防災は、いくらやってもキリがないもの。
ただそれ以前に、基本をこなすのもけっこう難しかったりしますよね。
ローリングストックなら簡単、といわれていますが…。
いざ本格的に始めようと思うと、さまざまな問題が発生しませんか?
などなど、普段の生活に取り入れるのは至難の業。
日々防災について考えている「いつもしも」のスタッフ達も、実践の部分では頭を悩ませることが多いんです。
そこで今回は、先日防災備蓄収納2級プランナーの資格を取得した編集みよしと、ママ達の備蓄に関するリアルな不安や不満を話し合う座談会を開いてみました。
忙しいママが考えた「いつもしも」流ローリングストック管理術とは?
※本記事では、実際に子持ち家庭でやってみた感想や工夫などをトークしていきます!
ローリングストックの基本から知りたい方は、以下の記事を先にご覧ください。
▼ほかの防災座談会シリーズはこちら
ママの「日常で備える」は大変!防災をラクにする座談会まとめ
子どもを守るため、防災を頑張りたい!でも、毎日の家事育児でそれどころじゃない…。 もどかしいけれど、あるあるですよね。 この防災サイト「いつもしも」のスタッフ達も、最初はできていないことだらけでした。 ...
続きを見る
この記事の目次
在庫管理って、ローリングストックじゃなくても難しい…
「多めに買って、減ったらすぐ足す」って一見気軽にできそうなんだけど、実際やってみるとけっこう大変!
ただでさえ乾物とかって賞味期限切らしがちなのに、数が増えると余計わかんなくなる…。
防災備蓄収納2級プランナーのおすすめの管理方法って何ですか?
在庫管理の理想は、管理表を作って毎回チェックすること
よくあるのは、消耗品のストック管理表を作って更新していくことですね。
品名と最低個数を書いて、賞味期限の部分はふせんとかにして。
わっ、こんなに細かく作るの?
もうイヤになってきたんだけど…
これはあくまでフルバージョンなので、各家庭でカスタマイズするのが前提です。
そうだよね。
だってムリだもん(笑)
特にカップ麺っていろいろなところの備蓄リストに書いてあるけど、味も濃いし、普段から食べさせるのはちょっと…って思う。
それなら乾麺を多くした方が賞味期限も長いし、よさそう。
カップ麺はあくまで大人か、ある程度の年齢になった子向けだよね。
うちもメインは乾麺。
そうめんとかは柔らかくすれば小さな子どもでも食べやすいし、便利だよね。
リストを使うにしても、結局はある程度自分で考えなきゃいけないんだよね…。
各家庭に合った備蓄プランを!
カップ麺は特にわかりやすい例ですが、家族構成や好みによって、ストックするべきものは違いますよね。
万人向けのリストをそのまま揃えるよりも、自分たちに必要なものを考えてみましょう!
好きなものや便利なものなら頻繁に消費できるので、賞味期限をあまり気にせず選べますよ。
特におすすめなのは、
- よく食べているもので、調理が不要or簡単なもの
- 好きな味の調味料、トッピング(応用が効くもの)
です。
ストック向きの食材についてはこちらの記事で詳しくご紹介していますので、チェックしてみてくださいね。
非常食になるものまとめ!いつも食べているもので備蓄をしよう
非常時に食べたいものや、あって良かったと思うものは、普段食べなれているものやおやつなど「ほっとする味」だと言われています。 いつも食べているものの中から賞味期限が長い食品を多めに買っておけば、普段の買 ...
続きを見る
いつも行っているスーパーでも、買い物ついでに揃えることができます。
スーパーで揃える非常食紹介!簡単便利にローリングストックしよう
地震や台風、新型コロナウィルスなどの感染症…近年は思いがけない非常事態に見舞われる機会が増えてきました。 そんな時はどうしても冷静な判断ができず、買いだめする人が増えてしまいます。 そうならない為にも ...
続きを見る
でも現実、大変すぎない…?
モノは多少絞れたとしても、在庫管理って防災抜きでも大変だよね。
多めに買う前からしょっちゅう賞味期限切らしてる。
あと調味料の買い足しも忘れがち…。
毎日の家事に加えて防災とか備蓄管理とか、やることが多くて…。
家事の何が面倒って、イレギュラーも含めてあれこれ考えながら同時進行しなきゃいけないところだよね。
一気に集中して片付けられることってあんまりない。
買い物から帰ってきて、賞味期限書いてる間に子どもが何かやらかしたりとか(笑)
うーん、続く気がしない…
賞味期限管理はざっくりでOK!
