バーベキューやキャンプなど、アウトドアにまつわる経験には、災害時に役立つスキルがたくさん散りばめられています。
そこで、今回はバーベキューの伝道師として様々なメディアで活躍されているたけだバーベキューさんに、初心者でも楽しめるアウトドアについてインタビュー!
バーベキューを始めたきっかけから、火を起こす方法、おすすめのグッズなど、色々教えて頂きました。
この記事の目次
「たけだバーベキュー」が誕生したきっかけ
最初は高校のラグビー部で歓迎会があって、河川敷でバーベキューをした時ですね。
でも、本格的に始めたのは、高校卒業して車の免許を取ってからです。車に乗って川や海に遊びに行って、昼はバーベキューやって。バーベキューをしに行くというよりは、遊びに行った先で食べるご飯がバーベキューだった、って感じですね。
なので、気づけばめっちゃバーベキューをやっていたんですよ(笑)。で、バーベキューの技術が勝手に向上していって。
そこからですね、のめりこんでいったのは。
お出かけするのが好きだったんですよ。
外が好き!でもお金がないから、スーパーで安いカルビ肉を買って持っていくんですけど、それでも充分おいしいんですよね。
「外で食べるメシってなんでこんなにうまいんやろう!」って。
それまで僕はほとんど料理をしてこなかったんです。料理が嫌いだったわけじゃないんですけど、やる機会があまりなかった。
バーベキューを通して、自分で何かを焼いて野菜を切る、という事を知った感動もありますね。そこで「料理って楽しいな」と思い始めたんです。
いいえ!当時は本当に趣味でやっていただけです。
軸足としては吉本興業のお笑い芸人としてコンビで活動していたので、そっちを一生懸命頑張って、空いた日に遊びに行っていた程度です。
ある時コンビを解散することになって、芸歴を重ねてきたのに表舞台に出られない日々が続いたことで「どうしよう…」と思った時、残っていたのがバーベキューだったんですよ。
「よし、そっちに力を入れて活動してみよう」とブログを書いたり、YouTubeを始めたりしていたら、ある出版社の方が見つけてくれて、「本を出しませんか?」という話になったんです。
当時は若手芸人が本を出せるなんて機会はめったになかったんですよ。
そこで、良いきっかけになると思って名前をたけだバーベキューに改名し、そちらの活動に切り替えたんです。
そうです。
そのタイミングでお笑いに一区切りをつけることにしました。
【バーベキューの基本】必要な道具について教わろう
初めてバーベキューをやろうとする時、
と悩む方も多いのではないでしょうか。
最低限揃えておきたいバーベキューグッズについても色々教えて頂きました。
バーベキュー初心者が最初に用意するべき道具はコレ!
バーベキューをやりたいなら、バーベキューグリル、着火剤、炭が必要ですね。
そこまで高いものじゃなくて十分ですよ。
30cm×50cmサイズ程度の長方形タイプで、鉄板と網もセットになっているものが一般的なんですけど、それだったらホームセンターとかでも安く手に入ります。
僕も昔は近所のホームセンターでとにかく安いヤツを1個買って、それをしばらく使っていましたし。
昔からある文化たきつけという着火剤がおすすめですよ。オイルをしみこませた木くずで、見た目はウエハースみたいな着火剤です。
文化たきつけの上に炭を置いて着火するだけで、誰でも火を起こすことができますよ。
開けた瞬間ちょっとオイルのにおいはしますけど、一番よく燃える点では初心者にピッタリです。
check!
文化たきつけは揮発しやすい為、使いかけを災害用にストックする場合は、密閉容器に入れる等、揮発させないよう対策しましょう。
国産の炭がおすすめです。火をつけたときに長持ちするんですよね。
マングローブでできた安い炭は一気に炎が上がるんですけど、すぐに燃え尽きちゃいます。
良い炭を買って小分けにして、湿気らないようストックしておけば、災害時などにも使えますよね。(※)
ちなみに、僕の家では弾薬庫に入れて炭を保管していますよ。湿気対策です。
完全防水で湿気ることがないので、そこに入れて長期保存しています。湿気ると火がつかないので…。
あと、炭は調理だけでなく暖を取れる点では冬の寒さ対策になりますね。
俳優さんが冬の撮影所で暖を取る時にも、ドラム缶と炭を使ったりするらしいですよ。
炭が発する遠赤外線で、内側から温まるんですよね。
冬に暖かさを感じると、心も温まりますからね。なんか安心できるというか、ちょっとした心の拠り所にもなりますよね。
あと、夜に見る炭火って、実はとてもきれいなんです!色とか温かみとか。
夜の炭火ってなかなか見る機会ないですよね…?
