年々厳しくなる暑さの中、もし停電してクーラーや扇風機が使えなくなったら…?
在宅避難でもそのしんどさは容易に想像できますが、避難所となる体育館は、さらに熱がこもりやすい環境です。
備えたら放置しがちな防災リュックですが、夏には暑さ対策グッズをプラスすることが必須となりつつあります。
さらに、小さな子がいるママは、あせもや虫さされにもしっかり対策しておきたいところ。
この記事では、被災時に活躍するひんやりグッズをはじめ、夏に備えておきたい防災グッズを紹介します。
この記事の目次
夏用の防災グッズの備え方
いくら暑さ対策が必須とはいえ、防災リュックの容量には限りがあります。
特に子どもを抱っこしたり、手をつないだりして避難するママは、リュックを軽くしておく必要があります。
-
子連れ避難に最適な防災グッズとは?リュックに詰めて背負ってみた
非常時に持ち出す防災グッズといえば「1次の備え」。 この記事では、 防災グッズ、実際どのくらいの量と重さ? 本当に非常時に持って避難できるの? 子連れで避難するためのグッズの量って? といった「1次の ...
続きを見る
コツの1つとして、季節が限定される防災グッズはポーチなどにまとめておき、気候を見て入れ替えることをおすすめします。
いつもしもでは、それぞれ「夏袋」「冬袋」と呼んでいます。
また、1次の備えと2次の備えの区別をつけておくことも、軽量化につながります。
1次の備えは被災直後の1~2日を乗り切るもの、2次の備えは、その後の長期的な避難生活を支えてくれるものです。
防災リュックの中身は、1次の備えに絞りましょう。
2次の備えは、ある程度落ち着いたあと取りに戻ったり、在宅避難で使うことを想定します。
この記事でも、段階に分けて防災グッズを紹介していきます。
熱中症対策!夏の暑さをやわらげる防災グッズ
まずは、停電時に活躍してくれる暑さ対策グッズをご紹介します。
防災リュックに最低限入れておきたいグッズリスト
- 帽子
- 着替え(+α)
- 水(+α)
- 塩飴、タブレット
- 扇子orうちわ
- 夏用マスクorインナーシート
防災リュック(夏袋)に入れておきたい、最低限のグッズを挙げてみました。
着替えも水も、通年で防災リュックの中に入れているものですが、夏場はさらにプラスで用意しておきます。
帽子や着替えは、通気性の良いものを選びましょう。
特に下着は快適さを左右しますので、夏用に作られているものがおすすめです。
小さな子どもはとにかくよく汗をかきます。
ふだん肌着を着ない子でも、着替えが限られているときは、肌着を身に着けて肌着を交換するようにしましょう。
水については、経口補水液の持ち出しがおすすめされていることもありますが、これは基本的に「熱中症になってから」飲むもの。
元気なときに飲むには塩分が多いですし、何よりおいしくないのでなかなか進んで飲めるものではないでしょう。
予防としては追加の水+塩飴のほうが摂取しやすいです。
飴がまだ不安な年齢のお子さんにはタブレットやゼリーもおすすめです。
ゼリーには、ストローが付いたパウチタイプのほか、小さな個包装のパウチタイプもたくさん出ていますのでチェックしてみてください!
夏用マスクは、新型コロナウイルス対策として追加しています。
基本の備えの中にもマスクを入れていますが、熱中症対策として夏用のものも用意しておきましょう。
非常時にマスクかぶれになってしまうと対応が難しいので、できるだけ使い慣れている製品を入れるようにしてください。

避難所ではマスクの洗濯が難しくなりますので、割高ですが複数枚用意しておく必要が出てきます。
もしくは、マスクの中に入れるインナーシートを取り替える方法もあります。
冷感のものもありますし、通常の使い捨てマスクにも使えることがメリットです。
使い捨て+冷感のマスクも増えてきていますので、それが入手できれば一番ラクですね。
notice
夏用であっても、マスクを着用していると熱中症のリスクが高まってしまいます。
ソーシャルディスタンスが保てる場所では、マスクを外すことも防災になります。(※1)
主に備蓄に入れたいグッズリスト(余裕があればリュックやポーチにも!)
