相次ぐ自然災害を受けて、キリンビバレッジ株式会社が飲料水の備蓄に関する調査を行いました。
調査を受けた人のうち半数が「普段から自然災害を意識している」と答えたものの、実際に必要量を備蓄できている家庭はごく少数だったようです。(※1)
絶対に必要だと理解している水だからこそ、十分な量を安全に保管しておくことが大事です。
あなたのご家庭では、どれくらいの量の水の備蓄が必要でしょうか?
この機会に正しく知っておきましょう。
この記事の目次
非常時に必要な水の量はどれくらい?
非常時には、一人あたり1日3Lの水が必要です。
詳しく見てみましょう。
飲料水の必要量のめやす
3Lの水のうち、1Lは飲用、2Lは調理用とされています。
非常用としては、最低でも3日分の水と食料を確保しておくように勧められています。(※2)
さらに一週間分の備えがあれば、より安心です。
世帯人数ごとに最低限必要な量と、できれば備えてほしい一週間分の量をまとめてみました。
家族の人数 | 3日分 | 1週間分 |
---|---|---|
一人暮らし | 9L | 21L |
夫婦 | 18L | 42L |
4人家族 | 36L | 84L |
一人暮らしであれば、3日分で9L、一週間分で21Lの水が必要です。
夫婦であれば、3日分で18L、一週間分で42Lになります。
4人家族の場合は、3日分で36L、一週間分で84Lもの水が必要な計算になります。
赤ちゃんがいる場合
赤ちゃんがいるご家庭の場合、被災時の授乳は大きな問題となります。
水を沸騰させて湯冷ましすることが難しくなるので、粉ミルクをあげられなくなってしまう可能性があるのです。
赤ちゃんがいる場合には、非常用に液体ミルクを用意しておく必要があるかもしれません。
液体ミルクは缶やパック入りで常温保存ができます。
大人用の飲料水と一緒に、非常用に備蓄しておいてはいかがでしょうか。
本当に一週間分の水が必要なのか
一週間分の水というと大量に感じますね。
特に4人家族の場合は、前述したように84Lもの水が必要になります。
しかし近年は自然災害が増えていることを受けて、多くの人がその重要性を認識しているようです。
上記でも触れたアンケートによると、2013年の調査実施時には、対象者のうち水のストックをしている家庭は約半数でした。
その中でも3日分以上の備蓄をしていたのは3.8%のみだったようです。(※3)
ですが近年、少しずつ非常用の備蓄の大切さが認識され、飲料水を用意する人が増えているようです。
備蓄についての意識が変わってきている理由として、
- 自然災害が増えていること
- 被災者が備蓄の必要性を訴えていること
が挙げられます。
2016年に発生した熊本地震では「エコノミー症候群」で亡くなった方のニュースが報道されました。
被災地でエコノミー症候群が多発した背景には、水分補給の不足があったと言われています。
一般財団法人ダイバーシティ研究所が行った「2018年自然災害被災者に聞いた、防災についてのアンケート」によると、被災後の3日間で「あってよかったもの」と「なくて困ったもの」、そして「これは絶対用意すべきと感じたもの」という質問に対して、1位は「モバイルバッテリー」、2位は「水」という回答となっていました。
これらの結果を見るだけでも、災害時には水が最重要視されること、そして十分な量の水を確保する必要があることがわかります。
被災後に給水車が来るまでにかかる時間は、災害の大きさや道路の状況により異なります。
一般的には3日程度で給水車が来ると言われていますが、緊急時のことを考えると一週間分の備えがあると安心できるでしょう。
水不足が引き起こす健康障害
被災時には体を動かすことが少なく、車で寝泊りする人も多いため、エコノミー症候群を発症する人が多くなります。
notice
エコノミー症候群が発症する理由は、食事や水分を十分に摂らない状態で長時間足を動かさないでいることです。厚生労働省が発表しているエコノミー症候群予防策の中でも、こまめに水分を摂ることが推奨されています。(※4)
水分不足はエコノミー症候群だけでなく、尿路結石や心筋梗塞、感染症などの発症の原因にもなります。
被災後は身体的にも精神的にも疲れきっています。
普段以上に十分に水分を摂り、健康管理をする必要があると言えます。
非常用の飲料水はどうやって備えるのが正解か
実際に家族全員の一週間用の水を用意し、管理するのは難しいと感じるかもしれません。
大量の飲料水を保管し、賞味期限を管理する方法を考えてみましょう。
飲料水におすすめの保管方法
飲料水の保管方法には、次の2種類があります。
- 通常保管
- ローリングストックによる保管
通常保管の場合、飲料水の賞味期限である2年ごとにすべてを取り替える必要があります。
最近は5年、または10年も賞味期限がある災害用の飲料水もあり、賞味期限のチェックが面倒な方におすすめです。
しかしこの方法だと、ついつい賞味期限を忘れてしまいがちです。
いざ使用するときに賞味期限が切れていた…なんてことが起こるかもしれません。
さらに賞味期限が長い非常用の水は価格が高く、家族全員分を購入するのは負担に感じる方が多いでしょう。
そこでおすすめなのがローリングストックによる保管です。 非常食や防災グッズについて調べていると、ローリングストックという言葉をよく目にします。 従来の備えっぱなしとは異なる新しい防災の形なのですが、実際どうすればいいのかわからない方も多いのではないでしょう ...
