非常食の備蓄は防災の基本、ですよね。
では、災害時に温かいごはんを食べるための備えはいかがでしょう…?
という声が聞こえてきそうですが、災害後間もない当日~2日目ごろまではガス漏れの心配がある為、安全が確認されるまではカットコンロ等の火気使用はおすすめできません。
特に震災であれば、余震によって引き起こされる火災にも注意が必要です。
そんな方に紹介したいのが、火を使わないで食材を温める事ができる、発熱剤を使った加熱方法です。
最近ではお弁当とセットになっていたり、お湯を沸かせたり…と、商品のバリエーションも増えているんですよ。
それでは、発熱剤で食材を温める方法やおすすめ商品などを、実際に使いながら紹介していきましょう。
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この記事の目次
発熱剤とは
発熱剤の成分は生石灰やアルミニウムなど。水に触れる事で発熱します。
この化学反応の力を利用すれば、火を使わずに食材を温めることができる、という優れものなんです。
非常食にはもちろん、最近では登山やアウトドアをする方にも人気がありますね。
実はこれ、自衛隊の非常用糧食(レーション)にも採用されている方法なんですよ。
これがあれば熱々のごはんがどこでも食べられる!
お腹が減った、陸上自衛官の心強い味方
人人人人人人_
>ヒートパック <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y ̄
吹き出す湯気と膨らむ袋にご注目♪
訓練や演習の時に大活躍です。#陸上自衛隊#戦闘糧食二型簡易加熱剤加水型 pic.twitter.com/9awO6XUJtu— 自衛隊石川地方協力本部@公式 (@Ishikawa_PCO) March 17, 2020
▲陸上自衛隊広報センター(りっくんランド)展示物より
また、食料を温めることはもちろん、ホットタオルを作って体を拭くなど、他の方法に利用することもできます。
このように、火を使わず安全に加熱できる発熱剤は、被災直後には最も最適な加熱方法だと言えますね。
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モーリアンヒートパックを使って食材を温めてみよう
発熱剤の特性がわかったところで、次は発熱剤で食材を温める方法を具体的に紹介します。
まずは、発熱剤と加熱専用の袋を使って食材を温める方法からスタートです。
発熱剤、基本の使い方
数ある発熱剤+加熱袋セット商品の中から、今回はモーリアンヒートパックを使用します。
サイズがM、Lと2種類あるので、用途によって使い分けることもできますよ。
モーリアンヒートパックで採用されている発熱剤の主成分はアルミニウム。
生石灰を使った発熱剤に比べ、安定した温度で食材を温められるのが特徴なんだそう。
こちらをLサイズを使って実際に食材を温めてみましょう。
まず初めに、加熱袋の底を広げて立たせておきましょう。
こうすることで発熱剤や食材が入れやすくなります。
次に、アルミ袋から取り出した発熱剤を袋の底に平らに置きます。(アルミ袋は後程使うので、捨てずに取っておきましょう。)
そして、袋が倒れないよう重心に注意しながら、温めたい食材を袋に入れ…。
先程とっておいたアルミ袋の水量ラインまで水を入れ、袋の中に注ぎます。
水を入れたら手早く、そしてしっかりとチャックを閉めます。
発熱剤が水に触れると発熱が始まり、ブクブクと泡が出てきます。
約15~20分で加熱が完了!
