防災グッズに非常食、防災や避難情報の収集…備えて見直して調べて、防災はやることがたくさん!
真面目に向き合おうとすればするほど、壁にぶつかって嫌になりがちです。
実は、ママがなにげなくやっていることが防災になってたりもするんです。
それとは知らずにできちゃってるママの防災とその活用法を1つずつ見ていきましょう!
ママだからできる備え!ベビーグッズは卒業したら防災グッズに
世の中にあふれる防災グッズを調査していく中、いつもしものママスタッフたちは気が付きました。 重いグッズを運ぶもの、堅い床から身体を守るもの、排せつ物を流さずに捨てる方法… そうなんです。 重くなった我 ...
続きを見る
この記事の目次
明日までの集金にも慌てない!小銭ストック
まずは、ママを悩ませる、園や学校からの急な集金対策の活用法から。
昔と比べると引落しが増えてきた印象ですが、現金での集金文化はまだまだ根強く残っています。特に卒園・卒業・新入学の時期は臨時の集金が増えますよね。
そんな突然の集金に備えて、1,000円札や小銭を用意しているママは多いのでは?
現金は、災害時、特に停電時に活躍してくれる、立派な備えなんですよ。
現金は停電時の強い味方
「いつもしも」では、もしもの備えを
- 0次の備え:持ち歩き用防災ポーチ
- 1次の備え:非常持ち出し用防災リュック
- 2次の備え:長期・在宅避難用備蓄
の3段階に分けているのですが、そのすべての段階で現金の備えをおすすめしています。
なぜなら、停電で電子決済が使えなくなった場合、支払いは現金のみになる可能性があるからです。
停電すると、原則としてATMも使えなくなるので、頼りになるのは手元にある現金のみ。
memo
非常用電源が用意されている店舗もあるようですが、ATMの維持に使われるとは限りません。
実際、2019年の台風15号で千葉を中心に大規模な停電が発生したとき、多くのコンビニのATMが使用停止になりました。(※1)
ママ防災士・リサさんが東日本大震災で被災した際も、スーパーには「おひとり様5点まで、現金のみ可」の張り紙がされていたそうです。
お店側がお釣りを用意できない可能性もあるので、無駄なく払える小銭の備えは災害時に活躍してくれるでしょう。
ただし、現金にもデメリットはありますので、電子マネーとうまく併用することが大切!どちらかに偏りすぎず、どちらも使えるようにしておきましょう。
広がるキャッシュレス決済、今後の災害対策は
電子マネーが使えないと話題になった、2018年の北海道胆振東部地震以降も、キャッシュレス決済の普及率は上がっています。
国としても、キャッシュレス決済を推進しているため、災害時にサービスを維持する方法を検討しているようです。(※2)
100円ショップの小銭ケースにいくら入るか
我が家の現金の備えは、100円ショップのケースに入れています。コイントレーの下には1,000円札も何枚かストック。
どの硬貨がどのくらいあるかひと目で確認できるため、ストック管理しやすく、必要な分も取り出しやすいんです。
ざっくりとですが、このトレーが8割程度埋まっている+1,000円札が2〜3枚あれば、大体10,000円分くらいは確保できている、と判断できますね。
すでに使っている方も多いと思いますが、まだの方はぜひ導入を検討してみてください。
お小遣いにも使える
また、子どもが小学生以上になると、小銭はお小遣い用としても活躍します。
お友達とお祭りに行くからと臨時ボーナスで300円、特別何かを頑張ったらごほうびに100円…成長に伴い、こまごまとお金を渡す機会がぐっと増えます。
洗濯物をたたんだら10円、など、お手伝いを報酬制にしているおうちもありますよね。
小さい金額からお金の管理を学べるので、金融教育の意味でも小銭のストックが役立ちそうです。
集金での出番がなくなっても、ぜひ現金の備えを続けてみてください。
多すぎる子ども用の水筒も頼りになる
次の「できてる備え」をご紹介する前に、ママに質問です。
我が家の水筒before→afterはこんな感じ。ちなみに4人家族です…
2020年
2023年
ここ数日で急に暑くなりましたね💦我が家も少しずつ #熱中症対策 を始めました。子どもの成長に伴って水筒の容量もアップ⤴していき、気が付けば水筒が着々と増えています。ちなみに、水筒の耐用年数は特にないそう。まだまだ使えるものは、季節や用途に合わせてこれからも使っていく予定です🙋♀️ pic.twitter.com/Ut3VcBJRYq
— いつもしも◇ママと子どもの防災 (@itumosimo) May 18, 2023
水筒って、子どもの成長とともに、見た目の好みや用途・容量の違いで増殖していきますよね。
そんな水筒は、断水前・断水中の飲用水確保や、停電時にカセットコンロで沸かしたお湯の保温などで活躍してくれます。
保温・保冷機能を停電時に活用
「いつもしも」では、非常食の備えを考えるとき、温かい食事をとる方法を常に意識しています。
肉体的にも、精神的にも、温かい食事を摂ることはとても大切!