ローリングストックとは、普段の備蓄を多めにして、その備蓄を日常生活で消費し、消費した分を買い足していくという保管方法です。
ローリングストックって何?賢く活用して非常食の賞味期限切れを防ごう
水をローリングストックで備えておくと、どんなメリットがあるのでしょうか。
merit
- 大きなメリットは、一番古い水から使用し、新しい水を買い足していくので、常に備蓄を新鮮なものにすることができる点です。
水の賞味期限が近づいたのに気づかない、なんてミスもなくなります。 - もうひとつは、コストが安い点です。
スーパーで安売りしている水を使うこともできるので、非常用の水を購入するよりもかなり安く、家族全員分の水を備蓄することができます。
では、ローリングストックにした場合のデメリットはどうでしょうか。
demerit
水を購入する頻度が増えることでしょう。
買い忘れを防ぐためには、定期便で水を購入することもおすすめです。
数週間や数ヶ月おきに家まで運んでくれるので、買い忘れも、重いペットボトルを運ぶ必要もなくなります。
水を購入するのが面倒だ、という方にはウォーターサーバーがおすすめです。
ウォーターサーバーを契約すれば、定期的に新しい水が届きます。
常に換えのボトルやウォーターパックがあるので、その水を備蓄水として使うことができます。
ボトルを多めに注文しておき、古い方から使うようにすれば、ウォーターサーバーを使ってローリングストックできます。
ウォーターサーバーの中には、災害時のために停電しても中の水を使用できる設定になっているものがあります。
災害の備えのためにウォーターサーバーを始める、というのも選択肢かもしれませんね。
保管する場所はどこがいい?
飲料水は冷暗所に保管しましょう。
匂いがうつってしまう可能性があるので、芳香剤等の近くには置かないようにしましょう。
ローリングストックを実践する場合、普段使うのに取り出しやすい場所と、大量保管できる場所との2ヶ所に保管するのがおすすめです。
キッチンなど手の届きやすい場所に日常使いのボトルを、押入れなど大量に保管できる場所に残りのボトルを保管しましょう。
手の届きやすい場所には、日常で使いやすい500mlのペットボトルを置くことができます。
外出時にもすぐに持ち出すことができ、便利ですね。
押入れなどには、調理など大量に水を使用するときに便利な2Lのペットボトルを置くと良いでしょう。
賞味期限がすぐに確認できるように工夫して保管すると、見落としがなくなります。
水のペットボトルの賞味期限は見づらいので、賞味期限が近づくとプッシュ通知でお知らせしてくれるアプリなどを利用するのもおすすめです。
check!
水などの防災備蓄の保管・収納については、ママたちの本音が炸裂する座談会も参考にしてください。
日常使いにおすすめの備蓄飲料水
500mlのペットボトルを1ケース程度購入しておくと、日常使いにも備蓄にも便利です。
会社や外出先に持っていくことでどんどん消費されるので、使った分を買い足すことで自然にローリングストックができ、常に新鮮な水が備蓄されます。
防災リュックに入れるためにも、500mlボトルが軽量かつコンパクトで最適です。
日常にも使える備蓄水は、キリンビバレッジの「アルカリイオンの水」がおすすめです。
point
- 毎日飲むお水なので、口当たりがよくまろやかなものが良いでしょう。
アルカリイオンの水はまろやかで飲みやすい軟水ですので、食事や運動など色々なシーンで美味しく飲めます。 - 備蓄用のミネラルウォーターはパッケージが開けづらかったり、見た目がおしゃれではなく持ち歩きしにくい場合もあります。
アルカリイオンの水はコンパクトかつ見た目もスタイリッシュなので、毎日使いやすいミネラルウォーターです。
賞味期限はミネラルウォーターの中では長めの2年ですので、ローリングストックを繰り返せば賞味期限が切れてしまうこともないでしょう。
いつも外出先で水を購入している方は、これを機に飲料水のローリングストックを始めてみませんか?