火傷しないよう、軍手などを使って食材を取り出して完成です。
発熱剤を使った商品はこのように
- 発熱剤の上に温めたい物を置く
- 発熱剤に水を触れさせる
- 発熱開始
という流れで温めることができます。
商品によって細かい部分は異なりますが、大体の手順は同じです。
もしもの時でも慌てず作業ができるよう、この流れだけでも覚えておきましょう。
どれだけ温まる?実際の温度を計測
基本の使い方がわかったところで、ヒートパックで水分を温めると何℃まで上がるのか確認してみましょう。
先程基本の作り方で検証した缶入りのお茶2種と缶ミルクを開栓し、温度を測ってみた結果がこちらです。
缶の大きさや薄さによってバラつきはあるものの、3本とも60℃台。
自動販売機のホットドリンク設定温度55℃前後(※1)に近く、そのまま飲むには適温といったカンジです。
モーリアンのサイトには「400mlの水1缶で約85℃、2缶で70℃まで温まる」と記載があったので、3缶入れた為に温度が上がりきらなかったと考えられます。
また、サイトには「変形してお湯が噴き出す恐れがある為、ペットボトル飲料の加熱はNG」との記載も。
火傷等の恐れもある為、誤って加熱しないよう注意しましょう。
お湯を沸かす方法を先に見る
→こちら
入れすぎ注意!温まる範囲は意外と少な目
モーリアンヒートパックの商品説明によると、Lサイズで加熱できる目安量は下記の通りになっています。
- レトルトごはん、レトルト食品、缶飲料各1個づつ
- 缶飲料:3缶
- アルファ米:2袋
- 缶詰:3缶
実際に色々入れてみると、もう少し多めに入れることもできそうですが…。
ということで、目安通りにレトルトごはん(パックごはん)、レトルト食品(カレー)、缶飲料を一緒に温めてみることにしました。
ヒートパック加熱15分後に取り出し、それそれ温まっているかチェックします。
お茶は、アルミ缶が火傷しそうなぐらい熱々。
中の温度を測ってみると、先程検証した時より高く76℃まで上がっていました。
次にカレーをお皿に開け、試食してみましょう。
開封前のパウチを触ると、熱々ではないものの十分温まっていました。
中身の温度は、
残念ながらあったかいカレーではなかったものの、食べるのに問題ないレベルに温まりました。
最後はパックごはん。
触ってみるとパック自体は温かくなっています。
が、開けて中身を確認すると…。
と、パックごはんはまさかの失敗!
原因はパックの入れ方。
縦に入れた事で、発熱剤から遠かった上半分が温まらなかったのだと考えられます。
しかも、今回温めた食材で唯一加熱が必須だったのがパックごはんでした。
もしもの時にごはんが温まらず食べられない…という事態は避けたいので、対策を考える必要がありそうです。
そこで、ストックのレンジ用レトルトごはんセットを使って再検証してみることにしました。
今度はごはんが横にならないよう平らに入れ、その上にレトルト具材を乗せてみます。
15分加熱後ごはんをチェックしてみると…。
2回目の検証は大成功!
やはり、レトルトごはんを平らになるよう横に入れればしっかり温まるようです。
今回のように必ず加熱したいものがある場合は、入れ方に工夫が必要だということがわかりました。
温める優先順位が高い物から下に入れる、と覚えておきましょう。
ヒートパックで茹で卵作りにチャレンジ
次は、レトルト以外の食材を温めるとどうなるか検証してみましょう。
チョイスしてみたのは、大体のご家庭で冷蔵庫に入っている卵です。
モーリアンヒートパックのサイトにも「ゆで卵や蒸し野菜も作ることが可能」と表記されていたので、これは期待できそうです。
割れた場合を想定し、3個ずつ食品用ポリ袋に入れてから加熱袋に。
発熱開始から15分ほど加熱していきます。
15分後、取り出した卵はこのような状態に。
見た目では固まり具合がわかりませんね。
そこで、2個ほど殻を剝いてみると思わぬ結果が!
