日常の中、突然襲い掛かってくる災害。
命の危険が去ってひと安心、これで日常に戻れる!…と思ったのに、落ち着いてみたら思ったより被害が大きかった、なんてことも。特に、ライフラインが途絶えると、復旧には数日またはそれ以上の時間を要します。自宅が被害を受け、避難所でしばらく生活しなければいけなくなることもあります。
思いがけず始まる不自由な生活、それもいつまで続くかわからない不安に対してどう備えたら良いのか、必要なものや備え方について解説します。
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買ってて良かった防災グッズ!避難生活で実際に役立ったものリスト
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この記事の目次
被害が長期化したときのための安心備蓄「2次の備え」
「備え」には3段階あります。
1つめは常に携帯しておくべき備え「0次の備え」、2つめは発災直後に必要な「1次の備え」、そして3つめ、最後がこの記事でご紹介する被害が長期化した際に活躍する「2次の備え」になります。
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- 備えの前に
備えの段階とは - 0次の備え
普段から持ち歩くもの - 1次の備え
急いで避難するときに必要なもの - 2次の備え
この記事で確認できます。
ここでご紹介する2次の備えは、「0次の備え」「1次の備え」があることが前提になりますので、ぜひあわせてチェックしてくださいね。
種類も量も桁外れ!2次の備えの備え方
2次の備えは、少なくとも数日、長ければ数週間を乗り切るための物資になります。その種類も量も、持ち歩きの0次の備えや緊急持ち出しの1次の備えとは比べものになりません。考えるだけでやる気を失いそうになりますよね…
忙しいママたちが無理なく備えられるように、
について、順を追って解説します!
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備蓄内訳:揃えたいもの
まずは、どんなものを備えたら良いか。
備蓄品は、大きく
- 日用品や防災グッズ
- 非常食
の2つに分けられます。
グッズ
避難生活で使うグッズと言うと、防災グッズを思い浮かべますよね。
しかし、2次の備えに必要なのは防災グッズだけではありません。2次の備えが活躍するのは、被災後の「生活」だからです。
point
2次の備えを考えるときは、被災後も生活は続き、必要なものが大きく変わるわけではない、ということを常に心に留めておいてください。
いつもの日用品
最初に備蓄しておくべきなのは、いつも使っている日用品です。
いつもの消耗品が、生産あるいは物流の都合などで買い足せなくなることが考えられます。
ペーパー類やラップ、除菌スプレーや乾電池などを、普段から少しだけ多く備えておきましょう。
まとめて買うのは大変ですし、買い占めに見られるのもつらいですよね。あくまで日常の中で、いつも買うサイクルを一度だけ短くして買い足しておく、というやり方をおすすめします。
memo
2020年春から爆発的な勢いで世界中に広まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、私たちの生活にも大きな影を落としました。
2020年7月現在、ようやく店頭でマスクを見かけるようになりましたが、もっと備蓄しておけばよかったと、悔やんでいらっしゃる方も多いでしょう。ライフラインこそ止まっていないものの、外出が制限される中で、思いがけず備蓄の大切さを再認識する機会となっています。
【関連】防災ママがコロナ対策で学んだこと
同じく新型コロナの影響で、トイレットペーパーやティッシュペーパー、生理用ナプキンなども品薄になりましたが、こちらはデマによる買い占めが原因と言われています。
一時的な買い占めだけが原因であれば、長期間手に入らないということにはなりません。
普段から非常時を想定した備えをしていれば、不要なパニックに巻き込まれない判断力がつきます。
動揺しなくて済むよう備蓄しておき、落ち着いて行動しましょう!
