その備蓄で栄養バランスは大丈夫?栄養素から考える非常食 - いつもしも

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その備蓄で栄養バランスは大丈夫?栄養素から考える非常食

2019年11月21日

栄養バランス 非常食
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近年台風や地震の発生率が増加しているため、非常食は
もしものために用意するけど、使わないもの」という認識から、
すぐに使えて、健康管理のために役立つもの」という認識へと変化しています。

いま備える非常食で、被災時の家族の健康が左右されるとも言えるのです。

以前に起きた災害時の経験を見て、どんな非常食が理想的なのか探りましょう。

どんな栄養素が特に必要なのかどんな非常食・ストック食材を備えればいいか、まとめました。

非常食に栄養バランスは必要なのか

最低限のエネルギーとなる非常食従来の非常食は、

  • カロリーが摂取できること
  • 腹持ちが良いこと
  • 賞味期限が長いこと

などが重視されていました。

しかし今、相次ぐ災害により非常食に求められるものが変わってきています。

実際に被災した際に浮き彫りになった、問題点を見てみましょう。

非常食の抱える問題

平成23年の東日本大震災は、すべての人に恐怖を与えたとともに、災害の備えについて見直させる機会となりました。

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実際に農林水産省が行った調査によると、東日本大震災発生前の平成22年には非常食の準備(水・食料ともに)を行っている人は全体の37%でした。

しかし、地震発生後の平成24年9月には、非常食の準備を行っている人の割合が52%にまで増加しました。(※1

こうして非常食に関する関心が高まっているのはとても良いことです。

しかし従来の非常食を備えておくだけでは、補えない問題点もあることもわかってきました。

災害時には災害が原因で怪我等の発生が増えるだけでなく、二次災害として健康被害が増加します。

被災時に健康被害が増える理由は、

  • 栄養不足
  • ストレス
  • 衛生環境の悪化

が挙げられます。

被災時には栄養不足や運動不足により疲れやすくなる傾向があり、動かなくなってしまうので身体機能が低下する、という悪循環に陥りがちです。

仕事や家を失った精神的ストレスは大きく、解決策が見つかるまでの時間が長いと、ストレスが体の不調として現れることもあります。

衛生環境は地方自治体の対応に左右される部分が大きいので、個人で環境を改善させるためには限界があります。

自分を守るために最善は尽くしますが、避難所の衛生環境を改善させるためには、地方自治体の協力が必要でしょう。

こうして考えると、上記の3つの中で、個人として今から備えることができるのは「栄養」面での対策であると言えます。

非常食の栄養バランスが摂れていると、被災時に起きがちな健康被害から自分の身を守りやすくなります。

とりわけ子どもを持つ家庭であれば、発達途中である子どもの健康を守るための非常食に気を使うのは不可欠なことですよね。

では具体的に、被災時に不足しがちな栄養素と、不足した場合に起こる弊害を見てみましょう。

被災時に不足しがちな栄養素

野菜東日本大震災後、健康を維持するための栄養素が補給できるまでは、かなりの時間がかかったようです。(※2

これは災害発生時には食物の分配が少なく、炊き出し等の配給食が始まるまでの栄養がどうしても不足しがちだった為でしょう。

もちろん政府も東日本大震災の教訓を生かして非常食の見直しを行い、被災時の栄養不足対策を行っています。

しかし、各自が非常食の備えを通して健康管理ができると、健康被害を予防することができ心強いですね。

被災時には生命の維持が第一とされるため、カロリーの高い食品が求められます。

しかし、カロリーだけを考えて食事をしていると、他の栄養素が不足しバランスが悪い状態が続いてしまいます。

特に不足しがちなのは、ビタミン、ミネラル、食物繊維、たんぱく質です。
しかしエネルギー源となる炭水化物や脂質も、充分な量摂取するべきです。

不足しがちな栄養素と、起こりがちなトラブル

被災時に特に摂取を心がけるべき栄養素と、不足したときに起こりがちなトラブルをまとめました。

ビタミン

緑黄色野菜ビタミンとは、人が健康を維持するために必要な働きをする栄養素です。

水溶性と油溶性に分かれますが、特に水溶性ビタミンは余剰分が体外に排出されてしまうので、摂取し続ける必要があります。

名称代表的な食材不足すると種類
ビタミンAレバー、卵、緑黄色野菜、乳製品皮膚、粘膜の保護機能・
視機能が低下する
水溶性
ビタミンDまぐろ、かつお、干ししいたけ、きくらげカルシウムやリンの吸収が悪くなる水溶性
ビタミンEアーモンド、かぼちゃ、大豆、穀類体内の抗酸化作用が低下する水溶性
ビタミンK納豆、緑黄色野菜血液凝固機能・骨をつくる
機能が低下する
水溶性
ビタミンB1豚肉、玄米、大豆、牛乳、チーズ糖質の代謝が悪くなる油溶性
ビタミンB12レバー、肉、さんま、卵たんぱく質の合成機能・
赤血球の生成機能が低下する
油溶性
ビタミンCトマト等の緑黄色野菜、みかん等の果物、緑茶コレステロールの代謝の働き・
毛細血管や軟骨の組織維持機能が低下する
油溶性
ナイアシン海草類、きのこ類、レバー糖質や脂質の代謝機能が低下する油溶性