同じ時間加熱したとは思えない程、仕上がりに差がでてしまったのです…↓。
トロトロ卵もおいしいけど、せっかく加熱するなら食べ応えのあるゆで卵に仕上げたい…。
そこで、発熱剤を追加し、残りの4個を15分再加熱してみました。
けど、貴重な発熱剤を2個使ってまで作るかどうかは微妙かな…。
ここまで火の通り具合に差が出てしまった原因として考えられたのは、
- 卵の数が多かった
- 加熱時間が少なかった
以下の2点です。
そこで、卵の数を6個⇒3個、加熱時間を15分⇒30分に変更して再チャレンジしてみると、3個とも火の通り具合にムラはなく、しっかり固ゆで卵が完成しました。
卵のサイズによっては結果に差が出る可能性もありますが、ぜひ参考にしてみて下さい。
推奨回数使った後の加熱袋の状態
ヒートパックの加熱袋は、推奨利用回数が3回になっています。
実際に3回使用すると、どのぐらい劣化するのか比較してみました。
まずは使用前の新しい加熱袋がこちらです。
そして、3回使用済みの加熱袋はこちらです。
そこまでの劣化や変化はないように見えますが…
唯一気になったのは、底の方に発熱剤表面のプリントが付着していた所でした。
とはいえ、見た目はまだまだ使えそうなぐらい状態に変化はなく、廃棄してしまうのに悩むぐらいです。
ただし使いすぎると破損などの心配も出てくるので、推奨回数の範囲内で使い切るようにしたほうが良いでしょう。
便利!お湯を沸かせる発熱剤グッズ
ここまではヒートパックで食材を温める方法を紹介してきましたが、発熱剤でお湯を沸かす方法も知っておくと便利です。
そこで、次は手軽にお湯を沸かせる発熱剤グッズを2つ紹介します。
湯沸しBOX
まずは直接水を注いで温める湯沸しBOXから紹介しましょう。
セット内容はこのようになっています。
まずはポリ袋に500mlペットボトルの水を入れ、キャップをします。
口が小さいので、こぼれないようゆっくり慎重に…。
次はアルミ袋を広げて発熱材を底に平らになるよう入れます。
発熱材の袋は後で使うので取っておきましょう。
アルミ袋の中に先ほどのポリ袋を入れ、それごと外箱の中に入れます。
先程よけておいた発熱材の袋で水を計量し、アルミ袋の中に注水!
すると、すぐに発熱が始まるので素早く蓋をします。
パッケージには15分~30分程度でお湯が沸くと記載されています。
そこで、15分後に1度開封して温度を測ってみると71℃でした。
そこで再び蓋をし、30分後にまた温度チェック。
わずかに上がったものの、74℃までしか上がりませんでした。
そこで、改めてモーリアンのサイトを確認してみると、
環境温度20℃、水温20℃の場合(使用条件により異なります)
と記載がありました。
せっかくお湯が沸いたので、次は非常食の定番カップラーメンを作ってみましょう。
「熱湯」とは言えない74℃のお湯でもおいしく出来上がるのでしょうか…?
カップにお湯を入れて3分後の麺がこちら。
見た目は普段のラーメンと変わりはありませんね。
他にもお茶を入れたり、アルファ米を戻すのに使うなど、お湯をつかうシーンは色々あります。
食材を温める時はヒートパック、お湯を注いで作る食事には湯沸しBOXなどと併用すれば食事の幅も広がりますね。
notice
パスタやそうめんなどの乾麺は非加熱のものが多い為、しっかり加熱して食べましょう。
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簡単湯沸し器
簡単湯沸し器は先程の湯沸しBOXとは違い、ペットボトルや缶ごと温めるタイプです。
そのためか、仕上り温度目安は50~60℃と少し低め。
熱々よりは”あったまる”程度で頂くものに使用するのが良さそうです。
商品内容はこちら。
発熱用の水が入っているので、別途で水を用意する必要がありません(便利!)。
発熱剤と発熱用水の使用量目安は下記の通りです。
- 180~200ml:それぞれ1袋ずつ
- 250~500ml:それぞれ2袋ずつ
今回は500mlペットボトルの水を温めたいので、それぞれ2袋づつ使うことにしました。
それでは温めていきましょう。
発熱剤を開封し、加熱袋に平らになるよう入れます。
そこに発熱用の水を入れます。
注ぎ始めると白い湯気のようなものが出てきますが、気にせず全部入れちゃいましょう(笑)。
注いで1分ほど経って蒸気が落ち着いたら、ペットボトルを入れます。
パッケージには5分で40~65℃になると表記されていましたが、加熱試験結果だと20分後が一番高温になるようなので、今回は20分置いてみました。
そして20分後、ペットボトルの蓋を開けます。
温度を測定してみると、約52℃まで温まっていました。
検証してみた結果、湯沸しBOXより温度が低かったものの、
- ペットボトルのまま温められる
- 発熱用の水が付属している
というメリットも魅力だと感じました。
もし両方用意できるなら、高温で沸かしたい時は湯沸しBOX、手軽に温めたい時は簡単湯沸し器、と使い分けるのもアリですね。
生米からご飯が炊ける!モーリアンヒートパック炊飯キット
ヒートパックの次は、発熱剤で生米が炊けちゃう画期的なモーリアンヒートパック 炊飯キットを紹介しましょう。
炊飯キットの中身はこの通り。
加熱袋は通常のヒートパックLサイズと同じでしたが、発熱剤は炊飯専用のものが必要なようです。
専用容器はアルミ製で、蓋がポリエチレン製です。
加熱袋の空いたスペースを使ってレトルト等も一緒に温められると記載があったので、今回はレトルトスープも一緒に入れてみることにしました。
では、早速作ってみましょう!