- 経口補水液
- ハンディ扇風機
- 冷風機
- 冷感タオル・スカーフ
- 接触冷感の寝具
- 冷却シート
- 瞬間冷却剤
- 冷感スプレー
2次の備えとしては、以上のものがおすすめです。
持てそうであれば、防災リュックや防災ポーチ(普段から持ち歩く0次の備え)の中に入れておいても良いでしょう。
すべて必須というわけではありませんので、好みや体質、備蓄スペースなどの都合に合わせて選んでみてください。
停電が長期化すると熱中症のリスクも上がりますので、備蓄としてはやはり経口補水液もあったほうが安心です。
経口補水液もゼリータイプがありますね。
ただ、やはり美味しいものではないので、小さなお子さんがいらっしゃる場合は、アクアライトなどの赤ちゃん用イオン飲料で代用する方法もあります。
糖分を多く含みますので飲みすぎには注意が必要ですが、子どもには飲みやすいかと思います。
ローリングストックしておくと、嘔吐や下痢がひどい時にも役立ちますよ。
少し味を付けたタイプも何種類かありますので、機会があったら試してみてください!

ハンディ扇風機や冷風機は、充電式か乾電池式のものを選びましょう。
暑さ対策も考慮すると、バッテリーは余裕をもって準備しておきたいですね。
逆に、モバイルバッテリーとしてスマホを充電できる扇風機もあるようです。

顔の近くで使う場合、髪の長い子は髪を巻き込まれがちなので注意してくださいね。
首に巻ける冷感タオルは、水を使うタイプと使わないタイプの2種類があります。
水を使うタイプのほうが効果が持続しやすいですが、災害時は水が貴重になるのが難しいところ。
水を使うものの中でも、薄手のスカーフタイプを選ぶのが妥協点でしょうか。
notice
注意しておきたいのは、冷感タオルに使われている防腐剤により湿疹やかぶれが発生した事例があることです。(※2)
予防策として、初回使用の前に水やぬるま湯で薬剤を落としておくことが推奨されています。
購入したら、しまいこむ前によく洗っておきましょう。
寝具も接触冷感の生地にすると快適です。
在宅避難はもちろんですが、避難所でもタオルケットや枕カバーが活躍しそうですね。
冷えピタなどの冷却シートは、体の熱を下げるというよりは、苦痛をやわらげることが主な役割。
快適にはなりますが、過度な期待は禁物です。

しっかり冷やしたいなら、瞬間冷却材(叩いたり握ったりすると冷えるもの)を備えておいてもいいでしょう。
冷却効果を上げるためには、おでこよりも、脇の下や足の付け根を冷やすようにしましょう。
商品によって使用期限や持続時間がまちまちなので、よく確認してからの購入をおすすめします。
冷感スプレーは、布にかけるもの、体に直接かけられるもの、濡れタオルを凍らせるものなどバリエーションがあります。
防災用としては、防臭効果のあるものがおすすめです。
ただし、実際に体が冷やされるわけではない商品が多いことに注意してください。
notice
アルコールやメントールなどの成分を使った製品がスースーして感じられるのは、体が冷えたと錯覚するためです。
汗が止まり、逆に熱中症リスクが高まってしまうという指摘もあります。(※3)
とはいえ、ただでさえストレスが溜まる状況で、じっとガマンするのも考えもの。
あくまで冷『感』であるということを心に留めつつ、上手に使いましょう。
ハッカ油も冷感があり、虫除けにもなると話題になりましたが、実は刺激の強い成分でもあります。
