近年、地震の発生頻度が増えているせいか「もしもの備え」について耳にすることが増えたように感じます。
- 避難を余儀なくされたら
- 家族と連絡がとれなくなったら
- ライフラインが途絶えてしまったら
などなど、もしもを考えると不安は尽きません。
このように不安があるにも関わらず、「防災」となると腰が重くなるのはなぜなんでしょう…。
「防災」ってだけで、なんだかめんどくさい。
重そうな「もしもの備え」を背負って逃げられるのかさえ不安。
不安が不安を呼び、私の中の「防災めんどくさい沼」は一層深まっていくばかり。
悩んでいることがあれば何でも聞いて!
沼に浸かり切っていた私が、編集部の防災士2人のお力を借りつつ、防災リュックを選ぶところから詰めるところまで実践してみました!
「防災リュックを作ってみたい!」と思っていた、私と同じ初心者さんは必見です!
この記事の目次
備蓄はあるけど、防災リュックがない
みなさんの中には、意識して防災グッズを揃えた経験がない方もいるのではないでしょうか。
私はこれまで何度も「防災リュックをつくりたい!」と思ってきましたが、用意するものリストの多さに圧倒され
と、何度も断念してきました。
東日本大震災の被災経験
実は、私には2011年の東日本大震災で被災経験があります。
災害は誰にでも起こりうることを身をもって経験したのに、「いつもしも編集部」に来るまで防災について深く考えることはありませんでした。
当時は実家暮らしで「自分が何かしなくても大丈夫。母がいる。」と甘えていたからだと思います。
あれから10年以上が経った今、実家を出た私の生活環境はガラリと変わりました。
宮城県沖地震、東日本大震災と2度の被災経験がある頼れる母は側にいないし、自分のことは自分でやらなくてはいけません。
「自分だけは大丈夫」という根拠のない思い込みを過去に捨て去り、今まで踏み出せなかった一歩を踏み出すことにしました。
それでも「めんどくさかった」防災
そもそもどうして、被災から10年以上もの長い間「防災」と向き合わなかったのか。
上京して出来た友達の中には「防災リュック」や「防災ポーチ」を作っている人がいました。
それに過去の職場では年に1回、防災用に「アルファ米」や「備蓄用の水」が配られていました。
周りからの影響で、防災グッズを買いに売り場まで足を運んだこともあります。(結局なにも買いませんでしたが…)
①防災リュックを置くスペースが必要なこと
防災グッズを買おうとお店に足を運んだ、数年前のある日のこと。
私はそのとき初めて、中身もセット販売の「パンパンの防災リュック」を目にしました。
初めて目にしたその防災リュックは、想像よりもはるかに大きなサイズで、かなり印象的なものでした。
この出来事から、私にとって防災リュックとは「しっかり用意しないといけない」「幅をとるもの」というイメージが頭に焼き付きました。
少しの備えじゃ意味がないのかな?と疑問で、なかなか動き出せませんでした。
②これって「本当に必要?」と疑問を感じる
面倒と思いつつも、ちゃんと防災に向き合おうと思うことも多々ありました。
少し大きめの地震がある度に
と気持ちを改め、思い切って『防災リュックの作り方』について検索することも。
スマホへ表示された「必要なものリスト」は、初心者の私にとって"やらなきゃいけないこと"が多すぎるように感じ、調べただけではやる気が起きることはありませんでした。
前進しようと何度も検索しては、何度も何度も「そっ閉じ」を繰り返していました。
さらに過去の被災経験もあってなのか、有識者たちの「防災リュックに必要なものリスト」を見ると
と想像してしまうようになり、だんだんと何が必要なのか判断できなくなっていきました。
仮にリストに沿って必要なものを備える場合、普段使用しないものまで購入しなくてはなりません。
これは、自分にとってだいぶハードルが高いものでした。
でも「携帯ラジオ」や「ツールナイフ」など日常使いしないものを買うのはどうも気が乗らなくて…。
③用意するものが多い=重さが気になる
これまでの経験から、
と、連想するようになりました。
ちなみに私は身長156cmで、どちらかというと小柄な方で体力に自信がありません。
また、昔から腰に不安があるため、重いリュックを背負って避難することは、果たして現実的なのだろうかと疑問に感じてしまいました。