まずは付属の専用カップに無洗米をすり切り1杯分(約90g)入れ、専用容器に入れます。
これで炊きあがりが180~200g程度になるそう。ちょうどレトルトごはん1パック分程度の分量ですね。
次に容器内側の線まで水(約120ml)を入れしっかりと蓋をしたら、そのまま30分浸水させます。
30分たったら、加熱袋へ発熱剤→専用容器→他の食材、の順に入れていきます。
発熱剤が入っていた袋は計量に使う為、取っておきましょう。
発熱剤の袋の内側にあるラインまで水を入れ、加熱袋に注ぎます。
水を注ぐとすぐ加熱が始まる為、早めにチャックをしめましょう!
そのまま加熱が終わるまで30分ほど放置し、余裕があれば5~10分蒸らして取り出します。(とても熱いので軍手などを使って下さい!)
出来上がったごはんがこちら↓。
粒がふっくらしていて、見た目は普通に白飯ですね。
火を使わずに食べられる非常食ごはんはアルファ米かパックご飯だけ、だと思っていたのに…こんな画期的な発熱剤グッズがあったとは衝撃的でした。
普段炊いているお米がそのまま非常食になる、という手軽な所が特におすすめしたいポイントです。
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繰り返し使える発熱剤用グッズ、バロクック
今まで紹介してきた商品の発熱容器は簡易的なもので、数回で新しい物に交換する必要があります。
もしもの時に備えるだけなら良いのですが、使用頻度が高い方にはそれだとコスパが良くないですよね。
そんな方には、発熱容器を繰り返し使える発熱剤グッズ、バロクックがおすすめです。
バロクックとはどんな商品なのか、以下で詳しく紹介していきましょう。
バロクックのバリエーション紹介
バロクックの商品は、発熱剤で温める調理器具に特化しているのが特徴です。
タンブラーやお弁当箱、哺乳瓶、バッグ型など、ラインナップが豊富なので、家族構成に合わせて揃えられます。
加熱容器は何度も再利用できるので、防災にはもちろん、ちょっとしたアウトドアにも重宝しそうです。
今回は、その中からタンブラーとバッグを実際に購入し、使用方法や気づいた事などをレビューしてみました。
バロクック加熱式タンブラー
バロクック加熱式タンブラーの本体サイズはW90xH188xD90mm。
容量は400mlと記載がありますが、実際に入れてみたら溢れてしまいました!やや少なめの350ml以下にしておくのが無難です。
商品内容はこの通り↓。20gの発熱剤も1袋同梱されていました。
温められる飲料内容については特に記載がありませんでしたが、使用方法紹介を見ると「コーヒー・お茶・スープなど」と書いてありました。
スープも気になるところですが、今回は一番需要が多そうなお湯を作って沸かしてみたいと思います。
…実はこのタンブラー検証、結論から言うとまさかの失敗続きで、思わぬ苦戦を強いられる結果となりました(汗)。
そこで、検証時に起こった失敗例を具体的に紹介しておきましょう。
check!
