地震発災後、避難すると決めたら~家を出る前のタスクと避難所までの注意点

2019年11月6日

手を繋ぐ親子
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大地震が起きて、自宅にいるのは危険と判断したら、どのように行動すればよいのでしょうか。

自宅が倒壊寸前、火災が発生しているような場合は、命を守ることを最優先に、とにかく緊急に脱出するべきですが、少し時間に猶予がある場合、家を空ける前にいくつか行っておきたいタスクをリストアップしました。

これらのタスクは、自宅を空き巣被害や漏電による火災などから守り、避難所から帰宅した後での生活をよりスムーズに再開するのに役立ちますから、できる範囲で実行しておきましょう。

また、避難所へ向かうときにも、安全にたどり着くための服装や装備、ルート選びなど、注意すべきポイントがあります。

とくに避難時にはベビーカーNGなど、ママにこそ覚えておいてほしい注意点をまとめました。

大きな余震も想定される中、子供を連れて屋外を歩いて避難する際に気を付ける点を、年齢別にもアドバイス。

子供とママ自身の安心・安全を守るために、ぜひ覚えていただきたいことばかりです。

※地震対策について全体的に把握したい方は、「地震の備えまとめ」記事もあわせてご参照ください。

大地震で避難する際、家を出る前の3つの行動タスク

外に出る前のポイント3つ避難するために家を空けることになったら、二次災害を防止するためにすべきタスクがあります。

もちろん火災が発生したり、津波の避難指示が出たといった緊急性が高い避難の場合は、とにもかくにも身ひとつで避難することが重要ですが、身に迫る危険がない場合は以下の3つのタスクを確実に実行しましょう。

