ママ防災士 リサの【いつもしも】~災害時の生理 - いつもしも

ママ防災士 リサの【いつもしも】~災害時の生理

土界谷家イラスト
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こんにちはママ防災士のリサです。
災害が起こった時、自分の生理周期がかぶったら…と考えたことはありますか?

災害が発生すると衛生環境が悪化するのは一瞬のことです。ライフラインが止まり、お店も閉まり買い物もできません。その環境の中で、衛生用品の需要は一気に高まりますので、被災してから衛生商品を集めることは難しいのです。

今回は、私が東日本大震災で被災した時の衛生状況と、もし被災時生理になったら、という視点でお話します。

災害時の衛生面

大災害に見舞われると、電気・ガス・水道のライフラインは一瞬で途絶えてしまいます。

災害備蓄として飲料水を確保しているご家庭は増えてきているかと思いますが、在宅避難では、飲料水とは別に、生活用水を確保することが大切です。

お風呂に入れない、トイレが流れない、洗濯ができない、手が洗えない、皿が洗えない、机が拭けないetc…断水して初めて「生活用水ってこんなに使っていたんだ!?」と驚いたことを思い出します。

私が被災した地域のライフライン復旧は、電気が1週間後水道が3週間後ガスが3か月後のことでした。この間はとにかく生活が不自由で、今までどれだけ恵まれた環境で生きてきたのか気づかされた期間でもあります。

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お風呂に入れたのは1ヶ月後

自衛隊給水車

被災直後は、家族の安否確認や食料の確保など、まず生きることに必死で、お風呂について考える暇はありません。しかし、身の回りの安全の確保ができるとお風呂が恋しくなります。

幸いにも、被災して数日後には自衛隊の給水車が来てくれたため、カセットコンロで沸かした水をたらいに入れて、体をタオルで拭くことはできました。

ただ、髪の毛が洗えたのは1か月後でした。温泉街まで車で移動して、開放された浴場でやっと洗うことができたのです。

1か月ぶりにシャワーで体の汚れを落とせた瞬間が本当に嬉しくて、このお風呂を出たら次入れるのはいつだろう…と出るのがつらくなるほどでした。(私の近所では、自衛隊による野外入浴施設は見つけられませんでした)

髪の毛を洗うために必要な水の量をご存じでしょうか。なんとシャワー1分で12Lの水を使用しているそうです。髪の毛を洗うためにはかなりの水が必要なことが分かります。

災害時では非現実的な数字ですよね。被災時に体の汚れを落とすという行為はとても難しいことなのです。

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おりものシートで下着を汚さない

水も電気も止まっているので洗濯機は使えません。また、被災時は3月で雪も降っていたため、洗濯して外に干すということもできませんでした。(そもそも被災中に洗濯をしようという精神にはなりませんでした)

被災生活の悩みの一つに下着の汚れをどうするか問題があります。

限られた枚数の下着をどう衛生的に使うかが課題でしたが、私が実践した2つの対策は

  1. ショーツを裏表それぞれ使う
  2. おりものシートを使用し同じショーツを汚さず履き続ける

というものでした。

お風呂に入れないのでデリケートゾーンも衛生的とは言えず、汚いショーツを使い続けることはものすごいストレスでした。しかし、おりものシートを敷くだけでショーツ問題はだいぶ軽減することができたのです。

おりものシートはコンパクトで場所も取らないので、被災経験から自宅に2袋はストックするようになりました。

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公園で目にしたトイレの酷さ

被災後は、貯水槽に溜まっていた水もすぐ尽きて、蛇口から水が出なくなります。

生活用水を確保すべく、公園ならまだ水が出るかもと思い、バケツを抱えて公園を訪れました。大きな公園なので複数手洗い場がありましたが、どこの蛇口をひねっても水は既になくなっていました。

公衆トイレの蛇口も確認するため入ると、流せなくなった汚物で溢れかえっている便器が見えました。当時は3月で寒かったため、虫などが湧きにくい時期だったとは思いますが、もし被災した時期が夏だったら…と想像すると今でも恐ろしいです。

このようにトイレが流せなくなると衛生環境は一瞬で悪化してしまいます。

我が家は浴槽に水を張っていたため、その水を使ってトイレを流すことができました。被災中でもトイレを流せることは気持ち的にだいぶ楽であり、当時、浴槽の水にとても感謝しました。

ただし、小さいお子さんがいる家庭は水害事故につながるリスクが高いため、浴槽に水を張っている際は、蓋をするなどの徹底管理をお願いします。

また、水を足してトイレを流すという行為には注意点があります。

先日、災害ジャーナリストの方とお話をする機会がありました。マンションやアパートで被災後、配管が壊れた状態でトイレを使うと、下の階のトイレに汚物が逆流する可能性があるので、防災用トイレの使用が推奨されているとのことでした。

浴室に生活用水を貯めていたとしても、防災用の使い捨てトイレの備蓄は必要ですね。
※バケツなどでの水の流し方は各メーカーの仕様を確認してください。

被災中の生理

私は、東日本大震災で生理周期が被らなかったため、被災中に生理になった友人から話を聞いてみました。

匂いの不安や肌荒れトラブル…在宅避難でも

地震でぐちゃぐちゃになった家の1部屋だけを優先的に片付けたため、あるいは家族と一緒にいて不安を減らすため、などの理由で、在宅避難は1つの部屋に集まって寝食を共にした方も多いと思います。

