地震被災後の片付けマニュアル―鉄則は「焦るべからず」十分な安全対策を―

2020年2月3日

掃除道具
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大きな地震の直後、部屋がめちゃくちゃ……。
思わず「急いで片付けなくちゃ」と、動き回りたくなりますが、ちょっと待って!

地震被災直後に慌てて片付けを始めると、避難が遅れてその後の余震や津波で再び命の危険にさらされる確率が上がりますし、準備・確認のないまま作業を始めるとケガや火災、感電などのリスクも高まります。

また、被災による補償が十分に受けられない可能性も……。

まずは最優先でしっかり身の安全を確保した後、緊急の防犯対策を行って、気持ちが落ち着いたところでゆっくりと片付けを始めても遅くはありません。

今回は、水害被害以外の地震時の片付けを、手順を追って見ていきましょう。

家の中の片付けで、最大の難敵である割れたガラスの片付けについても徹底解説!

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地震後の片付けまとめ

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▼台風で被災した場合の片付けについては、別途こちらの記事でまとめています。

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地震後の片付けは、急ぎすぎない~二次被害を防ぐために~

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その理由には「どうせ津波はここまで来ない」と経験則に頼ったこともありますが、「とにかくこの家の惨状を何とかしなくちゃ」と片付けを始めてしまったという理由もあるそうです。

大地震でなんとか命が助かり家の倒壊を免れたとしても、その後の余震(最初より強い揺れの場合もあります)や津波が原因で、せっかく助かった命を落としたら元も子もありません。

大地震発災直後は、自分と子どもの命を守ることだけを考えます。

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避難の準備をしているとき、お醤油瓶やジュースがこぼれて床やカーペットがびしょびしょになっていたりすると、つい「あ、拭いておかなきゃシミになる……」なんて気になってしまいますが、心を鬼にして放置。

次の大きな余震が再び襲って来たり、家の倒壊が始まったり、津波が押し寄せる可能性があるからです。

一度避難した後、家の様子を見に行くときも、すぐに片付けを始めるのはNGです。

家が全壊までいかなくても、壁にひびが入っていたり傾いているような場合は、しっかりとした準備や身支度もせず慌てて中に入って片付けを始めると、散乱したガラスなどで大けがをしたり、家屋倒壊の危険があります。

漏電やガス漏れに気付かず、うっかり電気のスイッチに手を触れると火災や爆発の危険もあります。

また大地震の後は、数日~数週間に渡って、大きな余震が来る場合も多いです。

家自体が無事だったとしても、あまりに急いで本格的な片付けをすると、次の余震で再度、物が散乱するという事態にもなりがちです。

大地震を経験したママの話

熊本地震に遭ったとき、家は壊れなかったのですが部屋の中がめちゃくちゃになりました。

1日避難所で過ごして帰宅した直後、『早く元通りにしなくちゃ』と寝ないで片付けたんです。

あのときは精神的にまだまだ混乱していて、家の中が元通りになれば、大地震自体がなかったことになるような気になっていたんでしょうね。

割れていない食器や生活用品をなんとか棚などに収納し、割れたガラスや壊れた家電などをまとめ終わったのですが、その翌日にまた大きな地震が! 部屋は片付け前と同じ大惨状。

さすがに心が折れて、最低限の処置をした後、県外の実家に1週間ほど避難。
その後、ゆっくり片づけました。

今考えると、余震が頻繁に起きる被災後1か月くらいは、いつも通りの片付けをするのではなく、高い場所にしまっていた重いものは床におろし、割れやすい食器類などは段ボールなどにまとめる程度のほうが安全だと思います。

実際、地震で本棚が歪んで、棚を買い直すまで本は元に戻せなかったし。

被災してしばらくは荷物は仮置きくらいにしておいて、家の補修や大きな家具や家電の転倒防止対策などをしっかりしてから、本格的な片付けに入るといいと思います。

忘れないで! 地震の片付け作業前にすべきこと6つ

家の外観ひとまず津波などの危険もなくなり、自宅に戻ることになっても、実際の片付け作業に取り掛かる前に、しておくことがいくつかあります。

どれも非常に重要ですが、人生に何度もあるわけではない大震災の直後だと、思わず気が動転して忘れてしまいがち。

まずは気を落ち着けて、以下の6つを確実に行いましょう。作業前チェックポイント

被害の状況を家の外からチェック

まずは「応急危険度判定」のステッカーをチェック。

大地震が起こると、速やかに自治体職員や自治体から派遣された建築士などが建築物の被害状況を一戸ずつ確認する「応急危険度判定」が行われます。

これは被災した建物を「調査済み(使用可能)」、「要注意」、「危険」という3つのレベルに区分け判定していくものです。

判定後の建造物には赤・黄・緑のステッカーが家屋の入り口や外壁などに貼られます。

荷物の持ち出しや片付け作業のために帰宅する場合、安全のためにも、できるだけこのステッカーが貼られてから(専門家がチェックしてから)、家の中に入るかどうかを判断しましょう。