使用期限はあっても数年放っておいて大丈夫なものは、ローリングストックとは別に1セット、その他の防災グッズとまとめて置いておいても良いですね。
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もしもの非常用品
次に、もしものための非常用品を備えましょう。不自由になった生活をフォローしてくれるものが必要ですよね。これが2次の備えのメインになります。
簡易トイレや、電池式のランタンなど、電気・ガス・水道・通信が全て途絶えてしまっても単独で使えるかを意識してみてください。
いつもしもが特におすすめしたいのはカセットコンロ。オール電化やIHコンロのおうちの方、普段カセットコンロを使ってない方は、ぜひ備えてください。
お湯を沸かせる、煮炊きができることは、長期の避難生活ではかなり重要になってきます。
そのほか、普段、自分の家の中で
- 電気で動いているもの
- ガスで動いているもの
- 水道をつかっているもの、こと
をチェックしてみてください。
どのライフラインが止まったら何が使えなくなるのか、あらかじめ把握しておくことが大切です。
また、自宅が被害に遭ってしまったときの備えも必要です。
さらに被害が増えるのを防ぐためのブルーシートや、安全に片付けるための軍手やスコップなどを用意しましょう。
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非常食(食品・水)
多くの場合、被災しても家にある食品類が一瞬にして消えるわけではありません。
食品の備蓄は、いつも食べているものと非常用の備えを全て合わせて考えましょう。
notice
例外は、水害や土砂災害の場合です。これらの災害の危険がある地域の方は、備蓄する場所を工夫してみましょう。収納場所についてはあとで解説▼しています。
【関連】備蓄品は分散収納でリスクも分散
いつもの食品
冷蔵庫の中身や常温保存している野菜、乾麺やレトルト食品などは、そのまま使っていきます。
冷蔵庫は、停電すると少しずつ冷却機能が失われていきますので、食べるものの優先順位が大切です。
【関連】被災時に冷蔵庫は使えるのか
たとえライフラインが全て止まってしまっても、カセットコンロがあればお湯を沸かしたり火を使って調理したりすることができます。
手間も時間もかかりますし、節水を心がけるために洗い物を減らすよう工夫が必要ですが、いつもの食事に近いものが食べられるでしょう。
ただ、ガス漏れの有無など安全が確認されるまでは使用を控える必要があります。復旧の目途が立たない状態で、限りのあるカセットガスを最初から使うのも不安です。
被災後、最初の3日間程度は、調理に手間がかからない非常食を食べることが推奨されていますので、まずは「非常食にもなるいつもの食品」を消費していきましょう。
食べ慣れているものの中から、常温で食べられるものや加熱せずに食べられるものをチェックしておいてくださいね。
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もしもの非常食
非常食にもなるいつもの食品に加えて、アルファ米やパン缶、長期保存できるおかずなどのザ・非常食!も用意します。数日分になりますので、献立を考えて、組み合わせや栄養バランスを意識すると良いでしょう。
また、2次の備えは、重さや量をギリギリまで制限する必要がある0次や1次と比べると保管スペースにも余裕がありますので、発熱材がセットになったものや子どもが好きそうなもの、美味しそうなものも探して備えてみてください。
memo
水で作れる!とうたわれている非常食はたくさんありますが、できることならお湯で作ったり温めたりした方がいいです!!
スタッフが断言する理由を知りたい方は、こちらのアルファ米試食レポをご覧ください♪
大きな震災や台風被害を受けて、最近は非常食のバリエーションもとても豊富になってきているんですよ。
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管理方法:ローリングストック&スリーピングストックを組み合わせる
次に、どんなふうに買い揃えて、管理していけば良いか。
家族分の大量の備蓄品を、一気に買い揃えたりまとめて買い直したり…気が遠くなりますね。金銭的な負担も大きく、現実的ではありません。
管理方法は、
- ローリングストック
- スリーピングストック
の2つに分けて考えましょう。
いつものローリングストック
いつも食べている食品や、日々消費する日用品の管理には、使いながら補充していくローリングストックがおすすめです。
特に小さいお子さんの場合、必要なものや食べる量・種類もどんどん変化していきますよね。
ローリングストックなら、成長や好みの変化に合わせて自然と備蓄品も入れ替わっていくので、小さいお子さんがいる家庭に向いていると言えます。
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もしものスリーピングストック
非常時にのみ活躍するグッズについては、ひと通り揃えたら後はほったらかし、備えっぱなしにしてしまいましょう!