ライフラインの停止に備えて、カセットコンロはぜひ持っておいていただきたい防災グッズの1つ。さらに保温水筒があれば、カセットガスを節約しながら熱いお湯をキープできます。
台風の上陸予報などがある時に、事前に沸かしたお湯を保温しておくのもおすすめですよ!
【関連】温かい食事をとるための方法
応急給水拠点や給水ステーション…断水に備えて覚えておきたい給水スポット
水の備えはとても大切ですが、災害が長引いて買い足せない状況が続くと、いずれ尽きてしまいます。
備蓄と合わせて、地域の給水スポットも確認しておきましょう。
水筒のほかに給水バッグも備えておくと、運べる水の量が増えますね。
水の備蓄はどれくらい必要?飲料水の保管方法や災害時の注意点を知っておこう
相次ぐ自然災害を受けて、キリンビバレッジ株式会社が飲料水の備蓄に関する調査を行いました。 調査を受けた人のうち半数が「普段から自然災害を意識している」と答えたものの、実際に必要量を備蓄できている家庭は ...
続きを見る
どこにある?場所をチェック
自治体が管理している給水拠点をご存知ですか?
給水所・給水拠点・給水ステーションなど、呼び方は各自治体で異なりますが、断水が続いたときに水をもらいに行く場所なので、ぜひチェックしておいてください。
東京都は「給水ステーション」と呼んでいて、Webやアプリで確認できます。
先日の断水のニュースに、そういえば #災害時給水ステーション ってどこにあるんだろう?と疑問に思っていたところ、ちょうどリリースされた #水道局 のアプリで調べられると知り、早速ダウンロードしてみました📱
登録すれば各種手続きもできるので、いつもの生活にも役立ちそうです🌼#いつもしも https://t.co/3L2e53QReX pic.twitter.com/QiS29ye8gm— いつもしも◇ママと子どもの防災 (@itumosimo) October 6, 2022
いま行って水がもらえる?開設状況をチェック
給水拠点を知っていても、実際に水がもらえるかどうかはわかりません。
自治体のHPやSNSのアカウントなどを事前にチェックして、すぐにアクセスできる状態にしておきましょう。
正しい情報に素早くアクセスすることは、災害時にはとても大切。
SNSの活用法はこちらの記事で詳しく解説しています。
災害時にSNSを使いこなす!X(旧Twitter)やLINEの活用法まとめ
スマートフォンが普及し、災害時もSNSの影響力が大きくなってきています。 いつも何気なく使っているLINEやX(旧Twitter)、FacebookなどのSNSも、被災したときは心強い味方になってくれ ...