▲表は横にスクロールできます

ビタミンは生きていくうえで欠かせない栄養素です。

他の栄養素が働くための補助的な役割もするため、ビタミンが不足していると、他をきちんと摂取していても栄養が吸収されない可能性があります。

しかも、ビタミンは体内でほとんど作ることができないため、どうしても食品から摂取する必要があります。

それぞれのビタミンに役割がありますが、食物の代謝、肌や皮膚の生成等に役立っています。

被災時であってもビタミンを忘れずに摂取することで、感染症から体を守ったり、子どもの成長が正常に行われる助けとなります。

ミネラル

海藻サラダミネラルとは、私たちの身体の臓器や組織のいろいろな反応を円滑に働かせるために必要な栄養素です。

体内で生成することができないため、食事から摂取する必要があります。

体内組織の反応や臓器の働きを助ける役割があり、不足すると欠乏症になります。

名称代表的な食材不足すると
カルシウム牛乳、ほうれん草、小魚類、海草類、ナッツ類筋肉や神経、心臓機能が低下する恐れがある
亜鉛牛肉、大豆、カキ、レバー消化や代謝が悪くなる、免疫力が低下する
カリウム海草類、緑黄色野菜、ナッツ類血圧調整機能、心筋収縮機能が低下し、高血圧や疲労感を引き起こす
レバー、赤身肉、海藻類、納豆ヘモグロビンを生成できなくなり、貧血症状を引き起こす

▲表は横にスクロールできます

現代人は偏った食生活のためミネラル不足と言われていますが、被災時にはよりミネラルが不足する恐れがあり、欠乏症になる可能性が高いです。

食物繊維

ほうれん草食物繊維とは、便秘の予防をはじめとする整腸効果に欠かせない栄養素です。

また、血糖値抑制コレステロール低下などの生活習慣病予防にも効果があります。

代表的な食材

切干大根、ごぼう、ほうれん草、オートミール、きくらげ、干しいちじく、大豆、海藻類

不足すると

  • 便秘、それが原因の肌荒れ等を引き起こす
  • 大腸がんのリスクが高まる(有害物質が大腸で溜まるため)
  • コレステロール値が上がる・高血圧になる

被災時には便秘になりやすいため、食物繊維は積極的に摂取したい成分です。

避難生活を続けていると高血圧になるリスクが高まるという報告もあるため、食物繊維を充分に摂取して生活習慣病予防を行うべきと言えます。

たんぱく質

豚肉たんぱく質とは、筋肉や臓器の構成、ホルモンや免疫成分の生成など、体内の健康を維持するために大切な栄養素です。

私たちの生命維持や様々な活動に欠かせないエネルギー源で、糖質・脂質と並ぶ「三大栄養素」と呼ばれています。

動物性たんぱく質と植物性たんぱく質があり、動物性たんぱく質の方が吸収が良いです。

代表的な食材

肉類、魚類、乳製品、卵、大豆

不足すると

  • 体の組織の成長、修復が遅くなる
  • 糖質の代謝が遅くなる
  • 肝臓に脂肪が溜まりやすくなる
  • 精神が不安定になる

たんぱく質は、主に筋力向上機能がある成分として知られていますが、肝機能や精神安定機能にも関係しているため、不足すると体にも心にも弊害が出ることがわかります。

缶詰などを上手に用いて、被災時もたんぱく質を摂取し続ける工夫が必要です。

エネルギー補給も忘れずに

上記の栄養素は、非常食から摂取することが比較的難しいという意味で積極的に摂る必要がありますが、体を動かす力となるカロリー補給も忘れてはなりません。

一日のカロリー必要量

  • 30~49歳男性(活動レベル:普通)の一日の推定エネルギー必要量:2,650kcal
  • 30~49歳女性(活動レベル:普通)の一日の推定エネルギー必要量:2,000kcal※3

非常食には「おにぎり」や「パン」が多いためエネルギーは補給できていると思われがちですが、一日に本当に必要な量を非常食から摂取するのは難しいようです。

炭水化物や脂質が不足すると疲れやすくなったり、脳がうまく働かず思考がぼんやりとしてしまいます。

被災時にはストレスゆえに精神的な病が発症する割合も高くなりますが、エネルギー不足時はその割合が更に上がってしまうでしょう。

注意力が散漫になり、判断力が鈍るので、少しのことでイラッとしたり、他の人に当たってしまう可能性もあります。

避難生活をしていると共同生活者同士のトラブルがつきものですが、栄養不足で正常な判断ができないと、トラブルも大きくなってしまう可能性があります。

栄養不足にならないための、非常食のススメ

お米を食べる女の子ここからは、上記の必要な栄養素を摂取するための、具体的な非常食の例を取り上げたいと思います。

それぞれの組み合わせについてもまとめましたので、ぜひ参考にしてくださいね。

栄養素別・おすすめの非常食

非常食を選ぶ際には、味や値段だけではなく、栄養素のバランスを考えて選びましょう。

どんな食品が必要栄養素を含んでいるかを知っていれば、スーパーに売っているものなど手軽なものでも、栄養バランスの取れた非常食を揃えることができます。

非常用に販売されているものと比べて賞味期限が短いので、ローリングストック法を活用して備えましょう。

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上記の不足しがちな栄養素をカバーするための、おすすめの非常食をまとめました。