応急危険度判定ステッカーの意味

応急危険度判定

  •  調査済み……この表示がある建物は使用が可能です
  •  要注意……この表示がある建物の立ち入りには十分注意してください
  •  危険……この表示がある建物には立ち入らないでください

緑色の「調査済み」ステッカーが貼られている場合は、家の中での片付けや荷物の持ち出し、その後、家の中で生活しても大丈夫です。

しかし「要注意」の黄色のステッカーの場合は、中に入って作業する場合には注意が必要です。
危険なので、子供は決して連れて入らないこと。

最小限の荷物の持ち出し、片づけを行ったら、できるだけ早く専門家に詳しくチェックを依頼。なお、必要な修理・補修が終わるまでは、家に住んで生活することはむずかしいでしょう。

そして、赤い「危険」ステッカーがある場合は、どんな理由があっても勝手に中に入ってはいけません。

どうしても持ち出す必要がある荷物などがある場合は、自治体などに相談してから取り出すようにしましょう。
片付けはひとまず諦めてください。

「応急危険度判定」とは

大規模地震で建築物が被災すると、その後の余震などで倒壊したり、建物の一部が落下・転倒による二次災害発生の恐れがあります。
そのため応急危険度判定員が被災後にできるだけ速やかに、かつ短時間で建物の被害状況を調査し、その建築物が当面使用できるかどうかを判断するものです。
これは緊急時の暫定的な判定で、のちに十分な調査を行った場合とは異なる場合があります。
また、罹災証明のための被害調査でもありません。

緑色の「調査済み」ステッカーが貼ってあれば家の中に入ることができますが、まずは家の外側をぐるりとチェックしましょう。

家の外を四方からしっかり確認して、などが壊れていないか、周囲の電線が切れて垂れ下がっていたりしないか、エアコンの室外機がはずれて落下していないかなどを確認します。

被害の状況を写真に撮る

窓の写真を撮る女性家に入る前にもう一つやっておくべきことが、写真撮影です。
家の外側をぐるりと細かく撮影していきましょう。

被害の状況を真っ先に撮影するのには大切な理由があります。

先ほど解説した3色のステッカーが貼られる「応急危険度判定」は、あくまでその建物が当面使用できるかどうかを暫定的に判断するもの。

公的支援や加入している地震保険、税金控除等の請求時には被災証明のための被害認定調査を後日、してもらう必要があります。

しかし被害認定調査前に、片付けや急いで住むための補修、建物の(一部または全体的)取り壊しを始めてしまうと、正しく被害が認定されない場合があるのです。

そのため証拠として、片付けや補修前の損傷の程度を撮影して残しておく必要があります。

被災した自宅を、急いで少しでもきれいにしたくなりますが、作業に入る前に、必ず被害の状況を撮影して、記録として残しておきましょう。

壁にひびが入っていたり、瓦が落ちているような箇所はできるだけ念入りに、いろいろな方向から撮っておきます。

ひびなどのサイズがわかるように、ひびの横にメジャーを当てたり、人が横に立って撮影するのもおすすめです。

車や自転車、物置など、家の外に置いてあるものに被害がある場合も忘れずに撮影しておきましょう。

撮影はスマートフォンや携帯のカメラでOK。
念のため、家族それぞれのスマホや携帯で撮影しておくとよいでしょう。

急いで避難してスマホや携帯がない場合は、コンビニで使い捨てカメラを入手して撮影します。

これは後で罹災証明を出してもらう際や、保険の請求などをするときに使います。しっかり保存しておきましょう。

しっかり身支度してから家の中へ

大地震後の片づけを行う場合、作業中のけがを予防するためにも、身支度はしっかり行う必要があります。

家の損傷程度が軽度でも、片付け中に大きな余震が襲う場合もあるので、軽装で家の片付け作業をスタートするのは大変危険です。

避難時に着の身着のまま(たとえばパジャマなど)で逃げ出した場合は、自治体やボランティアに相談して、作業できる服装・装備を整えましょう。

アイテム名をタップすると詳細を読めます。

片付けに必要な基本的グッズを準備

掃除道具地震の被害に遭った家の片付けには、工具のほか様々な専門的な道具が必要になる場合がありますが、被災者自身がひとまず必要な一般的な片付けグッズをリストアップ。