続きを見る
給水方法は?種類をチェック
ただ、この給水拠点には、さまざまな種類あります。
種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
給水槽 | 断水時も使える 水量が豊富 | 補給がないと枯渇する 家から距離がある可能性がある |
災害時給水栓 (水道管直結式) | 数が多い 水量の制限がない | 断水時は使えない(※) |
給水車 | 断水時も使える 任意の場所に出向ける | 補給がないと枯渇する 水量が少なめ |
※耐震強化された水道管に繋がっているため、使える可能性もある
おそらく一番アクセスしやすいのは災害時給水栓なのですが、水道管の破損や水道施設に問題が生じている場合は使えないため、注意が必要です。
check!
実際、仙台市では、2023年3月の水道管破損による断水の際、地域住民が災害時給水栓を使おうとして水が出なかったことが話題になりました。
東日本大震災のときの混乱を教訓に、災害時給水栓の設置を強化し周知を進めていた仙台市。
災害時給水栓の存在そのものだけでなく、開栓の条件や、断水時に使えなくなるところまでの周知が必要ですね。
その他、民間の給水スポット
その他、民間の給水スポットもあわせてチェックしておきましょう!
例えば、無印良品にマイボトルを持っていくと、店内に設置された給水機から無料で水をもらうことができます。(※3)
「もしも」よりも「いつも」向きですが、普段のお買い物ついでに給水できるのはありがたいですよね。
また、ホームセンターのスーパービバホームには、外壁に災害用の水栓が付いている店舗があり、「もしも」のときに活用できます。(※4)
「あそこなら給水できるかも!」と思い当たる場所は多いに越したことはありません。
お出かけの際に給水スポットを見かけたら、ぜひ覚えておいてください。
子どもの好きなおやつも「非常食」
飲み物の次は、食べ物の備えも見ていきましょう。
毎日のお子さん用のおやつは、どのようにストックしていますか?
際限なく食べてしまう幼少期のころは隠していたおやつも、ある程度成長すると自由に手に取れるようにしているお宅が多いのではないでしょうか。
そして、きっとママたちは中身を切らさないように買い足していることでしょう。これも「非常食」の1つです。
子どもだけで留守番中に被災したら…おやつも非常食にカウント
お子さんだけの留守番中に地震が起こり、親がなかなか帰宅できない=帰宅困難者になってしまったとき、お子さんは自分の判断で食事をすることになります。
ローリングストックしている食品や非常食を活用できれば良いのですが、たとえ練習していても、いざとなるとハードルが高く感じる子もいるでしょう。
そんなときは、割り切っておやつを食べて良いと思います。
非常時に優先すべきは、栄養バランスよりも命をつなぐことです。
おやつには常温保存が可能で日持ちするものが多いので、多めにストックしておくこともできます。
帰宅難民になったらどうする?他人事じゃない!ママが知っておくべき防災対策と決めておくこと
最近は自然災害が増えましたが、それに伴い「帰宅難民(帰宅困難者)」になる危険について注目されています。 ニュースで帰宅難民の映像を見ていても、どこか他人事だと思ってはいませんか? 働くママさんや、家か ...
続きを見る
メンタルケアとして頼ってしまおう
もしもの時、長期保存がきく非常食はとても頼りになります。しかし、食べ慣れたものや好きなものがもたらしてくれる安心感もまた大切。
ローリングストックや、スイーツのストックをおすすめするのもそのためです。
以前いつもしもでインタビューさせていただいた、新潟県中越地震の被災経験があるモデルの西山茉希さんも、ママ自身が帰宅困難になってしまったときでも子どもの心に寄り添えるものとして、ふだんからお菓子を多めに置いているそうです。
「非常食なんて備えてない…」ではなく「とりあえずうちにはおやつがある!」と発想の転換をしてしまいましょう!
▼西山さんのお話は、こちらの記事で詳しく伺っています♪
もしもの時、子どもに会えない…西山茉希さんと考える、ワーママのリアル防災
今回のスペシャルインタビューは、モデルであり2児のママである西山茉希さんにお話を伺いました! デビュー直後、新潟県中越地震で被災した経験をもつ西山さん。 不便な生活の中には、現在の子育てや防災にもつな ...