僕は焚き火より炭火の方がきれいだと感じますね。
炭も結構火花がパチパチ出るんですが、炎がユラ~っと赤く光るんです。あまり見たことがない、独特な赤で。
薪とは違う炎で衝撃的にきれいでした。周りが真っ暗だと余計にきれいに見えますよ。
テーブル、イス、クーラーボックスですね。
この3つがあればもう完璧!十分バーベキューを楽しめると思いますよ。
道具のメンテナンスは「男のたしなみ」
バーベキューを躊躇しがちな理由のひとつに「道具の片付けやメンテナンスが大変そう…」という事がありますよね。
この点についても思い切って聞いてみました。
面倒という感覚はないですね、僕は。
でも、その質問はよく言われますよ、「面倒くさくないの?」って(笑)。
厳密にいうと”面倒”だとは思っているんでしょうけど、他の方が思うほどは面倒じゃない。
鉄系はメンテナンスしないと錆びてしまいますからね。長持ちさせるために、帰ってきたら水で洗って沸騰させて水分飛ばして。
そこはブーツを磨くのとかと同じで、”男のたしなみ”的な感じです(笑)。
「今日もええ感じで育ったな!」みたいな解釈でやっているので、そこは全く苦じゃないですね。
片付けとは逸れますけど、僕がみんなでバーベキューに行く時は、設営からみんなにやって頂きますね。
分からなくてもイスやテーブルを広げてみる、とか、バーベキューグリルの脚を接続してみる、とか。みんな間違えながらもやってくれるんです。もちろん、違ったら僕が教えますしね。
そうすると、最後に片付ける時にはイスやテーブルを広げた人は仕組みを理解しているので、その人が片付けられるじゃないですか。
家族で行く場合はお父さんがやることが多いと思うんですけど、みんなでやれば「一人で全部やらなきゃ!」という事はないし、その方が気持ちが楽になりますよね。
「何か手伝いましょうか?」と聞かれた時、僕は「いや、いいです!」と言わないんです。
「何か手伝いましょうか?」っていうのは気を使ってるんじゃなくて、参加したい気持ちの表れなんですよ。
ちゃんと役割を与えるようにして、その人の能力を活かしながら参加する方が楽しいと思うんで。そこはバリバリ指令だしますね(笑)。
水汲んでくるだけでも、子どもにしたら”仕事した感”が出ますから。
そこも込みでバーベキューやキャンプを楽しんだ方が良いと思います。
”バーベキュー”と”キャンプ”の違いを理解するべき
そのパターンも多いですね。
バーベキューって2パターンあるんですよ。その場の雰囲気込みで楽しみたい場合は、ロケーションや天候が大事だし、道具も必要。
でも、肉を焼いてバーベキューをやりたい、食を楽しみたい、という場合だったら、道具が全部そろった施設とかで良いんですよね。
その場合は手ぶらで全然行きますよ!
ただ、これがキャンプとなると話は変わってきますね。スキレットとか重い物はあまり持って行かないです。
バーベキューと違って調理の回数がめっちゃ多いんですよ、朝昼晩とか。
いかにサッと洗えてすぐ調理にいけるかが大事なので、家にある”取っ手のとれる系フライパン”とか、コーティングされている物を持っていきます。
バーベキューとキャンプの違いについては理解しておいた方が良いと思います。
バーベキューはあくまでも”食事”で、キャンプにはテントで寝泊まりするなど他の要素も入ってきます。
だから、当然道具も変わってきますよね。
あれは”ピクニック”ですね(笑)。キャンプまではいかない。
OLさんが昼に外でお弁当食べているのと同じような感覚です。
でも、初めはそんなニュアンスで楽しめば良いと思うんですよね。
同じハンバーガー食べるのも、「家で食べるより外で食べる方が美味しいよね!」っていう感じで。
キャンプにおすすめ!炭+発熱材以外で火をおこす方法
(災害時でも)使えますよね。炭を使って火を起こすことに抵抗がある方でも、これなら手軽で使いやすいと思います。
僕が使っているのは、お鍋をする時などに使うカセットコンロと同じ、カセットボンベが燃料のタイプです。
シングルバーナーの火の出る部分さえ持っていけば、燃料はその土地で買い足して使うこともできる手軽さが魅力です。
サイズがコンパクトなところも良いですね。
カセットコンロ派なら、最近では風防付きのカセットコンロや、筒状で折り畳み式のものもあります。火をつけるのが怖い、っていう初心者の方でも、コンパクトなカセットコンロだったら安心して使えますよね。
慣れてきたらやってみよう
火打ち石(ファイヤースターター)
災害時にも役立つ!アウトドア調理法
停電などによってライフラインが途絶えることが想定される災害時では、冷蔵庫内の食べ物が傷んで食べられなくなってしまうことも。
そんな時に役立ちそうなもしもレシピについても伺ってみました。
パスタはどうですか?カッペリーニを茹でて塩で味付けして、アサリ缶を入れてボンゴレ風にアレンジするとか。細麺のカッペリーニは茹で時間も短く済みます。
もし、茹で時間長めのパスタしかストックが無ければ、水漬けパスタにする方法もありますよ。
そのまま食べられる缶詰を使うとか、いかに燃料を使わずに作れるかって大事ですよね。
作る時はメスティンでも良いですし、なければフライパンでも作れます。
もちろん、メスティンでご飯を炊くのもおすすめですよ。
check!