普段の買い物であれば、仮に重い荷物でも「どれくらいの時間」「どのくらいの距離」を持つことになるか想像できるので、そこまで不安に思うことはありません。
万が一発災、そして避難が必要になった場合。
何が起こるか分からない状況下で、「どれくらいの時間」重いリュックを背負い、「どのくらいの距離」を移動するのかも予想できません。
自分の中でこうした疑問が生まれたことで、用意するものが多く見える「必要なものリスト」を鵜呑みにするのはどうなんだろう、と感じるようになりました。
もちろん「もしもの備え」がしっかりと備えられていればいるほど、安心へ繋がると思います。
ただそれでも、自分とバランスのとれない重そうな備えを背負うことは不要に体力を消耗しそうで、自分にとって最大の「不安の種」になりました。
普段の生活から「備え」について考えてみた
ちなみに現在、我が家では石鹸・洗剤、飲料水からお米まで、定期的に夫の在庫チェックが入ります。
いつも何か備品が無くなる前に確認してくる夫。
我が家では普段から日用品等の在庫管理をする習慣があるため、それなりに備蓄があるほうだと思います。
「はっ…!これがローリングストックか」と気付いたのはつい最近のこと。
理想の防災リュックについて考えてみた
そんなこんなで、できるだけ新たに物を買わずに家にあるもの(備蓄)で、楽して防災リュックを作れないかなと考えるようになりました。
とりあえず5kg以内には収めたいです!(キリッ)
私が求めるものは「軽量化」に特化した初心者でも用意しやすい防災リュックです。
軽量化させたい理由
- 用意するものが多いのは、初心者にはハードルが高い
- 体力に自信がないので、最低限の内容にしたい(5kg以内)
- マンション住まいで、よっぽどのことがない限り在宅避難になる
- 貴重な収納スペースを割きたくない
ということで、用意するものを厳選し初心者でも始めやすいような内容で防災リュックを作りたい。
果たしてうまくいくのか…!
防災リュックのおすすめの選び方
まずはリュックが必要だ!と思い、自宅にどのようなものがあったか改めて見直してみました。
- 革のリュック(A4サイズが入らない大きさ)
- 2WAYの革のリュック(A4サイズが入らない大きさ)
- 容量6Lのリュック(ウエストポーチほどの大きさ)
どれも普段の生活で使用している上、サイズ的にも防災リュックに回すのは難しい。
…なんと、我が家には防災リュックに使える入れ物がありません。
家族で1つ?それとも1人ずつ?
今までぴくりともしなかった重い腰を上げ、やーっと防災リュック作りに取り掛かることができました。
長年かけて一歩踏み出したにも関わらず、早速自分の前に立ちはだかる「疑問」。
防災リュックは、家族で1つにまとめれば良いのか、それとも人数分用意したほう良いのか。
- 重量が増し、運ぶ人に余計な負担がかかる
- 年齢・性別等、個々人によって必要なものが変わる
- 万が一荷物を失った場合、リスクが大きすぎる
防災リュックを選ぶポイント
さて、「防災リュック」といわれたらどんなものをイメージしますか?
単純にリュックというだけでも、登山用のような大容量のものからママ向けの収納が多いものなどたくさんの種類が存在します。
防災リュック向きのものを選ぶには、どんなポイントに気をつければ良いのでしょうか。
ぜひリュック選びの参考にしてみてください♪
①おすすめの形状
まずは、防災リュックのおすすめの形状についてです。
普段の私はバッグの中身を抑えて、あまり物を持ち歩かないようにしています。
最近、姉との買い物で容量6Lのリュック(ウエストポーチほどの大きさ)で出かけた日には、「それ何が入るのw」とツッコミが入りました。
negiさんの希望、いつもしも的防災リュックのおすすめの形状とマッチしていそうです!
check!
- フラットなデザインのもの
…重心が後ろにいきづらく、背負いやすい - マチが少なめ&ポケットがあまり付いていないもの
…荷物を入れすぎず、必要なものだけを厳選できる - 厚みや硬さ、幅のある肩紐とチェストベルト付きのもの
…チェストベルトが支えになり、重さが緩和される
②おすすめの素材
続いて、おすすめの素材についてです。
せっかく用意した防災グッズが濡れないよう、「防水」または「撥水」加工のものを選ぶのがおすすめです!