アイテム名をタップすると詳細を読めます。

電気・ガス・水道の安全確認と復旧

ブレーカー片付け作業に取り掛かる前に、必ずやっておくのが電気・ガス・水道の安全確認と復旧です。

そもそも停電や断水、ガスの供給がストップしている場合は、突然復旧して、漏電・ガス漏れ・漏水などが起こらないように、各元栓やブレーカーをシャットダウンしておきます。

すでに復旧している場合は、安全確認してから使用します。

とくに注意したいのが電気です。

まずはブレーカーをすべて下した状態で、家の中にあるすべてのコンセントから、つないでいる電気コードを取り外しましょう。

その後ひとつずつ、電気器具の故障や断線がないか調べながら、必要なものだけプラグをコンセントにつないで、使えるようにします。

避難経路の確保

片付け作業中に余震が起こり、家の中に閉じ込められてしまったら大変です。

大地震でダメージを受けている家屋は、変形・倒壊しやすくなっていますから、作業中に余震が来たらすぐに避難できるように、常に避難経路を確保しておくことが大切。

閉じ込め防止のために玄関に続くドアは、開けておくようにしましょう(ただし、防犯にも要注意です)

窓や他の脱出口のないトイレ浴室納戸のドアは、常に開けて作業を行って。

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すべきことから順番に! 地震後の片付け手順

片付けの進め方被災後初めて家に戻ると、物がめちゃくちゃに散乱した状況に呆然としてしまい、どこから片付けを始めればいいのかわからなくなってしまいがちです。

被災の状況によって、片付けの内容は変わってきますが、基本的な片付けの手順を見ていきましょう。

被災直後の片づけは、細かく徹底的に行うのではなく、ざっくりと短時間で済ませることが大切です。

これは片付け中に起こった余震でケガをしたり閉じ込められたりするリスクをなるべく減らし、余震で再度被害が出ることも想定して片付けを二度手間にしないためです。

大地震の後は「家の中を元通りにするのは3か月~半年先」と割り切って

とくに無事だった装飾品類はしばらくしまっておき、大きな余震の心配がなくなってから配置し直すようにしましょう。

1.避難時に持ち出せなかった貴重品をサルベージ

通帳と印鑑地震直後に急いで避難した時、持ち出した貴重品以外にも、大切なものや貴重品がある場合は、それらを最初に回収します。

避難所暮らしなどで家をしばらく空ける場合はもちろんのこと、片付け後にすぐ家で生活を始める場合も、次回に大きな余震などが起こって再度避難しなければならない場合に備えるためです。

家の権利書や保険証書、株などの金融証書のほか、時計やアクセサリーなど盗難被害に遭いがちなものはひとまとめにして、実家貸金庫などに預けておくと安心です。

また、子供のアルバムやビデオ、デジタルデータが保存されたSDカードやポータブルHDなどのどうしても失いたくない「思い出の品」もできるだけ回収しておくとよいでしょう。

