SNSを中心に話題になった「防災ボトル」。
警視庁災害対策課のXポストがきっかけで、多くの人に広まった新しい備えです。
100均や身近なもので簡単に作れるのも、人気になったポイントのひとつですよね。
ですが、いざ作ってみようと思うと、こんな疑問も…。
ウォーターボトルって、常に持ち歩くには意外と大きさがありますし、せっかくなら本当に役立つものにしたいですよね。
というわけで今回は、防災士の私(防災ポーチを4年以上愛用中)が実際に防災ボトルを作り、気になったことを検証していきます!
※あくまで個人の感想となります!資格者や団体を代表するものではありません。
この記事の目次
防災ボトルはなぜ人気?警視庁がおすすめする理由
防災ボトルとは、外出中の被災に備えた防災グッズをボトル型の容器にまとめたもので、0次の備えのひとつです。
2022年4月11日、警視庁警備部災害対策課の公式X(当時:Twitter)から話題になりました。
その後、2024年1月1日の能登半島地震の直後などにもSNSで広くシェアされ、持ち歩く人が増えているようです。
0次の備えとは
防災グッズは、状況別に3つの段階に分けられます。
- 0次の備え=いつも持ち歩く備え(防災ポーチ)
- 1次の備え=非常時に持ち出す備え(防災リュック)
- 2次の備え=長期被災時のための備え(備蓄品)
詳しくは「備えの基本」の記事をご覧ください。
防災ボトルを持ち歩くメリット
まずは、流行の元となったポストを見てみましょう。
災害は、いつどこで起こるかわかりません。そんな災害のときのために、私は外出する際、各種グッズをウォーターボトルに入れた「防災ボトル」を持ち歩いています。コンパクトに収納できるので、カバンやリュックサックに入れても気にならず、防災力を高めることができます。ぜひ、ご参考に! pic.twitter.com/YbGSGVe5iB
— 警視庁警備部災害対策課 (@MPD_bousai) April 10, 2022
担当者の方によると、「コンパクトに収納できる」のがメリットだそう!
透明なウォーターボトルを使うことによって、他にもこんなメリットが考えられますね。
- 水に浮く
- 水をくめる
- 中身が濡れない
- 中身がつぶれにくい
- 中身が見える
ほぼ100均で揃う!基本の中身で作ってみた
概要と中身がわかったところで、さっそく実際に作ってみましょう!
用意したものリストはこちら。
- ウォーターボトル
- ホイッスル
- 圧縮タオル
- エチケット袋 ⇒購入したものが大きすぎたので凝固剤+黒い袋に変更
- ミニライト
- ビニール袋
- 常備薬
- ばんそうこう
- アルコール消毒綿
- ようかん
- 現金
全部で11アイテムと、かなりシンプルです。
1つ1つの防災グッズも特別なものはなく、すべて元々持っていたもの+100均(ダイソー・セリア)で揃えることができました。
実際に作って感じた、防災ボトルのデメリット
とはいえ実物を手にしてみると、やっぱり気になる部分も。
めんどくさがり防災士の視点から、忖度なしの本音を言わせていただきたいと思います…!
やっぱりかさばる!荷物少なめ派は続かないかも…
当然といえば当然なのですが、防災ボトルはいくらシンプルな中身でも、しっかり500ml分のスペースを取ります。
また、大きめのバッグを使っているママスタッフからもこんな意見が。
ママバッグには、おむつ替えグッズやトラブル対策グッズなど、そのままでも防災に役立つものが既にたくさん入っているはず。
そこに水筒をもうひとつ持つようなものと考えると、確かに負担かもしれません。
防災に役立つママの持ち物は、この記事でまとめてます!