たけだバーベキューさんのメスティンセット公開!
- 箸
- しゃもじ
- 陶器(お米炊くとき一緒に入れると美味しく炊ける)
- ポケットストーブ
- 取っ手
- 折り畳みナイフ(クラフトをする時にも使える)
- マッチ
※炊き方参考:たけだバーベキューTV
思い付きです(笑)。
基本的にはメスティンがあれば何でも作れるんですけど、蒸し物はアルミホイルの方が良いですよ。
網の上で蒸し物ができるって、魅力的なんですよね。網の下に食材が落ちる心配もないし。
逆に、全く火を使わないレシピはどうですか?
常温保存できる野菜を使う、っていうのはどうですか?
たとえば僕は人参を千切りにしてカラムーチョとマヨネーズを和えてお酒のおつまみにしたりしてますよ。メキシカンな感じで(美味しい)。
あとは、コンビーフとマヨネーズを和えて乾パンやクラッカーに乗せるのも良さそうですね。
スパムやストックポークなども常温で食べられますよ。
初心者にはハードル高め?”寝袋”についても聞いてみました。
まずはどの季節に使うのか、ですよね。
ちなみに僕は暖かい季節なら寝袋使いませんね。めっちゃ寒い所にいくなら必要ですけど。
夏場のキャンプなら長袖とシャツ着て、ブランケットとかで寝ちゃうんですよね。
寝袋の用途は体を保温する事なので、寝心地を良くするには空気を入れて膨らませるエアマットやクッション性のあるマットなどが必要ですね。安いマットなら1,000円以下でも揃います。
更に寝心地を求めるなら、エアマットの上に寝袋を敷いて寝ると良いですよ。
夏は薄い寝袋でも暑いぐらいです。なので、薄手の掛布団を羽織るぐらいで十分です。
ただ、秋冬は本当に寒いので、いかにダウンが詰まっている寝袋を選ぶかが大事です。詰まっているほど暖かいけど、その分高いんですよね(笑)。
でも、最初から寝袋にお金かけなくて良いと思います。冬だったり、よっぽど高地に行くとかじゃなければ。
試してみるなら2,000~3,000円程度のものでも良いんじゃないですか。
無いよりはあった方が良いですけど、そんなに高いものは用意しなくて大丈夫ですよ。
それより、初心者の時の寝袋ってテンション上がるじゃないですか!その感覚の方が大事だと思うんですよ。
ちなみに、冬に薄い寝袋はあまり効果ないですか?
ないですね~!薄い寝袋は冬だと意味ないです。”暖を取る”っていう目的で寝袋を買うなら、やはりある程度の値段にはなります。
でも、安い寝袋を2枚使いするとか、工夫次第で使うこともできますよ。
最近では湯たんぽを使うのもめっちゃ流行ってるんですよ。毛布に巻いて足元に入れるだけでだいぶ違います。
アルミタイプならそのまま火にかけられるので便利ですけど、シリコン製でもOKです!
check!
他にもたけだバーベキューさんの私物グッズをたくさん紹介して頂きました。防災グッズにもピッタリです♪
アウトドアから学ぶ、もしも時の子どもとの過ごし方
そんな子どもにアウトドアの楽しさを伝えるとしたら、どんな事が考えられますか?