友人はこの際、生理の臭いが家族にばれてしまうのがとても不安だったと話していました。お風呂にも入れないので体臭も気になる上、生理独特の臭いが広がってしまったら…と思うと更にストレスが加わっていたことでしょう。

友人はこの生理によりデリケートゾーンがかぶれてしまうも、薬がなかったためひたすら耐えるしかできなかったそうです。

被災中に体調不良が起きても診療所が開いているかわかりません。体調を崩しやすい、生理トラブルが起きやすいという方は常備薬をストックすることが大切になります。

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数時間並んでナプキンを購入

被災して数日経つと、近所のスーパーやドラッグストアが開き始め、多少商品を購入することができるようになります。

しかし、どこの店舗でも長蛇の列ができ数点購入するだけでも数時間並ばなければなりませんでした。友人はドラッグストアに数時間並んだ末、夜用のナプキンを購入したそうです。

私の場合は、近所のスーパーに数時間並び食料確保をしていました。生活用品をストックしておけば、被災時本当に必要なものを買うために時間を使うことができるため、改めて備蓄の大切さがわかります。

避難所で生理用品はもらえるのか

私の体験、友人へのヒアリングで調査しましたが、避難所で生理用品をもらえたという話は得られませんでした。

私が小学校の避難所へ行った際は、おにぎりの配給はあったものの、生理用品の配給は見当たらず、配っていなかったと推測しています。

在宅避難だったためその前後に配っていた可能性はありますが、生理用品はもらえると思わず、常に家にストックしておく方が安心です。

災害時におすすめの生理用品

月経カップのイラスト

最近使い始めた月経カップが被災時にも使えるのではないかと思っています。

月経カップとは

月経カップは、タンポンのように膣内に挿入するカップ型の医療用シリコンです。タンポンとは違い何度も使用することができるので経済的で、体外に経血が漏れにくくなるので蒸れず臭いも抑えられるメリットがあります。

災害後に考えたこと

ある日、月経カップの使用レポートをTwitterで読み、生理中のストレスから解放されたという話に魅力を感じ使い始めました。

使い慣れるまでに多少期間を要しましたが、慣れてしまえば「こんなに生理期間が楽になるなんて!」と感動し毎月愛用しています。

使用する中で、この月経カップは被災時の生理の強い味方になるのでおすすめしています。

月経カップは被災時に使えるのか

月経カップは防災グッズにはならないという話も聞きます。

いずれ来る災害のために月経カップを買って防災リュックに入れるのであれば、確かに防災グッズにはなりません。前述したとおり、月経カップを使いこなせるまでには、ある程度練習が必要だからです。

しかし、

  • 月経カップを普段使いしていて使い方がわかる
  • 消毒セットが常備されている

のであれば、災害時でも問題なく使用できるでしょう。

月経カップを使うためには、経血を洗い落とす水生理後に使う消毒剤が必要です。被災経験から知った、自衛隊の給水車が比較的早く来ることを想定すれば、この経血を流す水の確保はそこまで難しいことはでないと思います。

この月経カップを被災中使用できれば、友人が悩んだ臭いや、デリケートゾーントラブルが軽減されるのではないでしょうか。

繰り返しになりますが、月経カップは向き不向きがあり、自分が本当に使えるのか事前に知っていなければなりません。また、経血を流す水や消毒剤がない場合は、不衛生で危険なので災害時に使ってはいけません。

使い捨てナプキンの備えの必要性

最近では生理の貧困が話題になり、東京都豊島区ではナプキンを無料で配布したというニュースも話題になりましたね。

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とはいえ、新型コロナウイルスが騒がれ始めた頃、マスクやティッシュ、トイレットペーパーと共に生理用ナプキンも品薄になったことを覚えていますでしょうか。

買うのは億劫だけど、買えなくなるのは困る生理用ナプキン。災害時にはショーツを汚さない必需品にもなるナプキンはやはり一定数自宅にストックしておきたいですね。

ママに伝えたいこと

生理について語り合う女性たちのイラスト

被災当時、自分は生理にはなりませんでしたが「今生理になったら大変だろうな…」とよぎったことを思い出しました。

女性の閉経は平均50歳といわれていますので、子育て中の私たちはまだまだ生理と共に生きていかなければなりません。また子供の生理の症状も親としてはある程度知っておきたいものです。

今回被災した友人に「被災中に生理になった?または周りに生理だった人いた?」と聞いたところ、「家族が生理だったか知らないから聞いてみる」という回答ばかりでした。生理の話はタブーというイメージが強いため、家族間ですら生理の話題はほとんどしていないようです。

家族間だけでも自分の生理事情をもっと共有できていたら、被災中でも助け合いができるのではないかな、と今回コラムを書いている中で思うようになりました。

私の子供たちはまだ小さいため生理の話はもう少し先になりますが、包み隠さず生理について話し合いたいと思っています。

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  • この記事を書いた人

土界谷リサ

宮城県仙台市出身、都内在住。2児の母で、夫・長女・長男と4人暮らし。東日本大震災で被災。防災知識を身につけるため防災士の資格を2014年に取得。出産を期にイラストレーター・広告漫画家・デザイナーとして活動。

2021年7月13日