけなので簡単ですよ!
ミートボールでもおいしいですが、「黒酢の肉団子」という商品で作ると、よりおいしく食べられます。
お子さまには「なすときのこのキーマカレー」も良いですね。野菜嫌いなお子さまでも、ミートボールと混ぜてわからないようにすれば食べてくれる、というママの声もお聞きします。
そうなんです。せっかく丸にしたミートボールを潰して使います(笑)。袋の上からモミモミして入れるので、小さいお子さまでもお手伝い出来ますよね。その間にママは野菜を切っておく、とか。
「ミートボールパスタ」もすごく簡単に作れるのでおすすめです。
このレシピではパスタをメスティンで茹でるキャンプ仕様になっていますが、レンジで茹でればもっと簡単に作れますよ。トマトピューレとミートボールをソースごと入れるだけです。
実際に作ってみました!
パスタを茹でて混ぜただけとは思えないぐらい本格的な味わい。甘めのミートボールとトマトの酸味がマッチしていて美味しかったです♪
ミートボールだけじゃない!石井食品こだわりの非常食
ミートボールの魅力についてたっぷり伺ったところで、以前いつもしも編集部で試食した際に好評だった非常食おかゆ「potayu(ぽたーゆ)」と、ずっと気になっていた「佰にぎり」についても詳しく聞いてみました。
熊本地震がきっかけで開発された『potayu(ぽたーゆ)』
以前から気になっていた石井食品(@ishii_official)さんの玄米おかゆ「potayu」をスタッフで試食しました。常温のままでも美味しいことにびっくり!野菜やビーンズがたっぷり入っていてスタッフ一同、大絶賛でした✨賞味期限は240日程度なので #ローリングストック におすすめです!#いつもしも pic.twitter.com/8MAcUsQxen
— いつもしも◇ママと子どもの防災 (@itumosimo) February 18, 2021
はい。熊本地震で被災された方にお話を伺うなかで、ストレスがかかる環境でどうやって食を楽しんでいくか、健康に気遣うのか、ということを考えさせられ、開発に至りました。
使用している玄米は熊本県産のものです。国産ではなく熊本県産、なのがポイントですね。こういった原材料でも、地域のものを活用するようにしています。
もちろん、こちらも無添加調理です。
非常食としてだけではなく、忙しい日々の生活の中に取り入れて頂くのも良いと思います。朝ごはんにもぴったりですよね。
1食食べても130キロカロリー程度で、野菜もいっぱい摂れますよ。
賞味期限100日の『佰にぎり』
京都で1日100食限定の国産牛ステーキ丼専門店を経営されている『佰食屋』と共同で開発しました。
コンビニなどのおにぎりはどうしても賞味期限が短く、残ったら短期間で廃棄されてしまいますよね。そこで、「長期保存できるおにぎりがあれば食品ロスが減り、非常食の代用にもなるのではないか」と佰食屋の社長から石井食品にコラボのお声がけをいただいたんです。
石井食品には「世の中の為になるならやってみよう!」という精神が根付いているので、このようなアイディアを頂いた際はなるべくお話を伺うようにしているんです。
パッケージで言うと、保存性を高める為にレトルト処理をしていますね。
パッケージ決定に関しては結構議論があったと聞いています。中身が見えないアルミだと、商品が「本当のおにぎり」だとイメージ出来にくいんですよね。かといって、おかゆのように写真を載せるやり方も少し違うかな、ということで、直接目で見てわかりやすい方が良いという結論になりました。
ただ、工夫という意味では、素材よりやはり製造工程の工夫っていう所が1番大きいですね。
災害時でも身体を強く維持できるよう、たんぱく質を10g以上摂れるようにしているところも特徴です。
また、開けてそのままで食べられるのはもちろんなんですが、もし湯煎ができる場合は、蒸らし時間を調整してお好みの固さで召し上がることもできますよ。ふだんの生活で食べるなら、レンジ加熱もできます。
実際に食べてみました!
佰にぎりステーキ丼味を2つ購入し、温めあり・なしで食べ比べてみました。
温め前はしっかり固めだったごはんが、温めるとホロっとくずれるぐらい柔らかくなりました。スパイシーな香りが食欲をそそります♪
温めなしの方はかみごたえのある固めごはんでしたが、温め後はおこわのようなもっちりした食感に変化!
味付けはかなりしっかり目で、食べ応えのあるおにぎりでした。
石井食品さんが考える「子どもの未来」
ママと子どもを食卓から支える石井食品さんが、今後見据える未来への想いや、力を入れていきたいことについてもお話ししていただきました。
子育てを応援することが日本の未来に繋がる
カフェをはじめ、直売所、キッズスペース、レンタルスペースなどがあります。ここには従業員が子ども連れで訪れることもあるんですよ。
当社ではライフスタイルフードカンパニーを目指しており、「食」だけでなくライフスタイル全体に関わっていきたいという想いがあります。
なぜなら「お子さまが大きくなった時にどういった食生活を送って欲しいか」を考えた時、やはり子育てを応援しないと未来の日本には繋がらない、と考えているからなんです。
石井食品がそういった会社であることは、取材記事などでも周知されていますね。パパである社長も自ら率先して育休制度を利用していますし。
昔から女性の活躍が目立つ会社だった事もあると思います。会社全体の男女比も半々ぐらいですし、ママさんワーカーも多い。なので、「女性だから」「男性だから」という考え方が元々あまりないかもしれません。
誰かが抜けた時でも「どう対処するか」とすぐ考えが切り替わる人が多いので、そこは安心して育休を取る方が多いです。
ローリングストックの重要性
常温の商品には引き続き力を入れていきたいと考えています。先ほど常温ミートボールをリニューアルするお話もいたしましたが、ローリングストックを率先して推進していける企業でありたいですね。
石井食品の商品に限らず、常温保存食品は増えていますよね。
たとえ食材が家にあったとしても「今日はどうしても作りたくない…」という時にあると便利ですよね。
冷蔵庫内の在庫の回転が早いご家庭なら、チルドでも大丈夫ですよ。ミートボールは常温でもチルドでも同じようにおいしく食べられるので、チルドの商品をローリングストックしてる方も結構います。
ローリングストックといえば、最近はアウトドアでの活用もおすすめしています。先ほど紹介したミートボールパスタのように「キャンプの時に持っていった」という方も実際にいらっしゃいますね。
このように、大人になって一度はミートボールから離れても、また戻ってきてもらえる方が増えてくれたら嬉しいです。
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まとめ 〜 ミートボール1つを備えることから始めよう
非常食や防災と聞くと「どのぐらい備えるんだろう」「考えるだけで面倒」と固く考えてしまうかもしれませんが、石井食品では1袋から、家族分だけでも備えられる商品展開に力を入れています。
石井食品からはもちろんですが、他のメディアからもそのような内容を取り上げていただくことで、非常食についてもっと気軽に考えてもらえたら嬉しいです。
災害時などに普段から食べ慣れたいつもの味が食べられることは、身体だけではなく心の栄養補給にもなります。
この記事をきっかけに「非常食を備えてみたい」と思ったら、まずはミートボールをローリングストックすることから始めてみてはいかがでしょう。