戸締り

被災家屋を狙った空き巣や火災を防ぐために、家の戸締りをします。

地震の揺れで窓ガラスが割れてしまったときは、雨戸やシャッターを閉めて鍵をかけるほか、そこに大物の家具などを移動させて窓全体をふさいでしまうという手もあります。

無理のない範囲で家に他者が侵入しにくい状態にしてから避難しましょう。

災害時の防犯については、こちらの記事で詳しく書いています。

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ガス・電気・水道をシャットダウン

余震による水漏れやガス漏れを防ぐために、水道の元栓、ガスの元栓をしっかり閉めます。

また、電気は地震直後に停電していても、復旧した時に壊れたり倒れた電化製品に通電して火災が発生するのを予防するために、家全体のブレーカーを落としてから家を出ます。

余裕があるようであれば、地震による断水に備えて、浴槽やバケツ、空のペットボトルに生活用水をためておくとよいでしょう。

玄関に伝言メモを置く

地震発生直後は、電話やメールもなかなかつながりません。

ご主人と連絡が取れないまま、避難所に移動しなければならないケースも少なくありませんし、親や親戚の人が、心配して訪ねてくるかもしれません。

避難で家を出るときは、玄関に「私も子供2人も全員無事です。避難所の○○体育館に向かいます」などとメモを置いておくとよいでしょう。

外に貼ってしまうと空き巣のターゲットになる可能性があるので、室内に入ってすぐわかる場所に置きます。

家を出てから避難所につくまでの行動~地震被災時の注意点

次に、家を出てから避難所につくまで、地震被災時の行動の注意点を確認していきましょう。

動きやすく、けがを防ぐ服装で

避難時の服装イラスト:土界谷リサ

抱っこする赤ちゃんにはヘルメットや厚手の帽子で頭を守り、靴を履かせて、けが防止に長そでの服を着せます。

夏場で暑いときはバスタオルなど体を覆う物をすぐ取り出せるようにして持参しましょう。

小さな子供は、靴下を履かせ、底が厚く歩きやすいスニーカーなどを履かせます。

道路にガラスや金属などが落ちていることも想定されるので、履きなれていてもサンダルはNG。

服装は長そで長ズボン。冬場は避難所が寒い場合が多いので、温かい上着も忘れずに。

ママも長そでに長ズボン、スニーカーなど動きやすく歩きやすい服装に。

メイクしても避難先で顔を洗う余裕があるのかもわかりませんから、すっぴんでOK。

子供もママも、あればヘルメット(最悪自転車用でも)、なければ帽子やパーカーのフードなどをかぶって頭を保護します。

防災リュックの中にマスクや軍手、ストールなどが入っていたら、このとき身につけてしまいます。

ベビーカーは置いていく

停電してマンションのエレベーターが止まっている場合が多いですし、道路にも物が飛散している場合があるので、避難時はベビーカーを使わないようにしましょう。

以前、赤ちゃんの紙おむつやお世話グッズなどで荷物などがいっぱいになって、ベビーカーで避難しようとした先輩ママは、こんな経験を話してくれました。

mama's voice

家から一歩出たとたん、道路に倒壊した家の塀や看板、土砂が散乱していてまともにベビーカーを押すことができないことに気が付きました。

あわてて赤ちゃんを抱っこし、自分の荷物は諦めて、ベビーカーを捨てて避難所に向かいました。

いつもとは違う光景の中、移動するとき、ベビーカーよりママの抱っこのほうが赤ちゃんも安心です。

災害時の避難ではベビーカーを絶対に使わないことを、覚えておきましょう。

荷物は必要最低限

赤ちゃんを抱き、場合によっては上の子の手を引いて避難するママは、ほぼ身ひとつで逃げる覚悟が必要です。

備蓄した品々は、可能であれば後で家族に取りに来てもらうことにして、赤ちゃんの必要品と貴重品のみを最優先にします。

できれば両手、子供と手をつなぐ場合も片手は開けておきたいので、リュックか肩掛けカバンひとつに納め、できるだけ身軽な状態で避難しましょう。

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周囲に助けを求める

大地震直後、危険物・危険個所だらけの避難所までの道のりを、ママひとりで子供を連れて安全に避難するのは至難の業です。

外に出たら、できるだけ大きな声で「赤ちゃん(子供)がいます! 助けてください」と周囲に呼びかけましょう。

できるだけ最短で、でも広い道を選ぶ

地域の避難所までの経路は、日頃からお散歩がてらに確認しておくことが重要です。

そのうえで、大地震が発生した時は、狭い路地などを通らないようにします。

最初の大きな揺れで崩壊寸前になっている家のフェンスや塀などが、その後の小さな余震で倒れてくることがあるからです。

また、道の端は窓に残ったガラスの破片などが上から落ちてくることも。

できるだけ広い道の真ん中を通って子供と避難しましょう。

ただし緊急車両が通過するような場合は、子供と一緒に安全な場所でやり過ごします。

先輩ママが教える子供の年齢別地震避難時のポイント

赤ちゃん・幼児・小学生の3姉妹地震で避難をする場合、子供の年齢によって注意すべきポイントが異なる点もあります。

先輩ママの体験談をもとに、子供の年齢別の避難時のポイントを見ていきましょう。

赤ちゃん

赤ちゃんイラスト:クリハラマリ

言葉が話せない赤ちゃんも、大きな揺れや物音におびえています。

できるだけ安心できるようにママの顔が見える抱っこで避難しましょう。

おんぶより絶対、抱っこで

mama's voice

赤ちゃんは抱っこ紐でしっかり抱っこが基本です。

おんぶのほうが、手を動かしやすいのですが、赤ちゃんの顔が見えるほうが絶対、安心。

それに避難の最中、余震が起こったとき、体を丸めて身を守ろうとしてもおんぶだと赤ちゃんを守ることができません。

上から物が落ちてきたときも自分の前面であればさっと避けられますよね。

一瞬を争う場合以外は、急いでいても抱っこ紐を使ってしっかり赤ちゃんを抱きます。

手で抱くと荷物も持てませんし、両手が使えないため危険なうえに、何かの拍子に赤ちゃんを落としてしまう可能性もあります。

大きな揺れがおさまった段階で、使い慣れた抱っこ紐で手早く赤ちゃんを抱っこしましょう。

授乳ケープはミルク派ママもマスト

mama's voice

母乳派のママは、避難所で授乳ケープが必須なのは当たり前ですが、ミルク派のママも授乳ケープや代用品を持っていった方がいいです。

避難所の中は夜中も照明がついていることが多く、体育館などの天井のライトは上向きで抱っこされている赤ちゃんの目を直撃。

明るい中で抱っこして寝かせるときも、授乳ケープをかぶせてあげると、ちょうどよく暗くなるので赤ちゃんは安心して眠ることができますよ。

授乳ケープは、プライバシーが守られにくい避難所生活で、非常に役立つアイテムです。

代用品としては、授乳時以外にもさまざまな用途に使える薄手のストールなどがおすすめです。

幼児

幼稚園児ひとりで歩けるようになった小さな子供と避難するときは、避難所に向かう途中ではぐれたりしないよう、しっかりと手をつなぐのが一番大切なポイントです。

手首握りで手をつなぐ

mama's voice

抱っこしきれない小さな子供と手をつなぐ際には、子供にママの親指をしっかり握らせて、ママは人差し指と中指で子供の手首を挟むようにして手をつなぐと、うっかり手を離してしまう心配がありません。