ただし、これらの回収に無理は禁物です。

壁や屋根が崩れてきそうな場所には、安全が確保できるまでは立ち入らないで。

貴重品よりも思い出の品よりも、なにより命が大切です。

2.屋根・瓦とガラスの補修&片付け、修理の手配

屋根が壊れたり、部屋のガラスが割れていると、雨漏りや防犯面で心配です。

ガラスの入れ替えや屋根にブルーシートを張る作業は素人には難しいので、すぐに専門業者に修理を依頼します。

被災後は地域中から修理・補修依頼が殺到しますから、できるだけ早く作業に取り掛かってもらえるように、片付けの作業に入る前に手配の連絡を行いましょう。

落ちたは、ひとまず大きなゴミ袋や段ボール箱にまとめて片づけます。

余震が来たら、すぐに落ちてきそうで危険な瓦は、通りかかった人に当たったりしたら非常に危険。
安全を十分に確保して、物干し竿などを使って落としてしまいましょう。

また、リビングの大きなガラスが割れて室内にガラスが飛び散っているような場合、十分な装備もなく自分たちだけで片付けをするのはとても危険です。

依頼後、すぐに業者に来てもらえるようなら、飛び散ったガラスの片付けも業者にお願いしたほうが安全です。

業者の修理に日数がかかるような場合は、ひとまず割れたガラス窓を段ボールや板などで家の内側と外側から覆って、強力なガムテープなどで固定しておきます。

割れて床に飛び散ったガラスの上に段ボールを敷いてから作業すると安全です。

小さなガラスの割れ、食器など割れた陶器の片付け方については、この記事内で詳しく後述します。

3.部屋に散乱した物を、ひとまず段ボール箱に入れる

ダンボールと雑貨家屋自体はなんともなくても、大地震によって棚などから物が落ちて散乱している場合は、ひとまず落ちたものを段ボール箱などに入れて仮保管します。

棚などが壊れていなくても、大きな余震が来るとまた落ちてしまう危険性があるので、棚に収納し直すのはしばらく待って。

また、幸運にも落下せずに済んだ高い場所にある物も、念のため低い場所におろしておいた方が安全です。

子供のおもちゃ類も、すぐに使うお気に入りを数点残したら段ボール箱へ。

notice

このとき、写真立てなどのガラスや陶器の破片が混入していないか、よくよく確認しましょう。

ガラスの破片が奥に入り込んでしまいやすい布製のおもちゃやぬいぐるみなどは、近くでガラスが割れている場合は、子供のケガ予防のためにも、処分したほうがよいでしょう。

どうしても残しておきたい場合は、注意深く破片を取り除く必要があります。

目に見える破片を丁寧に取り除いた後、ガムテープやストッキングをかぶせた掃除機などで細かい破片をしっかり取り除き、さらに屋外で叩くようにして破片を振るい落としましょう。

4.こぼれた液体汚れの処理

拭き掃除地震でとくに被害が大きいのはキッチンです。

調味料などが床に落ちて、液体や粉類が、ガラス容器の破片も混じって飛び散っていたりします。

液体汚れを見ると、急いで雑巾でささっと拭きたくなりますが、ケガを防ぐためにも皮手袋の上に厚手のビニール手袋などでしっかりガードして、まずは水分だけを吸わせるように雑巾をそっと液体汚れの上に置いて吸い取ります。