毎回ちまちまと賞味期限を書くのが面倒なら、パッケージに直接マジックで書いておくのもありです。
自然と目に入るようにしておけば、他の食材を出すついでにチラリと意識できるはず。
どちらにせよ、書いている途中で事件が起きてしまったらどうしようもないですが…(笑)
他にも、
- 品名を書いたマグネットを作って冷蔵庫などに貼り、場所を移動することでメモ
- 冷蔵庫やストック内を賞味期限ごとになんとなくまとめて置く
- 毎月決まった日にまとめてチェックし、期限が近いものは取り分けておく
- 逆にかわいいラベルを用意してモチベーションUP
などの方法があります。
check!
ただ、最初のやる気を引き出してくれたものの、毎回切るのが面倒になって直書き派に。書きにくい缶製品にだけ使ってます…。メモのクセはつきましたよ!
家事の負担も減らす!ローリングストック応用術
そう、リストを考え、作り、貼り、せっせと買っては書き、減っては書き…なんてやってられないんです!
意識の低いスタッフですみません…ですが、同じ悩みを持つママはたくさんいると思うのです…!
とはいえ、放棄するわけにはいきません。
なんとか毎日の生活にローリングストックを組み込む方法を探ってみました!
①家族を巻き込める仕組みを作る
こっちの理想としては、やることを増やすんじゃなくて減らしたいんだよね。
小さい子がいると買い物自体大変だし、夫ともどっちが買うの?ってケンカになる。
あと、ママ一人でがんばっても、旦那さんや子どもが勝手に食べちゃってそのまま…とかもありそう。
あ、まさに!
今日のためにうちの備蓄を見直してみたんだけど、出してみて初めて夫に食べられてたことに気づいた…(笑)
うち、実際ケンカしたことある(笑)
それからは、食べ物以外も含めて消耗品の在庫管理は物ごとに分担するようになったよ。
基本的に数やメーカーにこだわりのある方が担当してる。
【追記】おかげで後日、新型コロナの買い占め騒動の影響を受けずに済みました。
コロナで長期休校…ママ達はどうしてる?備蓄とおうち時間対策まとめ
新型コロナウイルスの流行により、私たちの暮らしは大きく変わりました。 感染症自体はもちろんですが、休園・休校に自粛、買い占め騒動…不安やストレスは尽きません。 普段から自然災害には備えていたいつもしも ...
続きを見る
そうそう、たとえばママと子どもはカップ麺を食べなくても、旦那さんが好きなら自分で管理してほしいよね。
うちはお酒系を夫が担当してるよ。
あ、うちもー!飲み物系は重いから、車によく乗る方が担当とかもアリだね。
旦那さんも巻き込むためには、好きなものとか得意な分野を任せると上手くいきそう。
そうだね。うちだったら家の防犯系とか、車のグッズが好きで。
窓周りの対策とか、車に載せる分の備蓄ならお願いできそう!
レトルト系や甘いものは、子どもに管理させると喜ぶかも。
それも各家庭でやり方が違うよね。
うちは防犯にも車にもあんまり興味ないかも(笑)
でも料理してくれるんだよね、旦那さん。うらやましい…
そうだね、それは助かる。週末は夫が作ってくれるから、食材の管理はある程度共有できるかな。
労力は分散しよう
ママの労力も減りますし、家族にも防災意識をもってもらうきっかけになります。
もしママが一括で管理するなら、ストックから食べたらメモを残してもらうなどのルールづくりが必要になりますね。
どちらにせよ家族の協力は大切です。
後日談:収納を見直したらストレス削減!
後日、グダグダだったローリングストックの収納を見直してみた我が家。
品名や賞味期限を見える化したことで、家族に「あれはどこ?」「どれなら食べていいの?」と聞かれなくなりました。
上の子は賞味期限が近いものを見つけると教えてくれます(笑)
ローリングストックは続かない!? 我が家の収納・管理実践例
新しい備えの形として広まってきたローリングストック。 常に一定の量を保ち、賞味期限が切れないように続けることは意外と難しいと聞きます。 張り切って挑戦した我が家(記事はこちら)も、始めて数ヶ月でグダグ ...