続きを見る
ママチャリ最強説!
次は移動手段について。
東日本大震災のとき、スタッフが目にして驚いた光景があります。それは、自転車を求めて列を成す帰宅困難者たちの姿でした。
たしかに、自転車の機動性は侮れません。
渋滞で動けずにいる車より早く目的地にたどり着くこともあり得ますし、ガソリン不足などの影響を受けないという強みもあります。
東日本大震災と自転車
実際、東日本大震災のとき、
- 津波から避難する際、自転車を利用することで、徒歩よりも迅速に遠方へ避難することが可能だった
- 多くの交通機関が被災する中、被災後の生活で自転車が移動手段として大いに活躍した
などの自転車の活用例が見られたそうです。(※5)
特に都市部では、利用交通手段を自転車に切り替えることで、生活への影響を最小限にした様子が伺えた、という調査結果が出ています。(※6)
災害時の自転車の活用には国も積極的
こういった結果を受けて、国も、災害時のメリットも視野に入れた上で自転車の活用を推進しています。
第一条 この法律は、極めて身近な交通手段である自転車の活用による環境への負荷の低減、災害時における交通の機能の維持、国民の健康の増進等を図ることが重要な課題であることに鑑み、自転車の活用の推進に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、(中略)自転車の活用を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
想定されているのは、私たちの生活における自転車の活用だけではありません。
国土交通省では、災害時の道路の点検に、車で移動→積んでいた小型の自転車でパトロールするという、自転車の機動性を活かした配備をしているそうです。(※7)
電動アシスト自転車は充電のタイミングに注意
普通の自転車ではなく、ママ御用達の電動アシスト自転車であれば、より遠くまで行くことができ、よい重いものを運ぶこともできます。
チャイルドシートが付いていれば、普通のかごより多くの荷物を載せられますよね。
そんな便利な電動アシスト自転車ですが、「いつもしも」が2020年11月に行ったママ向けのアンケートで、バッテリーの充電のタイミイングを伺った結果がこちらです。
乗るたびに充電する方が12.5%、残りの方は50%以下まで充電しないという結果に。
バッテリー残量が10%以下になるまで充電しない方も3割以上いらっしゃいました。
非常時に備えて、車のガソリンを満タンにしておくことはよく知られていますね。(※8)
バッテリーがなくなってからも、自転車ならば人力で動かすことができますが、日常的にお使いのママたちはバッテリー残量が50%を下回ったくらいで充電しておくと、もしものときにも使えて安心ですよ。
point
電動アシスト自転車のバッテリーは、継ぎ足し充電が可能です。
使い切ってから充電した方が良い電池もありますが、電動アシスト自転車で多く使われているリチウムイオン電池については、こまめに充電しても問題ありません。
自転車用のバッテリーでスマホを充電する方法も
ちなみに、電動アシスト自転車のバッテリーからスマホを充電するためのアイテムもあります。
こちらは、Panasonicの公式アイテム。
ノマリ私物の自転車はPanasonic製なのですが、バッテリーを見てみると、容量は「12Ah」とあります。
12Ah=12,000mAh?少なくない?と思ってしまいますが、スマホ充電用のバッテリーとは電圧に大きな差があります。
電動アシスト自転車用バッテリーの電圧は25.2V、一般的なモバイルバッテリーの電圧は3.6〜7Vです。
電動アシスト自転車用バッテリーをWh(ワットアワー)に換算すると、
12Ah × 25.2V = 302.4Wh
これを3.6Vで逆算すると、
302.4Wh ÷ 3.6V = 84Ah = 84,000mAh
つまり、変換アイテムを使えば、自転車用のバッテリーが、84,000mAhというポータブル電源並みの大容量モバイルバッテリーに生まれ変わります。
また、こちらのように、Panasonic以外の電動アシスト自転車のバッテリーが使えるアイテムも。
【参考】サイバシ
Panasonic専用と比べて割高ではありますが、それでもポータブル電源よりは安価に手に入れることができます。
ご家庭にまだ大容量のバッテリーがない、という方は検討してみても良さそうです。
memo
帰宅難民対策として、職場近くのシェアサイクルを抑えておくのもおすすめです!