調理用におすすめの備蓄飲料水
調理用には、ケイ・エフ・ジーの「純天然アルカリ保存水」がおすすめです。
point
- 何といっても、7年も保存可能というのが最大の魅力です。
- ミネラル分が豊富なため、被災時のミネラル不足を補ってくれるでしょう。
- 一週間分の水を備えるとなると大量になるので、500mlボトルだけでなく2Lボトルも揃えるのが正解です。
しかし2Lボトルの場合、なかなか使用する機会がないので、賞味期限がうっかり過ぎてしまう危険もあるでしょう。
「純天然アルカリ保存水」ならば賞味期限が長いので、そんなうっかりミスも防ぐことができます。
ミネラル分が高いわりに飲みやすい味なので、普段のお料理に使ってローリングストックするのにも最適です。
赤ちゃんにおすすめの備蓄飲料水
赤ちゃんのためには軟水を選ぶ必要があります。
赤ちゃんのミルクを作るときには軟水を使うのが鉄則ですので、非常用の備蓄水ももちろん軟水にするべきです。
notice
ミネラルウォーターには「硬水」と「軟水」があります。
水に含まれたミネラルやカルシウムの量が120mg/L以上だと硬水、120mg/L以下だと軟水になります。
消化器官が発達していない赤ちゃんが硬水を飲むと、下痢を引き起こす可能性があります。
おすすめは、株式会社ジャパン・ミネラルの「カムイワッカ麗水」です。
point
- 赤ちゃんにも安心の軟水であるだけでなく、2008年に行われた洞爺湖サミットで各国の首脳に提供されたという有名なミネラルウォーターです。
- 公的機関の水質分析試験による基準を満たした15年間保存水として販売されているため、長期保存の後でも安心して赤ちゃんに飲ませることができます。
赤ちゃんのための飲料水こそ、公的な基準を満たした安心な備蓄水を選びましょう。
配給された水の保管方法
被災時には、災害時応急給水地点にて、または給水車により水が供給されます。
水の配給を受けるためには、被災者が水を入れる容器を持参して給水地点まで出向く必要があります。
(※高齢者や障害者など、給水地点まで行くのが難しい方の場合は給水車が運搬する場合もあります)
配給される水を入れるための容器を備えている方は、意外と少ないようです。
以下のような容器が望ましいとされています。
- 水がたくさん入る
- 持ちやすい
- しっかりした強度がある
- 衛生的
最近はビニール製で折りたたみ式のウォータータンクも販売されています。保管にはちょうどよいのですが、強度を確認しておく必要があります。事前に水を入れてみて、持ち運びできるほどの強度があるのか確認しておきましょう。
100円ショップで買えるウォータージャグもありますよ。
夏休み、食事作りに追われてぐったりのママとは対照的に、子どもたちは元気いっぱい🤣
遊びに夢中で水分を摂るのを忘れがちなので、週末は #百均 (で¥400)のウォータージャグを活用してみました🔫 #防災 用に購入したものですが、ドリンクバー気分で楽しく水分補給できたようです✨ #いつもしも pic.twitter.com/WYnt8Fixud— いつもしも◇子どもとママの防災 (@itumosimo) August 2, 2021
容器を使い回しする場合は、洗って乾かせる衛生的なものである必要があります。飲料水を入れるので、しっかり蓋が閉まって雑菌の混入を防げるものがおすすめです。
水道水はどれほど保管できるのか
自宅で水道水を保管する場合、また災害時に供給される水を保管する場合は、何日くらいを目安に使いきったほうが良いのでしょうか。
水道水には雑菌が繁殖しないように、塩素が使用されています。塩素の効果が発揮されている期間中は、安全に水を飲むことができます。
災害時に供給される水も、水道水からきていますので、同じことが言えます。
notice
塩素の効果が発揮される期間は、3~5日間と言われています。
この期間が過ぎると、雑菌が繁殖する可能性が高くなり、飲料水として使うのは危険です。
水を保管する容器が汚れていたり、前回の水が残っていたりすると、塩素の効果が薄れる可能性もあります。
清潔な容器に入れて、早めに消費しましょう。(※5)
また、浄水器には水の味を良くする機能がありますが、塩素を取り去ってしまいます。
そのため、浄水器を通した水はすぐに飲みきる必要があります。
賞味期限切れの水は飲めるって本当!?
早く消費するように気をつけていても、備蓄用の水が賞味期限を過ぎていた…なんてことはよく起こります。
その度に水を捨てていると、「もったいないな」と思ってしまいますよね。
ですが実は、賞味期限を過ぎた水も飲むことができるってご存知でしたか?
memo
産経新聞の記事によると、水のパッケージに書かれた期限は「消費期限」でなく「賞味期限」です。消費期限の場合は、安全が保証されている期間なので、期限を過ぎたものは飲まないほうが良いでしょう。
しかし賞味期限の場合は美味しく飲める期間を指しているので、安全上は問題ないと言えます。
さらにミネラルウォーターの賞味期限の場合、賞味期限の中でも表示された容量が確保できる期限が書かれているのです。
ペットボトルの容器には通気性があり、中の水は微量ですが蒸発していきます。
一定期間が過ぎると表示されている内容量よりも少なくなってしまうため、記載されている量と異なることを避けて、賞味期限を設けているのです。
ただし、健康に害がないとはいえ味は落ちているかもしれません。
美味しく飲むためには、やはりローリングストックしながら常に新鮮な水を用意しておくことをおすすめします。
著しく賞味期限を過ぎてしまった水は、手を洗ったり生活用水として使うことができます。
まとめ
私たちの体の60%は水分でできています。
水は生命維持のために欠かせないものであり、被災時には特に重要です。
被災時は栄養不足やストレスゆえに体調不良になりがちなので、そんな時こそ十分に水分を摂りましょう。
そのためにも、普段から必要量の飲料水を確保しておくことが大切です。
正しく水の備蓄をして、家族の健康を守りましょう。