その後、ガラスの破片などが混じってないかよく観察してから拭き掃除。

もしガラスの破片等が混じっているときは、液体ごとすくうように雑巾でぬぐい、その雑巾は廃棄します。

Tシャツやトレーナーなどの古着を使うとよいでしょう。

ゆすいで再利用すると、ケガや拭いたものに傷がついたりするので、もったいないですが1度使ったら捨てるのが鉄則です。

5.冷蔵庫の中身・生鮮食品の片付け

大地震で停電が起こった場合、最も厄介なのが冷蔵庫内の片付けです。

まだ食べられるものは保冷バッグなどに移し、ダメになった食品は生ゴミとして処分。

とくに夏場、ゴミの収集がまだ先になりそうな場合は、悪臭予防や腐敗予防が必須。

ゴミ袋の底に古新聞を厚めに敷いて、新聞紙にハイターなどの台所用漂白剤をかけて湿った状態にしてからごみを投入。

一番上にも同様の漂白剤を含んだ新聞紙をかぶせてゴミ袋の口を堅く縛り、蓋つきの大きなゴミバケツに入れておけば、多少予防になります。

多くの自治体では、災害時のごみは、腐敗性ごみ(生ごみ、携帯トイレ、おむつ、生理用品など)を最優先に収集を開始します。

他の紙や衣類などの燃えるごみとは別にして、収集が始まるまで自宅で保管します。

6.倒れた家具を元に戻す

倒れた家具は、まず中に入っているものをすべて取り出し段ボール箱などに移します。

物が入ったまま、無理やり起こそうとすると家具自体が壊れたり、中の物が滑り出てきたりして危険です。

家具を起こしたら、ゆがみや故障がないかしっかりチェック。
棚板などが割れたり、ネジが折れたり取れている場合は、補修します。

point

背の高い棚類は、余震で倒れやすいので、余震が収まるまで倒した状態にしておくのもよいでしょう。

防災用の固定具が入手出来たら、もとの位置に戻して転倒防止をしてから、中に物を入れるようにしましょう。

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7.壊れた家具、生活用品、家電類を運び出す

粗大ごみ地震被害で使えなくなってしまった壊れた家具や割れた食器、大きく汚れて使えないカーペット、こまごまとした生活用品、壊れた家電などはゴミとして出します。

災害時は、通常のごみ出し規則とは違うルールが適用されますから、地元の自治体の広報に従って出すようにしましょう。

壊れた家財など大きなゴミについては、自治体の収集を待つほか、被災者が自分で集積所に持ち込む方法もあります。

このとき非常用としてゴミ運搬のための軽トラやワゴン車などを無料で貸し出すサービスを行う自治体もありますので、各自治体に問い合わせてみましょう。

ゴミ収集の情報については、各自治体の防災メールや防災無線、自治体の公式HP、テレビやラジオ、新聞などから収集できます。

8.棚の中、押し入れ、床下収納など見えない部分の点検・片付け

中から物が落ちてこなかった棚、押し入れ、床下収納なども扉が変形していないか点検し、中で液体が漏れていないか、物が散乱していないかなどを確認します。

屋外にある物置やガレージもチェックしましょう。
灯油などを保管している場合は、火災予防のためにもしっかり点検が必要です。

片付けの際、全部ひとり(あるいは夫とふたり)だけでやろうとしたら、パンクします。

他所に住む家族や親族、知り合いの十分な手助けが得られない場合は、ボランティアセンターにボランティアを依頼しましょう。

notice

ただし、通りすがりの見慣れぬ人が「お手伝いしますよ」といきなり飛び込んで来る場合は要注意です。
詐欺業者や泥棒の可能性があります。

好意を疑うわけではありませんが、公的なボランティアセンターに依頼したほうが安心です。

地震後の片付けの肝! ガラスの片付け法

ガラスを持つ手地震被害の片付けで、もっともやっかいなのがガラスです。

破片が鋭利なためケガをしやすく、割れ方によっては目に見えないほど細かい破片が広範囲に飛び散るため、非常に危険。

しかし家の中には、食器や窓ガラス以外にもたくさんのガラス製品があります。

ここではそうした壊れたガラスの片付け方を解説します。

特筆すべきは、ガラスが割れた部屋には、片付けが完了するまで子供を絶対に立ち入らせないことです。

子供がガラスのかけらを触ったり踏んでけがをすることがないように、片付けが終わるまでは子供は実家や友人、避難所の託児施設などに預けて、大人だけで片付け作業を行いましょう。

とにかくガラス業者を手配

窓のガラスが割れてしまった場合は、防犯の面でも雨風が吹き込まないようにという点でも、急いでガラスを入れ替える必要があります。

片づけで家に入り、窓ガラスが割れていることに気が付いたら、すぐにガラス業者の手配をしましょう。

出張専門のガラス屋さんの場合は、窓のサイズに合わせてその場でガラスをカットして交換してくれるほか、割れたガラスの破片の処理、掃除も引き受けてくれる場合があります。

ガラスの片付けに準備するもの

自分で行うガラスの片付けに必要なものリストは以下の通りです。

  • 手袋(できれば皮手袋や軍手)
  • 足を保護する靴(底のしっかりしたもの)
  • トングなど
  • 新聞紙
  • ビニール袋
  • ほうき・ちりとり
  • 掃除機
  • 古いストッキング
  • 輪ゴム
  • ガムテープ
  • 雑巾・ぼろ布(使い捨ててよいもの)

大きな破片は丈夫な手袋でガードして拾い集める

革手袋大きな破片は手で拾います。調理用のトングなどで破片を挟んで拾うのもOK。

新聞紙を重ねた上に乗せ、破片全部を新聞紙で包み込むようにしてゴミ袋(段ボール箱)に入れます。

破片をそのままゴミ袋に入れるのは、ゴミ袋が破れたり破片が突き出て集配する人がケガをする危険があるのでNGです。

ゴミ袋や段ボール箱の外側には「ガラス危険」「割れ物注意」などと、マジックなどで大きく書いておきましょう。

散らばった小さな破片は、ほうきで掃き集める

手で拾いにくい小さな破片は、ほうきで丁寧に掃き集めます。

目に見える程度の破片は、掃除機で吸い取りたくなりますが、破片でホースの中が傷ついたり、スイッチを切ったときホースの先からガラスの細かな破片が落ちてくることもあるため、できるかぎりほうきを使って破片を集めましょう。