【参考】バイクシェアサービス|ドコモ
災害グッズ「なくて困った」1位は充電器!いま入手すべき災害用充電グッズを考える
現代人にとってスマホは「命」とも言えますが、災害時にはスマホの重要性はさらに高くなります。 実際に被災した方の「あってよかった」「なくて困った」と感じたグッズの1位はスマホ充電器だそうです。 いま買う ...
続きを見る
自転車用ヘルメットだっていい
自転車といえば、2023年4月から、全年齢でのヘルメットの着用が努力義務となりました。
(自転車の運転者等の遵守事項)
第六十三条の十一 自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。
2 自転車の運転者は、他人を当該自転車に乗車させるときは、当該他人に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。
3 児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児が自転車を運転するときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。
いつもしもでは、1次の備えの「身に着けるもの」としてヘルメットの用意をおすすめしています。
防災用ヘルメットというとなかなかハードルが高いですが、お子さん用の自転車ヘルメットはある、というお宅は多いのでは?
こちらも、ぜひ防災に活用しましょう。
防災用ヘルメットじゃなくても良いの?
防災用と自転車用のヘルメットには、衝撃の方向や性能の試験内容に違いがあります。
check!
防災用は、落ちてきたり飛んできたりした物からの衝撃を想定しているため、特に上からの衝撃に強く作られているのが特長。
一方、自転車用は、転倒時の衝撃を想定しているため、頭部全体を守る作りになっています。
降ってくるガレキから頭を守るなら、たしかに真上からの力に強い防災用が最強!…に思えます。
しかし、塀が崩れたり建物の中に閉じ込められたりしたら、真上以外からの力が加わることも十分に考えられますよね。
よって、「いつもしも」では、手に入れやすいヘルメットや、家にあるヘルメットで代用してもOK!と考えています。
やっぱり防災用ヘルメットが欲しい!選ぶときの注意点
とはいえ、やはり防災用を備えておきたい、と考える方もきっといらっしゃいますよね。
ただ、「防災用ヘルメット」とひと口に言っても、明確な定義があるわけではありません。(※2023年9月現在)
- 厚生労働省が定める保護帽の規格を満たしている
- 衝撃吸収用のハンモックがついている
- ライナーが付いている
など、多くのヘルメットに共通する仕様はあるものの、「防災用ヘルメット」を名乗るための安全基準などはないんです。
詳しい選び方はこちら
いつもの帽子でも!頭部保護 兼 ベタ髪隠し
自転車用のヘルメットもない場合は、普段使っている帽子をかぶって避難するのもひとつの方法です。
もちろん、ヘルメットほどの防御力はありませんが、むき出しの頭部より布1枚でもあった方が良いはず。
また、帽子があると、避難が長期化して髪が洗えないときなどに、気になる髪のベタつきを隠せるというメリットもあります。
ヘルメットがない=防災にならない、ではなく、少しでも代わりになるものを備えておく、という考え方が大切です。
もしもの時もママの味方!大型ショッピングモール・商業施設
グッズではありませんが、いつものお出かけも、実は防災につながっています。
小さな子どもを連れて出かけやすい場所と言えば、大型のショッピングモールですよね。
そんな乳幼児ママの強い味方である大型ショッピングモールですが、実は国や自治体と防災協定を結んでいるところも多く、いざというときも頼りになるんです。
「行き慣れた場所」だから行きやすいですし、避難の必要がなかったらいつも通り買い物して帰ればいいと思うと、避難のハードルはとても低くなるでしょう。
イオンモール
たとえば、イオンモール。
東日本大震災のとき、宮城県石巻市では、多くの住民がイオンに避難したことが知られています。その数、およそ2,300人!