続きを見る
②自分なりの便利ツールがあればそれで充分
食べ物だったら、生協で注文したものはアプリでも管理できるからラク。
いつ注文したもので、賞味期限がいつまでかも教えてくれるの。
しかも入力も自動でしてくれて。
こういうのを家族で共有できたらいいんだけどねー。
まめパル-生協パルシステムの食材管理アプリ-
Palsystem Consumers' Co-operative Union無料posted withアプリーチ
それいい。手入力じゃ結局面倒で続かないよね。
ラベルとかも、貼るなら食べちゃえ!って思う。
ちょっとしたことでも、ずっと続けるのって大変だよね。
私はリスト作って満足しちゃう(笑)
わかる~!!!
そういうの、自動化できるとラクですよね。
私は水をいつもアマゾンで買ってローリングしてるんですけど、いっそ定期便にしちゃって、勝手に届くようにしてもいいかなって思ってます。
そうそう、うちはウォーターサーバーを使ってるんだけど、やっぱり定期的に届けてもらえるとラク。
東日本大震災で水不足になったときも助かったよ。
東日本大震災の経験を振り返る『私たちの3.11の教訓』 座談会
忘れられないあの日。 「いつもしも」の編集メンバーが当時いた場所は、東京・栃木・海外と、直接大きな被害に遭った人はいませんでした。 それでも今現在まで、それぞれの心に深く残り続けているできごとです。 ...
続きを見る
アプリは積極的に活用!
賞味期限管理用の無料アプリはたくさんありますし、自分がわかればメモ帳やカレンダーのアプリでも充分ですよ。
自動的に届くサービスを利用するのもラクですね。
水以外にも、最近はローリングストック用に考案された食料のサブスクリプションや定期便もあります。
「このようにしなければいけない」ということはないので、ラクなやり方を組み合わせてみましょう。
③罪悪感なしの「レトルトデー」を作ってみる
続けられてることといえば、私は週に一度「料理しない日」を作ってるよ。
その日の夕飯は外食やお惣菜OK、家で食べるならレトルトメインにしちゃうんだけど、手を抜くかわりに、ハムとかチーズを好きな型で抜いてトッピングしたりして。
特にキッズカレーは人気だから、それだけはちゃんとローリングストックできてる。
それいい!
「防災」と「ラクなこと」が結びつくと続けやすいよね。
子どもの好物とか可愛いトッピングとかだったら、大人の罪悪感も減るし。
でも、その日もお米は炊くから、非常用のパックご飯がなかなか消費できないんだよね。
月末は完全レトルトデーにして、パックご飯とカレーを食べるとか?
レトルトの日を定期的にやって、栄養面のバランスも考えたレトルトメニューを各家庭で確立できるといいかも。
ちょっと手間は増えるけど…。
その備蓄で栄養バランスは大丈夫?栄養素から考える非常食
近年台風や地震の発生率が増加しているため、非常食は 「もしものために用意するけど、使わないもの」という認識から、 「すぐに使えて、健康管理のために役立つもの」という認識へと変化しています。 いま備える ...
レトルトデーには粉のお茶とかフリーズドライの汁物も飲むようにすれば、それも消費してローリングストックにもなるね。
私も早速採用したいな。ラクもできるし(笑)
姪っ子の学童では月に一回、お弁当の代わりに好きなレトルトを持参する日もあるよ。
へえ!あまり無添加とか手作りにこだわりすぎると、いざというときに子どもが食べなかったりして困りそうだもんね。
いろいろ慣らして雑食にしておくのも備えのひとつなんだなあ。
鍋をする日もカセットコンロにすれば、家族みんながガスの感覚に慣れられていいよね。
非常食もレトルトデーに取り入れて
レトルトもそうですが、アルファ米などの長期保存食は大人でも好みが分かれるところ。
もし長期保存食も備えるのであれば、時々「レトルトデー」に混ぜてみてほしいです。
ちなみに、編集部でアルファ米を食べてみたところ、合わない人が多数…。(非常食ごはん食レポ記事にまとめてます)
合わなかった非常食は、未開封・賞味期限内であればフードバンクなどに寄付することもできます。
いざというときに食べられないと意味がありませんし、我慢しながら食べ続けるのもしんどいので、必ず試食しておきたいところです。
長期保存食は割高なので、1人分を小分けにするなどして家族で食べてみてくださいね。
④できないことは割り切る!
でも、ストックしなきゃいけないものってレトルトだけじゃないよね?