いつもの持ち物と比べてみた
私が持ち歩いているポーチと防災ボトルを並べてみると、こんな感じ。
日常的に使うものも含め、多くのグッズを詰め込んでいるため、大きさはあります。
ただ、布製なのでスペースが気になったことは特にありません。
言うまでもなく、防災ボトルのシンプルな中身をポーチに移し替えれば、かなりコンパクトに収まります。
当然、ボトルのメリット▲も失ってしまうのですが…(汗)。
代わりに、300〜400mlのペットボトルが一緒に持ち歩けるようになるため、一部の機能はカバーできそうです。
出し入れしにくいので機動性がイマイチ…
もうひとつ気になったのが、出し入れのしにくさです。
検証のために中身を入れ替えるとき、何度も遭遇した場面がこちら。
大人の手は入らないので、小さいものが下の方に行ってしまうと、スムーズに取り出すのはまず無理です。
結局ボトルをひっくり返し、全部のグッズを出してから探すことに…。
外出先で被災した場合、グッズを広げるスペースがないこともありえます。
また、普段はあまり出し入れの頻度は多くないかもしれませんが、もしものときに助けを呼ぶためのホイッスルや、暗闇を探るためのミニライトは、必要なときにすぐ使えないと困りますよね。
すぐに使いたいグッズは、入れ方を工夫する必要がありそうです。
他のグッズも、ジップロックや輪ゴムなどを使って仕分けてから入れた方がいいかもしれません。
「水に強い」への防災士的モヤモヤ
防災ボトルのメリットとしてよく目にするのが、「水に強い」という部分です。
「防災×水」と聞くとまず水害を想像しますが、災害級の大雨なら、そもそも外出を控えるよう警告されていますよね。
避難する場合も、ボトル1本の浮力に頼るような状況になる前に、防災リュックを持って安全な場所へ移動するのが鉄則です。
ウォーターボトルに防水性があるのは確かですが、まずは基本的な対策から知ってほしいな…と思ってしまうのは、防災士の性かもしれません。
また、防災ボトルは中身を出せば水をくむこともできますが、水筒やペットボトルなどを持ち歩いていれば、どこでもすぐに水分補給できますし、飲み終わった容器を再利用することもできます。
外出先で被災した直後に給水所や川に向かうよりも、飲み物を普段から持ち歩くのが理想的ではありますよね。
女性や子どもは特に、結局自分で考えて備える必要アリ
警視庁のポスト内にも書かれていますが、必要な防災グッズは人それぞれ違います。
特に女性や子どもは、個別に追加しておきたいものがありますよね。
小学校低学年くらいであれば、まだボトルのフタをまっすぐ閉めるのが難しい子もいるのではないでしょうか。
本当に役立つものにしたいなら、結局は「自分が被災したときのことを想像しながら作る」という手間は覚悟しないといけません。
防災ボトルと防災ポーチ、どっちがおすすめ?
というわけで、防災ボトルを使いこなせるかどうかには相性がある、と感じた私。
外出時の備えとしては防災ポーチが定番ですが、どちらがベストなのでしょうか?
状況別の相性を考えてみました!
防災ポーチで備えるメリット・デメリット
私はここ4年ほど、防災ポーチを持ち歩いています。
実際に使っていて感じるメリットとデメリットはこんな感じ。
防災ポーチのメリット
- かさばらない
- かわいいデザインが多い
- バッグの中がスッキリ見える
- 出し入れしやすい
- 一部のアイテムは普段も使うので、存在を忘れにくい
防災ポーチのデメリット
- 基本的に防水性はナシ
- お菓子やティッシュ、ばんそうこうなど、細かいものがつぶれやすい
- 小さいものが行方不明になりやすい
- 底の方に何が入っているかわからなくなる
これまでポーチや内ポケット以外のものを使う発想があまりなかったので、特に不便を感じていませんでした。
ですが、こうして書き出してみると、お菓子や絆創膏がぐちゃっとつぶれるのは対策しておきたいですね…!
防災ポーチの作り方やおすすめの中身については、こちらの記事でまとめています。
防災ボトルはこんな人におすすめ!
防災ボトルのメリットとデメリットについては、ここまでご紹介してきた通りです。
それを踏まえて、防災ボトルの長所を活かせる人を整理してみました。
- バッグの容量に余裕がある
- 防災用と普段用のアイテムをしっかり区別したい
- 中身をわかりやすく把握したい
- つぶれたら困るものを持ち歩きたい
- 防水性や浮力、水をくめることを重視したい
- ボトルをカスタムして楽しく備えたい
当てはまる人には、防災ボトルがおすすめです!