マニュアルの想定を超えた事態を、現場の方の柔軟かつ勇気ある決断で乗り切ったそうです。(※9)
防災拠点として
東日本大震災を機に、イオン全体で災害対策が見直され、災害に一時避難場所となったり食品を提供したりといった防災拠点としての役割を持つ店舗が増えています。
特に、福島県いわき市小名浜に2018年にオープンした「イオンモールいわき小名浜」は、イオン初の「防災モール」として開発された店舗。
東日本大震災で浸水した経験を活かし、
- 1階は駐車場のみ
- 受水槽や変電設備を2〜3階以上に設置
- 閉店後も屋上への避難経路を確保
などの対応が取られているそうです。(※10)
イオンの事業持続計画(BCP)
また、全国にある、国土交通省の地方整備局との「災害対応に関する協定」締結も進んでいます。
もしものときも、いつもと変わらず社会インフラとして機能することが期待されます。
指定公共機関として
そのほか、イオンは国から災害対策基本法に基づく「指定公共機関」にも指定されています。
指定公共機関は、物資の緊急輸送用トラックを事前に緊急通行車両として登録し、いざ災害が起こった時に被災地への物流をスムーズに行うことなどができます。
指定公共機関は令和5年6月時点で106機関(※11)。イオンを含めた以下の7社は、2017年7月1日に同機関に指定されました。
- イオン株式会社
- ユニー株式会社
- 株式会社セブン‐イレブン・ジャパン
- 株式会社ローソン
- 株式会社ファミリーマート
- 株式会社セブン&アイ・ホールディングス
他には、交通・通信会社、電力・ガス等のライフライン関連の会社が名を連ねています。
ららぽーと・三井アウトレットパーク
三井ショッピングパークららぽーとや三井アウトレットパークを運営する三井不動産もまた、同施設のある自治体の一部と防災協定を締結しています。
特に津波の心配のある地域は、こういった商業施設に併設された高層の立体駐車場に避難できたら安心ですよね。
例えば、以下の自治体・モールが防災協定を締結しているそうです。
自治体 | 対象施設 | 内容 |
---|---|---|
大阪府堺市 | 三井ショッピングパーク ららぽーと堺 | ・立体駐車場の災害時における避難施設としての利用 ・本市や自主防災組織等が実施する防災訓練などの啓発事業への協力 |
大阪府和泉市 | 三井ショッピングパーク ららぽーと和泉 | ・地下水膜ろ過システムを使った余裕水の供給 ・平面駐車場を一時避難所及び物資の一時保管場所としての提供 |
大阪府門真市 | 三井ショッピングパーク ららぽーと門真 /三井アウトレットパーク 大阪門真 | ・利用可能なスペースを一時避難場所として提供 |
埼玉県富士見市 | 三井ショッピングパーク ららぽーと富士見 | ・一時集積所及び一時避難場所として提供 ・公用車両の一時避難場所として提供 |
静岡県沼津市 | 三井ショッピングパーク ららぽーと沼津 | ・駐車場の一部を支援物資の一時集積場所等として提供 |
協定内容は施設や自治体によって少しずつ異なるようなので、詳細は各自治体の資料を確認してみてください。
思い出の写真を守る
地震や火災・津波などで家屋が被害を受けると、写真もまた損なわれたり失われたりする可能性があります。
家族の思い出や可愛い我が子の成長記録がなくなってしまったら、とても残念ですよね。
しかし、いまのママたちは、家族や親族あるいは友人たちと気軽に子どもの写真を送り合うことも多いでしょう。
また、子どもが幼いうちは、写真つきの年賀状を送り合うこともありますよね。
実は、これらもまた備えになるんです。
積極的な共有はバックアップになる
データのバックアップには、
- スマホやパソコン、外付けHDDなどの内部(ローカル)に保存
- 写真共有アプリなどのクラウドサービスに保存
- 電子媒体に出力して保存
- 紙媒体に出力して保存
などの方法が考えられます。
ただ、クラウドサービス以外は、家屋と同様の被害を受ける可能性が高いです。
そんな時、物理的に離れた場所、たとえば遠方の身内や友人に送ったデータは、結果的に預けた形になり、落ち着いた頃に共有してもらえる可能性があります。
でも、一緒に遊んだ時などに撮りためていた写真を探したらそこそこの枚数になり、とても感謝された、という経験があります。
事前に、相手に負担を掛けない程度に、保管を頼んでおくのも良いですね!