1週間分は必要なわけだから…。
そうそう、1週間分をいつも管理しなきゃいけないと思うとねー。
もうイヤ!ってなるくらいなら、ある程度割り切って考えた方がいいかも。
割高なんだけど、うちはケチャップとかをあえて使い切りの小分けのものにしてるんだ。
賞味期限を切らしにくいようにするのはもちろんだけど、これに関しては衛生も気になってて(笑)
非常時だけじゃなくて、普段の生活にもメリットがあるならいいね。
コストに目をつぶるなら、味噌とか醤油も粉末のものがあるよねー。
塩麹も常温でいけるし、ツナマヨとかピザソースのチューブも使えそう。
何もしないよりは、どこかを妥協しても手を付けておいたほうがいいよね。
ムリしない方面でいくと、極端な話、ローリングストック自体をやめることもできますよ。
よく言われる「1週間分の備蓄」って、そのときたまたま家にあった食材や、長期保存のザ・非常食も含めての1週間分なので。
なるほど!トータルで考えると、結構できそうな気もする。
かといって今すぐ全部揃えるのは大変だけど…。
いろいろな角度から少しずつ増やすならいけるかも。
1週間乗り切る献立を考えてみよう
「ローリングストックをやめてもいい」は、めんどくさがりな私の持論ではなく(笑)実は広く言われています。
極端な例ですが、「非常用の長期保存食と長期保存水だけを1週間分揃えて、賞味期限チェックは半年に1回だけ」というやり方も一つの手です。
この方法には試食の手間やコストなどの問題がありますので、実際のところは、長期保存食とローリングストックを組み合わせて備えていく形になると思います。
基本的には、管理しきれる量だけローリングストックして、無理な分は非常用食品で補うようなイメージです。
まず、「たった今、ライフラインが断絶されたら?」という想定で、今あるものだけを使った1週間のメニューをシミュレーションしてみてください。
あまり意識せずとも、数日分の備蓄を自然とキープできている人は少なくないでしょう。
そこで足りなかった分だけを意識的に買うor長期保存食で揃えるようにします。
備えの偏りや足りないもの=備えておくべきものがハッキリわかりましたよ!
▲タップで献立表を見る
※えるふさんのローリングストック見直しレポートは、こちらの記事で詳しく読めます!
やっぱり向いてない!?我が家のローリングストック実践例
「いつ起こるかわからない災害に備えて、普段からローリングストックしよう!」 防災関係でよく見かけるフレーズです。 「いつもしも」でも、ローリングストックの必要性を記事にしてきました。 でも、我が家がロ ...
続きを見る
ローリングストックが難しいなら、ムリしない!自分にあった防災がベスト
いつもの暮らしがしんどくなったら本末転倒だし、最低限のお気に入りのものを決めて、それだけは意識して買い続けるのがいいのかな。
あと、たとえばトイレットペーパーとか、普段から使ってて災害時も切らさない自信があるなら、いちいちリストにしなくても大丈夫だよね。
とにかく少しでも楽にしたい(笑)
やっぱりリスト自体は作ったほうがいいのかな?
余計なものを持ちすぎないためにも、最初にまとめて書き出してみるのは有効だと思います。
ただ、ずっとそのリストとにらめっこで管理していくのは現実的ではなさそうですね。
迷ったら、あとから上手くサボる前提で(笑)とりあえずマメにやってみるのがおすすめです。
回していきながら「これは回転が早いからメモしなくていいな」「このやり方のほうが向いてるかも」とか、自分なりの省略方法が見つかると思うので。
まず取り掛かってみないとはじまらないもんね。
理想は理想で置いといて、まずはできそうなことから始めてみようかな!
※項目をタップで詳細部分に戻れます
- 基本は家庭それぞれ!
理想に縛られず、家族の好みを考えて、できる範囲に厳選しましょう - 家族の協力は不可欠!
各々好きなものを分担して管理するなど、家族も巻き込めるような工夫を - 自分なりのやり方を見つける!
まずは基本から手を付けてみて、気づいたことからアレンジ - レトルトは防災教育にもなる!
罪悪感を減らしつつ、ローリングストックも消費◎ - ムリなことは割り切る!
やらないよりは断然安心。できることからコツコツと - 「1週間分の備蓄」は、ローリングストック+非常食+たまたまあったもの!
管理しやすい配分でOK!献立ベースに考えて
あわせて読みたい
ホンネの座談会シリーズはまだまだあります!
防災に疲れたら、力を抜いて読んでみてください。
イラスト:土界谷リサ