③おすすめの容量
最後は、個人的に一番気になっていた容量についてです。
推奨される容量(男女別)
女性:30Lまで 10kg以内
男性:40Lまで 15kg以内
うん、無理かなぁ(白目)
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防災リュック選んでみた
ここで一旦、「防災リュックを選ぶポイント」を整理しましょう。
- チェストベルト付きのもの
- 防水もしくは撥水加工がされているもの
- 反射板がついているもの
- 容量は20〜30Lまでのもの
今回重要なのは「非常時の備え」のための買い物であること。
普段の私であればネットショッピングであれこれ買う派なのですが、今回ばかりはイメージと違うものが届くのは避けたかったので実店舗での買い物を優先しました。
また日常的に使うものではないので、コスパが良いものを選ぶことにしました。
足を運びやすく、コスパ抜群なお店…と考えたときに一番に浮かんだお店、「ワークマン」でリュックを購入することにしました。
早速公式ページでリサーチを進めると、このリュック(容量:25L)が希望に近く、すぐに大きめの店舗へ向かいました。
ワクワクしながら探しましたが、なかなか希望のリュックが見つけられない…。
あきらめかけたそんな時、偶然見つけたリュックが20Lで希望のサイズだったので「これだ!」と思い即購入しました。
無事希望&おすすめに合ったものを購入できました!しかもこれ2500円だったんですよ…コスパ最高です!w
ここでちょっぴり補足です。
多くのページでは「防災リュックで容量20Lは少ない方」だと書かれており、「少ない」という文字に気を取られ
と思い込んでしまいましたが、普段からA4サイズが入らないリュックや、容量6Lのリュックを背負っている私にとって、20Lのリュックは想像より大きいものでした。
もしネットで購入しリュックへのギャップを感じてしまったら、私は返品して防災リュックづくりを断念していたかもしれません。
今回のことで非常時の備えならば特に、実物を見て手にとってしっかり選ぶことが必要だと学びました。
防災士と防災リュックの中身を考えてみた
無事防災リュックをゲットしたので、改めて中に何を入れるか必要なものを調べてみました。
調べれば調べるほど、やっぱり人によっておすすめは様々。
なんだかデジャブで「そっ閉じ」の衝動が襲いかかってきます。
再び「防災めんどくさい沼」にハマりそうになったので、防災士2人にヘルプを求めることにしました。
食料なしでも良いのかなぁ…。
重さが気になるなら、アメ数個でも入れると良いよ!
普段の生活で使用するもの
せっかく防災リュックを自作するんだし「防災用〇〇」ではなく、家にある普段使い慣れたものでつくりたい。
とりあえず、備蓄から1日分の備えを考えてみることにしました。
初めて考えてみた備えリスト
- 清涼飲料水(500ml)×3本
- 軽食
- USB電源、USBケーブル
- ティッシュ
- ジッパーバッグ
- 常備薬(風邪薬、頭痛薬、鼻炎薬)
- 絆創膏
- アルコールジェル
- 汗ふきシート
- 歯磨きシート
- 不織布マスク
- 生理用品
- タオル
保険証などの貴重品は、基本的に財布に入れているので、リストには入れていません。
考えてみたリストに、このグッズも入れておくと、もっと良いと思うよ!
エマージェンシーブランケット…(メモメモ)そういえば被災した時も、ずーっと毛布にくるまっていたなぁ…。
腹持ちを考えると「ごはん系の軽食」も惹かれましたが、アルファ米を食べ慣れているわけではないので、今回はお菓子にしてみました。
また、長期間保存できるよう賞味期限が長いものを選ぶよう気をつけました。
必要最低限の備えがしたい
これまでの「おすすめ」や「過去の備えリスト」を参考に、防災初心者のための必要最低限の備えリストをつくりました。
リストのほとんどは家にあるもので揃えましたが、一部のグッズだけは近所のスーパーや100均で買い足しました。
買い足したもの
- 軽食(クリーム玄米ブラン)
- エマージェンシーシート
- ホイッスル
- ライト
また「日用品」のタオルと、「安全確保」の折りたたみクッションに関しては、それぞれ補足の方のグッズ(手ぬぐい、プチプチ)を選びました。
タオル⇒手ぬぐいを選んだ理由
防災リュックを用意しているときに、「避難時に同じタオルを洗濯して使用する可能性」が突然頭に浮かびました。
タオルは吸水性が良く手触りふわふわですが、速乾性が悪い分「雑菌の繁殖」が気になります。
私は慢性的なアレルギー性鼻炎で、もしその状況に直面したとき、タオルの雑菌が原因でアレルギー症状がひどくなるのではと心配になりました。
タオルと比べ手ぬぐいは速乾性がある分、雑菌の繁殖が抑えられて衛生的だと考えたのが、今回選んだポイントでした。
折りたたみクッション⇒緩衝材を選んだ理由
近所の100均を何件か回ったのですが、好みに合ったクッションを見つけられず、今回は家にあった緩衝材を入れました。
今後、良さそうなコンパクトなクッションを見つけられたら、中身をアップデートする予定です。
例えば今回のリストをベースに、自分にとって「心が落ち着くもの」等を追加してカスタマイズしていくのはどうでしょうか?