notice
LINEのトーク画面で送受信した画像には閲覧期限があるので注意が必要です。
また、フリーメールの場合も、数年単位で使用していないアカウントは整理される可能性がありますので、必要な情報はダウンロードしておきましょう。
家族の予定管理、どうしてる?もしもの時も慌てない情報共有の仕方
「防災」と言うと、グッズや食料を備えることばかりに意識が向きがちですよね。 でも、実は家族で共通の認識を持つことも同じくらい大切なんです。 いざという時に、 この日この時間に家族は何をしているか こん ...
続きを見る
クラウドサービスは安全か?ダウンロードや紙出力との併用がおすすめ
では、離れたところに保存されているクラウドサービスに任せれば安心かというと、そうではありません。
大手のクラウドサービスといえど、絶対に安全とは言い難いでしょう。
もちろん、バックアップ手段の1つとしておすすめしますが、相手もビジネスなので、いつ破綻したりサービス終了したりするかわかりません。
逆に、自分自身は無傷なのに、データを預けているセンターだけが被災する可能性もあります。
となると、やはりオフラインで見られる環境にも残しておくと、より安心です。
プリントアウトやフォトブックの形で残す
2023年現在、スマホから簡単に注文でき、さらに毎月規定の枚数まで無料でプリントアウトできるようなサービスがたくさんあります。
たとえば…
こういったサービスを、備えとして有効活用するのもおすすめです。
memo
我が家は、子どもが生まれてからずっと、TOLOTというアプリで簡易アルバム(文庫本サイズで¥500/¥600)を作成しています。毎年3冊ずつ注文し、両実家にも送っているのですが、
- 祖父母 →デジタルはちょっと苦手…気軽に手に取れる紙のアルバムは楽しみ!
- ママパパ →もし家に何かあっても子どもたちの成長記録は最低限残るので安心!
- 子ども →文庫本と一緒に本棚に並んでるから、時々眺めてニヤニヤ…
年賀状も期待できる
より手軽なバックアップとして、年賀状に家族写真を使うという方法もあります。
受け取った年賀状をどうするかは家庭によって異なると思いますが、少なくとも次に年賀状を出すときまではとっておく方が多いのではないでしょうか。
こちらは、少し前の2017年のデータになりますが、「年賀状を出す」と回答した15歳以上の男女399人に、さらに「いただいた年賀状の保管期間」について伺った結果になります。
年賀状のやり取り自体が減ってきている2023年現在では、また違った結果になってくるかと思いますが、2017年時点でも9割超の方が1年以上保管していることになります。
年賀状をやり取りしてる間柄であれば、もしものとき、事情を話せば返していただけるのではないでしょうか。
ごく一部だとしても、家族写真が1枚でも残ったら嬉しいですよね。
check!
実は、家族の写真入りの年賀状は、「いつもしも」が防災グッズとしておすすめしているものでもあります。
災害時、はぐれた家族を探すために1枚家族写真があると良いそうなので、あまりハガキや書き損じもぜひ活用してみてください。
東日本大震災後に行われた「写真洗浄」
写真をオフラインで保存するとき、少し気にしていただきたいのが、プリントの種類です。
津波による被害が大きかった東日本大震災では、多くの写真が流失したり泥まみれになったりしました。
津波警報が解除されはじめた頃の、テレビ報道の映像に、私たちの多くは驚きを隠せませんでした。瓦礫と化してしまったかつての我が家に戻る被災者の皆さんが、真っ先に探したもの。それが写真だったからです。
そして震災後、さまざまな写真の洗浄活動が行われています。(※12)
水害時は特に傷みやすい写真ですが、そんな中、いちばん残りやすいのは写真店でプリントしたものだそうです。
memo
特に大切だったりお気に入りだったりする写真を、写真店で現像することも備えのひとつになりますね!