あくまで僕の提案にはなりますが、やはりクラフトをやることがおすすめです。
たとえば、キャンプに行った時に最近ほとんどの大人がすることが、”ナイフで木を薄く削る”こと、なんです。
フェザースティックっていうんですけど、これをいっぱい作っておけば、ちょっとした火花でも火が付くんですよね。
こういうクラフト作業が僕も好きで、ずっと無心でやってるんですよ。
普段は包丁やナイフを触ったことない子がそういう事に触れられるのが、キャンプの良さだと思うんです。
もちろん、最初は厚く削っちゃったりして全然できないんですけど、段々ナイフの使い方や力の入れ方がわかってきて、薄く削れ始めたらもう楽しくなっちゃう。
ナイフは危ないから!って使わせないよりも、使ってみて危なさが理解できて、よりナイフと親しくなっていくっていうのが大事だと思うんです。
そういう経験をすることで、「これが作れないと火が起こせないんや」って知ることができる。単純な作業なんですけど、めちゃくちゃ奥深いんですよ。
その方が子ども自身のモチベーションも上がるような気がします。
他にも、焚き火をするための薪を集めてきたりとか。でも、拾ってきても太い木だとそのまま火をつけることはできないので、ナイフで木を叩いて割ったり。
火にくべたらすぐに燃え尽きてしまうので、次の木を用意しておかなきゃいけない…。キャンプってやる事めっちゃ多いんですよ(笑)。
”キャッチボール”みたいに具体的な名称はないですけど、クラフトをやるだけでめっちゃ経験値は上がりますよ。非日常を暮らす際にも絶対に役立ちます。
子どもはそういうの好きですよね。
あとは木でスプーン作ってみるとか、火をつける経験をしてみる、とかね。晴れた日は小さなレンズで太陽光を集めて火をつけてみたりとか。
”遊ぶ”というよりは、その中で出来ることをやる。クラフトしていたらあっという間に時間が過ぎるんですよね。
最近は太陽光だけで火をつけるグッズなんかも売ってますよ。アウトドアショップなどでぜひ探してみて下さい!
グランピングからスタートするのもアリ
今からキャンプやバーベキューなどを始めたい!と思っている人が揃えるべきグッズや方法について色々伺ってきましたが、ここでたけだバーべキューさんから意外?なアドバイスが…。
これからキャンプを始めたい人なら、まず僕はグランピングから入るのをお勧めしますね。
グランピングとは
グラマラスとキャンピングを掛け合わせた造語。
自然を感じながらも、テント設営や食事の準備など、難易度の高い作業を取り除いた「良い所取りの自然体験」が出来る宿泊施設のこと。(※)
グランピングが一番良いと思います!
特に女性の場合はキャンプをするにあたって気にする事が多々あるじゃないですか。トイレであったり、お風呂であったり…。
でも、そういったことをすべて解決してくれるのがグランピングの魅力なんです。
そこで焚き火をしたり、マシュマロを炭で焼いてみたり、お湯を沸かしてコーヒーを飲んでみたり…と、十分色々な体験が出来ますよ。
まずはグランピングを経験をしてみて、アウトドアが自分に合っているかをジャッジしてみたら良いと思います。
そこを一歩目にして、「次はテントで寝てみたいな」と下から階段を登っていくように、色々チャレンジしていけばいいんです。
今はグランピングスタートの女性やご家庭も多いですよ。
やっぱり”キャンプ”ってなると、「虫に刺されそう」とか色々不安が付き物ですけど、そういうのも一気に解決してくれますから。
グランピングから徐々に免疫をつけて、キャンプに行くって流れで良いんじゃないでしょうか。
気づけば女性の方がアウトドアの魅力に取りつかれてる、というパターンもあったりしますからね。
ガチでキャンプをやっている人は、”邪道”というよりはグランピングに行きたい、という発想にならないんじゃないでしょうか。用意されたものではなく、自分ですべてやりたいんです。
だったらのんびり旅館にでも行きたい、と思うかもしれませんね(笑)。
でも、僕はグランピングにも興味ありますよ!まだ未経験なんですけど、是非一度行ってみたいです。
そうです。
もし、グランピングより「一歩目からちゃんとやりたい!」っていう人なら、たとえばシングルバーナーを買って、お出かけ先でお湯を沸かしてカップラーメンを食べるとか。それぐらいの一歩目でもめちゃくちゃ楽しいと思いますよ。
ピクニック用のレジャーシートや保冷バッグを揃えることからでもいいんです!これらも意外と色々なシーンで使えたりするじゃないですか。
バーベキューやキャンプなどのアウトドアには、色々な入門の仕方があっていいと思いますよ。
今は色々なアイテムが出すぎてきているので、何から用意していいかわからない…という状態になりやすいですよね。でも、初めはそのぐらいのことから始めてみる、とかで全然良いと思います。
まとめ~ 初めは”やってみたい!”気持ちを大切に
今回はたけだバーベキューさんに、アウトドア初心者が知りたいバーベキューやキャンプについて、丁寧にわかりやすく説明して頂きました。
普段はインドア派のいつもしもスタッフでしたが、お話を伺っていくうちに、
と、アウトドアに興味津々!
初めから「ちゃんとやらなきゃ!」と意気込まず、まずは自分が”楽しそう”だと思える、一番下の階段からチャレンジしてみてはいかがでしょう。
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