以下▼をタップすると使用方法も確認できます。
失敗① ”発熱剤”なのに発熱しない
最初にタンブラーでお湯を沸かしてみた際は、発熱剤が全く発熱しないというハプニングがありました。
タンブラー自体は購入してまだ1カ月程度でしたが、もしかして同梱されていた発熱剤の使用期限が切れていたのでしょうか。
しかしパッケージの注意事項を見ると、発熱剤には使用期限がない事が記載されていました。
そして、その下にはこんな記載も。
袋が破れるなどして袋内部に湿気が入ったりすると使用できなくなる場合があります。
この状況を回避するには、発熱剤を多めにストックする以外に方法がありません。
最低限の数しかなかった場合、失敗したら使い物にならないからです。
幸い今回は予備の発熱剤も購入していた為、他の検証も行うことができました。
ちなみに、バロクック以外のグッズ付属の発熱剤には有効期限が記載されていました。
このように期限があった方が劣化による失敗を防げるかもしれませんね。
とはいえ、他の商品でもバロクック同様の事が起こらないとは限りません。
万一に備えて発熱剤は多めに備えておきましょう。
失敗② タンブラーのパッキンが閉まらない
2回目の検証時は無事に発熱してくれました。
…が、ステンレスタンブラーを入れてみたところ…。
一生懸命押し込んでも入らない(汗)!
膨らんだ発熱剤はなかなか沈まず、上蓋がロックできるところまで押すことができません。
仕方なく蓋のロックは諦め、上蓋を被せてしばらく様子をみることに。
すると、5分ほど経ち発熱剤が少ししぼんだので、もう一度押してみるとロック成功!
一応結果を確認する為、そのまま検証を続行します。
発熱から10分後、蓋を開けステンレスタンブラーを取り出して測定してみると、68℃でした。
パッケージに記載されていたグラフの温度だと約70℃程度。
蓋が閉まらなかった割には、そこまで差が付きませんでした。
それにしても、蓋がロックできなかった事は気にかかります。
もしロックできていれば、もっと温度が上昇したかもしれませんよね。
そこで、発熱剤が膨らみ過ぎないよう工夫し、再チャレンジしてみることにしました。
失敗③ 加熱用の水が吹きこぼれる
プラスチックボトルに発熱剤を入れる際、パッケージには「先端が尖っていない棒」を使うと記載があった為、いままでは棒状のもので押し込んでいましたが…。
という事で、今回は指で押してならす作戦でやってみました。
あとは同じように水を入れ、発熱後にステンレスタンブラーを入れます。
先程よりはスムーズに入ったものの、今度は…↓。
押すたびに水が吹きこぼれてしまいます。
袋で計量した注水量が多すぎた可能性もあると考え、きっちり40mlで計量して再々チャレンジ!
…しかし、結果は変わらず。
見事に吹きこぼれ、机は再びビチョビチョに…(涙)。
火傷のリスクや節水面への懸念はもちろんのこと、最も不安に感じたのは「安心して飲めるのか」という安全面でした。
バロクック加熱式タンブラーでお湯を沸かす検証は、残念ながらうまくいきませんでした。
ただ、それと同時に
という感想も。
もしもの時に失敗してしまっては意味がありませんからね(汗)。
発熱剤は安くない為、できれば使わずにとっておきたい、と考えがちですが、
- 1度試してみる
- 予備の発熱剤もストックする
以上の2点は絶対にクリアしておきましょう。
防災グッズは備えておくだけでなく、実際に使えるかどうかが一番大事なポイントです。
バロクック加熱式バッグ
次はバロクック加熱式バッグを使って食材を温めてみましょう。
バッグの容量は2.5ℓ、サイズは幅270mm × 奥行225mm × 高さ260mmです。これだけの大きさなら食材もたくさん入りそうですね!
ただし、一つ心配な点が…。
必要な水量&温められる食材の分量はパッケージに記載されているものの、表記はℓ(リットル)のみ。
水分ならともかく、ごはんや缶詰等の量をどう換算したらよいか悩みますよね。
そこで今回は50g(1袋)の発熱剤で温められる量を想定し、分量を決めることにしました。
試しにバッグ1/3~1/2に収まるまで食材を入れてみたところ、約2人分程度の分量になりました↓。
- パックご飯×2パック
- レトルトスープ×2袋
- 缶詰×2缶
- 缶飲料×2缶
それでは実際に温めてみましょう。
バッグを開け、袋から出した加熱材(50g)を底部に入れます。加熱剤の袋は水を入れる際に使うため、とっておきます。
加熱剤の上に食材を入れていきます。
ヒートパック検証時の失敗を活かして、温めないと食べられないレトルトごはんから平らになるよう入れていきます。
パッケージに表記された目安の水(150mℓ)を入れ、加熱していることが確認できたらバッグのジッパーを閉じます。
すぐ熱くなるので火傷に気を付けましょう!