アルバムは「家の中の高いところ」に保管
おすすめの写真のプリントアウト方法などを解説しましたが、まず大前提として、水没させないことが一番です。
水害のリスクが高い地域の方は、水や食料などの備蓄や貴重品をできるだけ上の階や棚の上などの高い場所に置く、などの対策を取るようにしましょう。
防災グッズはどこに置く?収納のコツを防災備蓄収納2級プランナーが解説
防災グッズは、何を備えるかも大事ですが、どこに置くかも重要なポイントです。 いざというときにさっと持ち出せること、災害によって使えなくならないこと、地震が来ても安全なこと…など、考えるべきことはたくさ ...
続きを見る
ご近所ママ友ネットワークも「共助」のひとつ
最後にご紹介しておきたいのは、近所のママ友ネットワークです。
ママ友を無理に作る必要はないと思いますが、もし、気軽に連絡をとったり相談したりできるママ友が近くにいるなら、非常時もきっと頼りになります。
何かとネガティブに捉えられがちなクラスLINEも、非常時には味方になるかも。
防災は、
- 自助:一人ひとりが自ら取り組むこと
- 共助:地域や身近にいる人どうしが一緒に取り組むこと
- 公助:国や地方公共団体などが取り組むこと
の3本柱。近所のママ友ネットワークは「共助」に当たります。
いわゆるモノや情報などの備えだけでなく、無理のない範囲で、地域の方との良好な関係を構築することも、意識してみましょう。
非常時にこそ問われる「ネットリテラシー」を子どもと身につけよう
2020年、新型コロナウイルスの流行で、家庭とインターネットとの関わり方は大きく変化しました。 テレワークの急速な普及によって、慌てて自宅のネット環境を整えたパパやママも多いことでしょう。 また、学校 ...
続きを見る
まとめ
防災なんて全然やってない…と思っていても、実はママができちゃっている防災についてご紹介しました。
防災なんて無理!と諦めている方の中には、無意識のうちに「防災とはこうあるべき」という、ぼんやりとした、でも高い理想を持ってしまっている方が多いのではないでしょうか。
しかし、常に100を目指すと防災はしんどくなってしまいます。
しっかり備えられないからダメと諦めず、「あった方がマシ」「やらないよりはマシ」「とりあえずここまではOK」を積み重ねていくのも、防災を続けていくコツなんですよ。
子育てをしていく中で自然と培われた防災スキルを、まずは自覚して、もしものときにも役立ててみてくださいね!
参考サイト
※1 台風で停電、一部のATMが停止 コンビニや大手銀行|朝日新聞デジタル
※2 令和2年度地域におけるキャッシュレス導入支援事業(災害時のキャッシュレス決済実証・調査事業)|経済産業省
※3 無印良品の、水プロジェクトを開始します|無印良品
※4 社会貢献活動|防災・災害支援|スーパービバホーム
※5 自転車の活用推進に関して実施すべき施策|国土交通省
※6 東日本大震災後の行動実態・意識からみた都市構造・都市交通の課題
※7 国道4号自転車パトロール訓練(平成29年6月9日実施)|国土交通省 関東地方整備局 北首都国道事務所
※8 「満タン&灯油プラス1缶運動」について|全石連
※9 東日本大震災 被災者に学ぶ 商業施設運営|NHK for School
※10 防災モールとしての取り組み|イオンモールいわき小名浜
※11 指定公共機関の指定(令和5年6月23日:計106機関)|内閣府防災情報のページ
※12 被災写真救済ネットワーク
※13 被害を受けた写真・アルバムに関する対処法|富士フイルム
※14 「あなたの思い出まもり隊」プロジェクト|工学院大学