時期や状況に応じて見直すことで、より自分にあった備えにバージョンアップさせることもできますね!
ていうか、防災リュックって自分次第で無限に進化させられそうで育てがいありそう!(キラキラ)
notice
今回は初心者でもつくりやすい、「軽量化に特化した防災リュックを作る」のがテーマのため「非常用トイレ」は敢えて外しました。
過去に被災したときには、浴槽に溜めた水を使いトイレの水を流していましたが、それすらも出来ない状況に陥る可能性だってあります。
最近では「非常用トイレ」でさえも100均で購入することが可能です。
軽量化を目指した防災リュック完成!
防災士の2人と考えたリストのグッズを揃え、いよいよパッキング開始です!
中身一覧を公開!
今回私が作りたかった防災リュック▲は「初めてでもつくりやすい」「軽量化」「5kg以内」がポイントでした。
実際どのくらいの重さになったか、結果発表です!
※画像は厳選しています
結果発表!!
※1 ジッパーバッグ…【SSSサイズ(3g)×1枚、Sサイズ(4g)×2枚、Mサイズ(7g)×2枚】
※2 常備薬…【風邪薬(1回分)、鎮痛薬(4回分)、鼻炎薬(2回分)】
余裕です!!
防災リュックの詰め方
防災リュックづくりもいよいよ終盤。
最後は用意したグッズをリュックに詰めていきます。
point
- 重いものはリュックの一番上&背中側に入れる ⇒ 重さを感じにくい
- 細かくパッキングし、荷物を整理する ⇒ リュックの中が散乱しにくい
- 防水処置をする ⇒ 雨の日対策
早速やってみたのですが、①はうまくできず…。ペットボトルは背中側に入れられたのですが、入れるグッズが少なく重いものをリュックの一番上に入れることは無理でした。
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重さもそこまで気になりませんでした!
試しに男性スタッフにも背負ってもらいました!
最初の一歩!軽量化を求めた「My防災リュック」
できるところから始めた防災リュックづくり。
軽量化に特化した今回のリスト▲は、ほぼ家にあるもので作った最低限の内容だったため、想像よりも準備しやすかったです。
いままで「防災」と聞くと「近いのに少し遠い存在」のように感じ、なかなか動き出すことが出来ずにいました。
今回身近なスーパーや100均で「備え」を揃えることができたのは、だいぶハードルが下がる良い経験でした。
これで少し「安心」に一歩近づけ、やっと「最初の一歩」を踏み出すことができたのではと満足しています。
まとめ:私でもできた!防災リュックの作り方
これまでのポイントをまとめました。(下線部をタップで該当の文章へ戻れます。)
- どんな防災リュックを作りたいか考える
自分にとって必要なものを考えてみましょう。 - 家族で一つではなく必要人数分用意する
その人にあった内容で用意しましょう。 - 身体にあったリュックを選ぶ
背負って避難することを考え、疲れにくく身体にあったものを選びましょう。 - 家にある使い慣れたもので備える
特別なものではなく、普段から使い慣れたものを備えましょう。 - リュックの詰め方を工夫する
少しでも軽く感じられるよう、詰め方を工夫しましょう。
人によって必要になるものは様々で、環境・家族・性別・年齢によっても変化するため、一概には言い切れません。
これを機に、もしもに備え非常時に少しでも安心できるよう、自分オリジナルの防災リュックを用意してみてはどうでしょうか♪