ビタミンの摂取におすすめの非常食

  • 缶入りの野菜…コーン缶など
  • フルーツ缶…みかん、桃など
  • ドライフルーツ
  • 野菜ジュース

ミネラルの摂取におすすめの非常食

  • 海藻等の乾物…ひじき、わかめ、昆布など
  • 乾燥した野菜…切り干し大根、干し芋など
  • ドライフルーツ

食物繊維の摂取におすすめの非常食

  • 海藻等の乾物
  • 切り干し大根
  • 干しいちじく
  • 食物繊維配合量が多い保存用パン(大麦・ライ麦・ふすま等を使用したもの)

たんぱく質の摂取におすすめの非常食

  • 魚の缶詰…ツナ、鯖など
  • 肉の缶詰…やきとり、コンビーフ、スパムなど
  • 豆の缶詰…ミックスビーンズ、ひよこ豆などサラダ感覚で食べられるもの
  • レトルトフード…ハンバーグ、牛丼の素など

エネルギー不足?と思ったときにおすすめの非常食

避難生活をしていて、「何となく力が出ない」と感じるときにはエネルギー不足である場合もあります。
手軽にエネルギーを補給できる非常食を活用しましょう。

  • アルファ米
    水だけでも食べられるものであれば、お湯がないときに便利です。
  • 缶入りのパン
    バター入りであれば、脂質も入っています。
  • 麺類
    即席麺はすぐ食べられるように、乾麺は調理が可能になったときのために準備しましょう。

以下のものを用意しておくと、避難中など移動している時にも、簡単にエネルギー補給ができ便利です。

移動中におすすめ

  • ピーナッツバター
  • バランスバー
  • ナッツ類

米+おかずで栄養バランスも腹持ちも◎!おすすめの組み合わせ

すべての栄養素を一度の食事で摂ることは、被災時は難しいでしょう。

しかし上記の例を覚えておくことで、何と何を組み合わせて食べるとよりバランスが良いか、というイメージが湧きやすくなります。

実際に組み合わせの例を紹介しましょう。

朝ごはんの例

缶入りパンと長期保存野菜ジュース缶

  • 缶入りのパン(エネルギー不足気味であればピーナッツバターをプラス)
  • 野菜ジュース

炭水化物と脂質、ビタミンを摂取でき、ピーナッツバターを加えればカロリーが上がります。

昼ごはんの例

五目ご飯とサバ缶と味噌汁

  • 五目ご飯(アルファ米)
  • 即席味噌汁
  • 鯖の缶詰

海草入りの味噌汁であればミネラルを摂取できます。
鯖の缶詰が骨入りで調理してあるものなら、カルシウムの摂取もできるのでおすすめです。

夜ご飯の例

牛丼セットとみかん缶

  • 牛丼(アルファ米+レトルト)
  • みかん(フルーツ缶)

たんぱく質とビタミンが摂取できます。
ビタミンを摂ることでたんぱく質の吸収も良くなるので、おすすめの組み合わせです。

このように、スーパーにある手軽なものでも、非常食用に栄養バランスの良い献立をつくるのは可能です。

すでに非常食を揃えている方も、改めてその組み合わせを考えてみてはいかがでしょうか。

子どものための非常食・野菜嫌いは今から対策を!

トマトを食べる女の子ご家庭にお子さんがいらっしゃる場合、成長に応じた非常食を用意する必要があります。

栄養が不足すると、からだの育成にも関わってしまうでしょう。

親が食べる非常食を分け合って食べることができるのが理想ですが、子どもの場合味が気にいらないと食事をしない、なんてトラブルもあります。

しかし、子どもの好みの味のものばかりを揃えていると、脂質や炭水化物が多くなりビタミンやミネラルが不足する傾向があります。

災害が起こる前の今から、非常食を食べなれておくと良いでしょう。

難しいですが、好き嫌いをなくす努力をしておくと、被災時に配給したものも問題なく食べることができ、健康維持に役立ちます。

まとめ

非常食の栄養バランスを考えることは、被災時の家族の健康を守ることに直結します。

被災する前に、必要な栄養素とそれを含む食品を知っておくと、被災時の混乱の中でも、栄養バランスを考えながら非常食の組み合わせを考えることができるでしょう。

非常食を選ぶ際にも、組み合わせる際にも役立つので、ぜひ覚えておきたいですね。

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  • この記事を書いた人

kururi

眼科勤務後、ボランティア活動のために海外へ移住。異文化の中で、様々な「幸せのカタチ」を目の当たりにしました。現在はライターとして、日々感じたことや学んだことを発信しています!

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