ここでちりとりに集めた破片も、新聞紙でくるんでゴミ袋へ。

見えない破片を、掃除機を使って集める

掃除機をかける目に見える破片を取り去っても、まだまだ細かい破片が周囲に飛び散っています。

これは掃除機のホースの口に古いストッキングをかぶせ、輪ゴムで止めて吸い取りましょう。

周辺をある程度吸ったら、吸い取り口をゴミ袋の上に持っていき、そこでスイッチを切ります。
ストッキングはそのまま袋に捨てて処分。

停電中で掃除機が使えない場合は、ガムテープなどを破片の飛び散った場所にペタペタと貼ってはがしてを繰り返します。

ガムテープの代わりに粘着式のコロコロクリーナーも使えますが、何度も往復すると、せっかくくっついたガラスの破片が落ちてしまうので要注意。

細かいガラスの破片は、かなり広範囲に飛び散る場合が多いので、見える破片があった場所から2~3m離れた場所(できれば部屋全体)も念入りにチェックしましょう。

仕上げに濡れた雑巾・ぼろ布で拭きとる

床などは最後に、水に浸して絞ったぼろ布や雑巾で拭きとり、念を入れて細かい破片を除去します。

床に懐中電灯などのライトをいろんな方向から当てると、残った細かい破片がキラキラ光るので、拭き残しが見つけやすくなります。

とくに床の木目、タイルの目地に残っている破片がないか注意して仕上げましょう。

カーペットや寝具、ぬいぐるみに落ちたガラス破片の処理

ぬいぐるみとクッションカーペットや寝具、衣類、ぬいぐるみなど布製品にガラスの破片が飛び散ると、上記の手順で除去しても、繊維の奥深くに細かいガラスの破片が残ってしまう場合があります。

可能であれば、そっと屋外に持ち出して何度もはたいて奥のガラス破片を振るい落とし、再度、ガムテープや古ストッキングをかぶせた掃除機で吸い取ります。

ただし、子供が素足で歩くリビングのカーペットや、素肌に触れる寝具、タオル、ぬいぐるみなどに直接割れたガラスが飛び散ってしまったような場合は、安全を第一に、思い切って処分して、新たに買い替えた方が安心です。

大地震を経験したママの話

大地震でも対策済みだったせいか家具などは倒れなかったものの、我が家のリビングは全面ガラス窓だったので割れて飛び散り、室内は惨憺たるものでした。

一通りガラスの処理のほか片付けが済んで、子供と家に戻る直前、リビングのフローリングを子供が遊んでいた小麦粘土を使って、ペタペタふき取り作業をしました。

使った粘土を見ると、キラキラした極小のガラスが粘土に埋まっていて思わずゾーッとしました。

床は全体を粘土でなんとか拭き取りましたが、リビングに置いていた布製のソファが気になり、思い切って買い替え。ちなみにラグも処分しました。

大人以上に皮膚が柔らかい子供が過ごすリビングや子供部屋のガラスの片づけは、念には念を入れた方がいいようです。

まとめ 地震の片づけは安全第一!あえてゆっくりと行おう

ポイントまとめ地震被災後に自宅に戻ると、すぐにでも片づけを始めたくなりますが、安全面から見てもその後の補償などの観点から見ても、じっくり事前に準備や確認作業、証拠保全を行ってから着手するのが正解です。

とくに家が全壊・半壊となり、小さな子供を抱えて避難所や避難先で生活しているような場合は、地震直後からしゃかりきになって片付け作業に没頭するよりも、気持ちが落ち着くまでは防犯面だけに気を配って、あえて時間をかけて片付けをした方がよさそうです。

いざ現場に行くと「あれもこれも」と焦ってしまいがちなので、

  1. 全体の状況を把握したら、
  2. 「1日●時間」と作業時間を決め、
  3. 「今日はココのこれを片付ける」といったようにその日の作業を前もって決めて、
  4. ノルマが終了したらその日の作業は切り上げる

という進め方にしたほうがよいでしょう。

また、余震が続く間は、本格的な片付けではなく、段ボール箱などに小物類を仮置きしておく一時的な片付けにしておいた方が、精神的にも負担になりません。

ゆっくり、あせらず、確実に」をモットーに、前向きに復旧作業を行いましょう。

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女性誌・子育て誌・医療情報誌などでフリーライターとして執筆する40代ワーキングマザー。東日本大震災時の激しい揺れとその後の恐怖がいまだぬぐえず、今も地震の非常警報音に毎度飛び上がり、心臓バクバク。絶賛反抗期中の中学生の息子が震度4程度の地震では目を覚まさない図太さを、少々うらやましく感じる今日この頃。

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