特に妊婦さんや乳幼児は、原液が肌に触れないようにしましょう。
災害時は水が貴重ですので、防災用には最初から希釈されているスプレータイプがおすすめです。
また、人が集まる場所で使用すると香害となってしまう可能性がありますので、場所や量には十分注意しましょう。
その他の涼しくする・熱中症対策になる工夫
特別に防災グッズとして備えるわけではありませんが、停電時の暑さ対策にも使えるグッズや習慣もご紹介します。
- 窓の断熱フィルム
- すだれ(よしず)
- 保冷剤のストック
- バランスの良い非常食
- 日傘
- 充分な休息
- 車中避難の備え
窓に断熱フィルムを貼っておくと、暑さ対策だけではなく、地震時の飛散防止にもなります。
さらに、窓の外にすだれ(よしず)をかけておけば、室内に熱が伝わるのを防いでくれます。
見た目も涼しげですよね。
ケーキなどについてくる保冷剤をとっておくのも、小さなことですが立派な防災です。
冷凍庫内でお互いを冷やしあうので、食材が溶けるスピードをゆるめてくれます。

外では日傘を使用するだけでも、体感温度がだいぶ下がります。
UVカットだけではなく、断熱効果があったり、扇風機がついていたりなど、暑さ対策も考慮されたものを選びたいですね。
また、熱中症を防ぐためには、毎日の食事も軽視できません。
新鮮な食材を入手するのは難しくても、栄養バランスを考慮した非常食を備えておけば、基礎体力を維持する手助けになるでしょう。
食欲が落ちているときのために、常温でさっぱり食べられるものをローリングストックしておくのもおすすめ。
-
その備蓄で栄養バランスは大丈夫?栄養素から考える非常食
近年台風や地震の発生率が増加しているため、非常食は 「もしものために用意するけど、使わないもの」という認識から、 「すぐに使えて、健康管理のために役立つもの」という認識へと変化しています。 いま備える ...
続きを見る
長時間の活動を避け、こまめな休息や十分な睡眠をとることも大切です。
寝不足は熱中症のリスクを高めてしまいます。
自分やお子さんの体調に注意して、無理をしないようにしましょう。
どうしても室内の暑さが厳しい場合、車中避難するという選択肢もあります。
エアコンを使用するとガソリンを消費しますので、普段から早めに給油するよう心がけましょう。
汗や虫、日焼けにも要注意!夏にプラスしたい防災グッズ
暑さ以外にも、夏の被災生活にはさまざまなリスクがあります。
少しでも快適に過ごせるよう、汗対策や虫対策グッズも備えておきましょう。
虫よけや日焼け止めなどの消耗品は、普段から使っているものがほとんどでしょう。
有事の際に切らさないよう、使い慣れたものをローリングストックするのがおすすめです。
ストックの予備分を防災リュック(夏袋)や備蓄の中に保管するようにしてもいいですね。
汗やにおいを抑える衛生グッズ
暑い中、そのうえお風呂に入れない状態だと、汗や皮脂、においなどの衛生面も気になりますよね。
ストレスや感染症を防ぐため、衛生グッズの用意もマストです。
通年で防災リュックに入れておくグッズについては、以下の記事をご覧ください。
-
ママが防災グッズにプラスするべき衛生用品まとめ
市販の非常持ち出し袋を買えば安心、と思われるかもしれませんが、実は女性目線、あるいはママ目線で見ると、市販のものだけでは安心できないのが現状です。 実際に被災した方の体験談を見ながら、ママさんが本当に ...