調理時間の目安は食材によって異なります。
今回は何種類か入れている為、一番長めの30分間置いてみることにしました。
30分たったらジッパーを開け、火傷をしないよう軍手やトングなどを使って食材を取り出します。
それでは本題。
食材がしっかり温まっているかチェックしてみましょう。
初めに缶コーヒーの温度を測ってみると、51℃。
少し低めですが、飲んでみると程良い温かさになっていました。
次はパックご飯。
一番失敗してほしくない食材でしたが、開けてみるとホカホカ!ちゃんと温かいご飯になっていました。
缶詰おかずとレトルトスープもこの通り♪
しっかりと温まっています。
バロクック加熱式バッグの検証は大成功!
心配していた食材の分量も問題無かったようです。
今回実際に使ってみて良いと思った点は、
- 一度に2食分温められる
- 何度も繰り返し使える※発熱剤は都度必要
- 箱型なので入れる際安定性がある
という所です。
唯一気になったのは、バッグの底に溜まった水。
バロクックの発熱剤に使われている石灰が溶け出し、白く濁っています。
バッグ内で温めたパッケージや缶の表面にも、石灰がうっすら付着していました。
発熱後の石灰は強アルカリ性で、触れたりすると炎症反応などが起こる可能性(※2)があります。
うっかり口にすることのないよう、軍手やビニール手袋などで手を保護し、表面をよく拭いてから開封するようにしましょう。
発熱剤を使う際の注意点はこちら
発熱剤で温めるお弁当、レスキューフーズ
レスキューフーズ1食ボックスは、発熱材とレトルト食材がセットになっている商品です。
箱を開けると発熱剤やスプーン、お手拭き、レトルト食品など、必要なものは一通り揃っています。
発熱させるための水分(溶液発熱)も入っているので、水を用意する必要もありません。
基本的な作り方は先程紹介したヒートパックと同じです。
加熱袋のマチがない代わりに箱を使って自立させます。
発熱中はこんな感じ↓でシューシュー音を立ててブクブクしますが、あせらず放置します。
約20分後、蒸気が出なくなったら10分ほど蒸らして完成です。
ちなみに、先程紹介した自衛隊陸上自衛隊広報センターに遊びに行った際、温かく食べられるごはんセットがお土産として売られていたので購入してみたのですが…
開けてみると↓
中身はレスキューフーズと同じでした(笑)。
パッケージをよく見ると、製造しているのはレスキューフーズと同じホリカフーズ。そりゃ同じ訳ですよね…(納得)。
確認してみたところ、モーリアンヒートパックとセットで自衛隊の非常用糧食(レーション)として採用されているんだそう。
また、ホリカフーズではエヴァンゲリオンとコラボした「特務機関NERV指定防災糧食」というレスキューフーズも販売されています。
もちろん通常のレスキューフーズと同じように温かいご飯が作れます。
エヴァファンの方なら、ぜひストックに加えてみてはいかがでしょう。
発熱剤を使用する際に気を付けたいこと
ここまで発熱剤で温めるグッズを色々検証した結果、使用時や選ぶ際に気を付けておきたい内容がわかってきました。
もしもの時に安心して発熱剤グッズを使えるよう、使用時の注意点と選び方についてまとめてみました。
使用時に気を付けたい注意点
まずは発熱剤を使う時に注意したいポイントから挙げていきましょう。
発熱剤の取り扱いには十分注意
発熱剤に触れてしまうとアレルギーを起こす可能性がある為、発熱剤の袋を誤って開封しないよう注意が必要です。
もし触れてしまった場合は直ちによく洗いましょう。
また、濡れた手で持ってしまうと発熱が起こり、火傷する危険性があります。発熱剤を扱う際はしっかり手を拭く、もしくはビニール手袋などで保護してから行いましょう。
加熱中の注意点