これを、いつもしも的には、ローリングストックに対してスリーピングストックと呼びます。寝かせたままにしておいてOKなものです。
スリーピングストックとは
スリーピングストックは、もともとは倉庫管理用語です。日本語では「眠り在庫」、機能的には問題ないものの長期間動きのない在庫のことを呼ぶそうです。
機能的に問題があったり、使われる機会がなくなったものを表すデッドストックはよく耳にしますよね。
いつもしもでは、ローリングストックという日常的に回していく備蓄に対して、ときどき見直すくらいでほったらかしておける、つまり眠らせておける備蓄にスリーピングストックという単語を使っています。
- ローリングストック
:「いつも」使いながら備えるもの。使うたびに入れ替わる。 - スリーピングストック
:「もしも」のためだけに、備えっぱなしにしておくもの。不自由になった生活をフォローしてくれるもの。半年に1度、防災グッズなどと一緒に点検。
日々の睡眠というよりは冬眠のイメージですね。
point
ローリングストックと同様に、何をスリーピングストックで管理するかはそれぞれの家庭で異なります。「私」と「私の家族」にとって、そのグッズや食品が「いつも」用なのか「もしも」用の備えなのかを意識しましょう。
半年に一度、見直しのタイミングで様子を伺って、期限が迫っていなければそのまま眠らせておきます。
【関連】防災グッズを見直すタイミング
長期保存食や、使用期限の長いグッズもスリーピングストックと同じ扱いにしてしまって良いでしょう。2次の備えチェックリストには、ほったらかし備蓄におすすめの日用品や保存食も入れてあります。
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収納場所:使うタイミングに合わせて分散収納
最後に、どこに置いておけば良いか。
大量の備蓄品、収納場所も悩みどころですよね。
いつもしも的には、1箇所にまとめるのではなく、家のあちこちに収納する分散収納をおすすめしています。
ライフスタイルや間取りなど、各家庭に変わってきますが、ざっくりと以下に分けて解説していきます。
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それぞれ見てみましょう。
メイン収納:「もしも」のとき「長期的に」「あとで」使うもの
まずは、2次の備えのメインの収納です。
スリーピングストック法で良いものを置いておきます。
量が多いので、まとまったスペースが必要です。かつ、頻繁に使うものではないと考えると、日常よく使う場所に置くと却って邪魔になりかねません。
おすすめは玄関やリビングです。頑丈な防水ケースを選んで屋外に置くのも良いでしょう。
サブ収納1:「いつも」使うもの
次に、使ったら買い足すローリングストック法で管理している日用品や食品を置いている場所がひとつ目のサブ収納に当たります。
シンク下やパントリーなど、使い勝手の良いいつもの場所で大丈夫です。
普段あまり買い置きをしない方は、少しだけスペースを作って、少しだけ多めに置けるようにしましょう。
サブ収納2:「もしも」のとき「すぐ」身に着けるもの・持っていくもの
ふたつ目のサブ収納は、2次の備えのうち、在宅避難できないときに避難所に持ち出すものを入れておく場所です。
1次の備えとまとめて置いておいても良いですね。
在宅避難できない=家に何らかの被害がある、ということなので、取り出しやすい玄関近くをおすすめします。
サブ収納3:「もしも」のとき「すぐ」使うもの
必要な備えをまとめて置いてしまうと、
- 部屋の行き来が難しいほど家の中が荒れてしまって取り出せない
- 水や土砂で埋まったり汚れたりして使えない
など、せっかくの備えが全て無駄になってしまう可能性があります。
収納スペースにも限りがありますし、少しずつでも寝室や子ども部屋、車など、各部屋・各階に備蓄品を置いておきましょう。これがみっつ目のサブ収納です。
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まとめ
避難生活が長期にわたったときに活躍する、2次の備えのいつもしも版をご紹介しました。
どんなものをどのくらい、どうやって備えたら良いのか、イメージできたでしょうか。
各家庭によって何をどう管理するかは変わってきますが、2次の備えをざっくりまとめるとこのようになります。
いつも | もしも | |||
---|---|---|---|---|
備蓄内容 | グッズ | 食品 | グッズ | 食品 |
管理方法 | ローリング ストック | スリーピング ストック | ||
収納場所 | メイン収納 (玄関/リビング) | |||
サブ収納1 (いつもの場所) | サブ収納2 (持出用:玄関付近) | |||
サブ収納3 (各部屋) |
※タップでそれぞれの解説に飛べます
2次の備えは、大規模な災害の時にしか役に立たないように思いがちです。
しかし、備え方次第では、無理なく無駄なく備えることができ、日常のちょっとしたトラブルにも対応できます。
命を守ることは大前提ですが、その後の生活を守ることもとても大切です。
あなたとあなたの家族にぴったりの備蓄、始めてみてください!