「それでも迷う…」という方には、ボトルとポーチどちらでもない、新しい選択肢もありますよ♪
ポーチとボトルの良いとこ取りアレンジ
防災ポーチor防災ボトルの二択ではなく、組み合わせる方法もありますよね。
たとえば、こんな風に持ち歩いてみるのはいかがでしょうか。
- ボトル・・・つぶれたら困るもの、濡れたら使えないもの、もしもの時しか使わないものなど
- ポーチ・・・取り出しにくい小さなもの、普段から使うものなど
- バッグのポケット・・・緊急時にすぐ使いたいものなど
また、ママスタッフからはこんなアイデアも!
こうなってくると、防災ボトルというより「おやつボトル」ですが…(笑)
実は、おやつも立派な非常食。子どもが抵抗なく口にできて、日常を感じることもできます。
透明なボトルに入れて持ち歩いたら、お菓子の瓶詰めのようでワクワクした気持ちになれるかもしれませんね♪
どちらでもない「防災ケース」もアリ
と、ふと思い出したのが、別のスタッフによるこちらの動画。
セリアのプラケースに、もしもに備えた小物を入れているそう。
こちらは防災ポーチ内の仕分け用として紹介されていますが、もう少し大きめのサイズなら、そのまま防災ポーチ代わりになりそうですよね。
防災ボトルのかさばりや出しにくさが気になる方は、こういった小分けケースを「防災ケース」にしてしまうのもアリかもしれません!
子ども用にはボトル風の「筆箱」が便利そう!
そして、小学生ママたちが一番盛り上がったアイディアがこちら。
他にも、「筆箱ならフタの閉め忘れや紛失がなさそう」「カラビナを付けられるから行方不明になりにくそう」などのメリットも出てきました。
これはなかなかの発見なのではないでしょうか…!
というわけで、「防災ボトル筆箱(!?)」を実際に作ってみることにしました。
いつもしも流・子ども用防災ボトルを作ってみた
クリアでボトル型の筆箱を用意してみました!
防水ではありませんが、中身がわかりやすく、縦横にファスナーがついているのがポイントです。
ストラップがあるので、すぐ必要なホイッスルやライトを外に付けることもできますね。
そもそも子どもが防災ボトルを使う場面って?
公式の防災ボトルは大人の男性が持ち歩いているものなので、子ども用にするには中身の工夫も必要です。
一口に子どもといっても年齢による差が大きいですが、今回は「一人で外出する機会が増える、小学校中学年〜高学年向け」にアレンジすることにしました。
というわけで、中身は「子どもの外出時に持たせたい防災ポーチ」の記事より、「外出レベル4」のリストを参考に揃えました。
おたすけミニブックとは
子どもが一人で被災したときを想定し、必要な情報をまとめたカードサイズのミニブックです。
A4用紙1枚で簡単に作れるので、ぜひ備えにプラスしてみてください。
こちらからPDFでダウンロードできます!↓
中身の防災グッズを詰めてみた
詰めてみたところがこちら!
ウォーターボトルよりも大きめなので、かなり余裕があります。
仕切りがないのでごちゃつきはしますが、やわらかいので容赦なく手を突っ込んで取り出せます(笑)
いつもクリア素材の防災ポーチを持ち歩いている小学生女子にもなかなか好評でした!
あくまで「ボトル型の筆箱」で防水性はありませんが、流行りに乗りながらも使い勝手と両立することができたのではないでしょうか!
まとめ:防災ボトルでもポーチでもOK!自分に合った備えが継続のコツ
最後に、ここまでのレポートをまとめます!
- 防災ボトルのメリット
⇒防水性、中身が見える、つぶれにくい、手軽 - 防災ボトルのデメリット
⇒かさばる、中身が出しにくい、本当に活躍する状況が限られる - デメリットが気になる人は防災ポーチがおすすめ
- 小物ケースや筆箱などの選択肢もアリ
本当に正直に言ってしまうと、いまの私の環境では、あえて使い慣れた防災ポーチから乗り換えることはないかな…と思いました(汗)。
ですが、ここまでご紹介してきた通り、持ち歩き用防災グッズはいろいろな備え方があります!
災害がいつ起きるかわからない中、備えは継続しないと意味がありません。
防災ボトルも含めて、自分に合った備え方を選んで楽しく続けていきましょう♪
他の人がどんな防災グッズを持ち歩いているか知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
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