加熱後の食材を取り出す際、温まった缶などに触れると火傷する恐れがあります。軍手やトングなどを使い、食材に直接触れずに済むよう工夫して下さい。
加熱中にパックから出る蒸気による火傷にも注意しましょう。
また、加熱中は微量の水素ガスが発生する為、火気を近づけないようにしましょう。
発熱剤の捨て方
使用後の発熱剤は冷めた後に使い捨てカイロと同様に処分します。
分別は地域によって異なる為、お住まいの地域がどれに該当するか確認しておきましょう。
1度使ってみてから備える
発熱剤グッズは”アウトドアで愛用している”等の理由がない限り、普段使いすることはめったにありません。
その為、ローリングストックはせず「スリーピングストック=とりあえず買って放置」する方が多いのではないでしょうか。
ただし、それは「1度使ってみて問題なければ」という条件付きになります。
その理由をいくつか挙げてみましょう。
- 食材や量によって仕上がり温度に差が出る
非常用にストックしている食材の量が問題なく温まるのか、事前に確認しておきましょう。 - 入れ方によって温まり方にムラが出ることも
災害時に「思うように温まらない」という事態を避ける為、問題なく温まる入れ方を事前に把握しておきましょう。 - 発熱剤の匂いが気になる人も
商品によって差はあるものの、発熱中に独特な匂いを感じることがありました。
特に子どもは匂いに敏感なので、試してみて問題がないか確認してから備える事をおすすめします。
発熱剤に限らず、災害用のストックはもしもの時に役立たないと意味がありません。
1度試しておくと安心感も得られるので、ぜひチャレンジしてみて下さいね。
自分に合った発熱剤グッズの選び方
発熱剤グッズには様々な種類があるため、どれを備えておけば良いのか迷いますよね。
そこで、選ぶ際の参考になるようそれぞれの特徴をまとめてみましょう。
モーリアンヒートパック
こんな方におすすめ
- 発熱剤グッズを手軽に揃えたい
- カセットコンロが使えるまで最低限使えれば良い
モーリアンヒートパックは温められる食材が幅広く、ネットショップ等で比較的手に入りやすいのが利点です。
温めたい食材や分量によってLサイズかMサイズを選びましょう。
湯沸しBOX、簡単湯沸し器
こんな方におすすめ
- お湯を沸かして使いたい
- 飲み物を適温に温めたい
湯沸しBOXと簡単湯沸し器の特徴は、水分を温める事に特化している所です。
カップ麺や湯冷ましなど、お湯を沸かしたい時にはコレがおすすめ。
モーリアンヒートパック炊飯キット
こんな方におすすめ
- 生米からご飯を炊きたい
- アルファ米が苦手
おうちにある生米で簡単にご飯が炊ける所がこのキット最大の魅力。
また、「アルファ米の味がどうしても苦手…」という方にもおすすめです。
バロクック加熱式バッグ
こんな方におすすめ
- 使う頻度が多い
- 一度にたくさん温めたい
1度にたくさん温められるバッグ型なので、家族分まとめて温めることができます。
繰り返し使えるので、アウトドア等でよく使う方にはピッタリです。
レスキューフーズ
こんな方におすすめ
- 色々備えるのは面倒
- 何も考えずに備えたい
レスキューフーズの利点は何といっても「手軽さ」です。
付属のごはんを温めるだけで汎用性はないものの、これさえ買っておけば大丈夫!という安心感を得られる商品は他にありません。
値段は少し高めですが、買って損はない非常食セットです。
寒い季節は発熱剤で温かい食事を
被災直後の食事はどうしても冷たいものになりがちです。
不安な気持ちを抱えた時こそ、発熱剤の力で身も心も温まりたいですよね。
発熱剤は肌寒い季節のレジャーやアウトドア等にも使えるので、持っていても無駄にはなりません。
もしもに備えて何点か用意しておきましょう。