続きを見る
ここでは、特に夏にプラスしたい衛生グッズをピックアップしてご紹介します。
- タオル・ハンカチ(+α)
- 汗拭きシート
- 消臭袋
- 折りたたみコップ
こまめに汗を拭くことは、熱中症はもちろん、においやあせも、虫刺され対策にもなります。
清潔なタオルやハンカチを複数枚用意しておきましょう。
圧縮されているものを用意しておけば、防災リュックに入れてもかさばりません。
お子さんと一緒に使える、アルコールやパウダーを含まないタイプの汗拭きシートもあると良いでしょう。
名前で抵抗があるかもしれませんが、おしりふきもおすすめしています。
赤ちゃんのデリケートな肌に、日に何度も使っても大丈夫なものですから、安心です。
汗拭きシートには、冷感効果のあるものもありますよね。
上記の冷感スプレーと同様、実際に体が冷えているわけではないということに留意しつつ、上手に活用しましょう。
シーブリーズなどのデオドラントウォーターもスッキリしますが、こぼれやすいので持ち出しにはあまり向きません。
消臭袋は、脱いだ服やゴミを入れておくのに使います。
赤ちゃんがいるお家なら、おむつ用の袋を多めに備えておくだけでもOKです。
臭いだけではなく、食中毒にも注意が必要です。
ペットボトルに直接口をつけないようにするため、コップも忘れず入れておきましょう。
使い捨て食器やラップも、通年の備えとしておすすめしています。
虫さされも夏の大敵!虫よけはジェルタイプがおすすめ
- 虫よけ(ジェル・ローションなど)
- かゆみ止めの薬
- 足の裏を拭く
いくら非常事態とはいえ、虫刺されのかゆみはつらいもの。
掻きむしりによるとびひを防ぐためにも、虫よけとかゆみ止めは夏袋や防災ポーチに入れておきましょう。
虫よけは、スプレーやシール、リングなどさまざまなタイプが販売されていますが、肌に塗布するタイプがおすすめです。
避難所に持ち出すのであれば、周りに飛び散らないジェルやローションのタイプが良いでしょう。
有効成分は「ディート」と「イカリジン」が代表的ですが、乳幼児には肌に優しい「イカリジン」がおすすめ。(※4)
さらに、アルコールや香料が含まれていないものが安心ですね。
check!
2020年8月現在、シールタイプやリングタイプの虫除けは、ほとんどの製品が蚊に対応していません。
虫が嫌うにおいを発するため、絶対に効かないというわけではないようですが、確実性を求めるなら有効成分を使った製品の方が良いでしょう。
ちなみに、「ユスリカ」は蚊によく似ていますが、人を刺さない別の虫です。
「パッケージに蚊のイラストがあるからOK」と思っても、それはユスリカのイラストかも。
グッズではありませんが、足の裏を拭くという方法も一時期話題になりましたよね。
蚊に刺されやすい人は、足の裏の常在菌の種類が多いのだそう。(※5)
夏の備えがすぐに整えられなくても、防災リュックに通常入っているからだふきシート(できれば除菌効果があるもの)や除菌ジェルだけでも、虫刺され予防ができます。
火を使う蚊取り線香は、余震で火災につながる可能性があります。大地震直後の使用は避けましょう。

日焼け・UV対策も忘れずに
- 日焼け止め
- 帽子
- サングラス
- 日傘
日焼け対策も意外と忘れがちです。
ですが、停電や断水といった状況では肌を冷やすのが難しいので、事前の予防が大切になってきます。
point
虫除けと日焼け止め兼用のグッズを選ぶと省スペースになります。
両方使う場合は、日焼け止めを先に塗るようにしましょう。
まとめ:最新の防災グッズで夏に備えよう
暑さ対策グッズを中心に、夏に向けて備えたい防災グッズについて紹介しました。
備えっぱなしではなく、季節に合わせて防災も衣替えしましょう!
今回紹介した夏用防災グッズの全リストはこちらです。
買い物メモなどにお役立てください。
すべてを揃えなければいけないわけではありませんので、備えたいシチュエーションや家族の体質、好みに合わせて選んでみてください。
今回はグッズを中心にご紹介しましたが、夏休みを利用して、親子でおうちキャンプや防災クッキングにチャレンジしてみても楽しいかもしれませんね。
また、台風シーズンの備えとして、家の周囲や雨具の確認もしておくことをおすすめします。
台風対策について知りたい方は、こちらの記事もぜひ合わせてご覧ください。