この握り方は、親子の災害避難の講習会で習いましたが、日頃から興味があると駆け出す癖のあるうちの子は、普段道路を歩くときも習慣にしています。

▼twitterでも紹介されていました。

普段と違う外の様子や、揺れにおびえて歩くのを嫌がるときもありますが、そんなときは「お散歩で行った○○体育館(避難所)についたら、安心していっぱい遊べるからがんばろうね」などと声をかけて、励まして。

恐ろしさにしゃがみこんでしまうような場合は、周囲の人に助けを求め、荷物を持ってもらうなどして抱きかかえて避難所へ急ぎます。

音や光の出ないお気に入りのおもちゃをひとつ

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避難のときって、荷物はできるだけコンパクトにしたいですが、小さな子は慣れない避難所の環境で、情緒不安定になりがちです。

周囲の迷惑にならないよう、音や光が出ないお気に入りの小さなおもちゃをひとつ持っていくだけで、子供の精神安定にとても役立つと思います。

ノマリ
ノマリ
コンパクトな絵本もおすすめ!私はミニサイズの図鑑を防災リュックに入れています。

上着の背中部分に名札

mama's voice

万が一、親とはぐれてしまったときのために、子供の上着類には全部、背中のタグの部分に名札を縫い付けています。

表側には、名前と血液型と年齢を。

名札の裏側には、住所と私と夫、それぞれの携帯電話の番号も記入。

幼児に限らず、子供には名前と親の連絡先、血液型、そして重大なアレルギーや病気がある場合はそれらを書いた名札を、服の内側につけておきましょう。

緊急のときは、メモ書きしたものを上着のポケットに入れるだけでもOK。

これらのデータは、もしものときに命を救う大切な情報です。

小学生

小学生子供が小学生になっていても、避難するときは手をつないではぐれないようにするのが大切です。

背丈が低く、遠くを見通せない子供は人混みの中では視界が極端に狭くなり、親を見失ってしまいがち。

照れても恥ずかしがっても手をつなぐ

mama's voice

普段はもう手をつながないような年齢でも、避難するときだけは親子でしっかり手をつなごうねと約束しています。

以前、被災した際に避難する人混みの中で一瞬、子供を見失って、背筋も凍るような思いをしたのがその理由。

子供もそのときの不安な気持ちを覚えているらしく、言い聞かせるたびに神妙な顔をしてうなづきます。

子供は落下物に気が付かないときも多いので、手をつないでいればとっさに引っ張って危険を回避することができます。

地震が起きたときの避難行動の基本は、安全第一+余計なもの・ことを持たない・しない

ヘルメット避難すると決めたら、戸締りと電気・ガス・水道のシャットダウン、家族への連絡など必要最低限のタスクをこなします。

断水に備えて生活用水をためたり、赤ちゃんに授乳するなどは、時間の余裕があるときだけ。

いざ避難するとなると「割れた食器の片付けだけでもしておこう」とか「非常持ち出しの荷物以外に、あれもこれも持っていきたい」となりがちですが、それは一度避難所に行って身の安全を確保したのち、一時帰宅して行えばいいことです。

掃除や片づけは後でいくらでもできますし、荷物が増えれば子連れで避難するとき邪魔になるだけです。

同様に、ママのメイクも必要なし。それより落下物や危険物から身を守る安全な装備・服装に気を付けて。

大地震が発生した直後の避難時には、家を出る前のタスクも必要最低限、持ち物もできるだけ身軽にして、迅速かつ安全に子供とママ自身が避難することを最優先にしてください。

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女性誌・子育て誌・医療情報誌などでフリーライターとして執筆する40代ワーキングマザー。東日本大震災時の激しい揺れとその後の恐怖がいまだぬぐえず、今も地震の非常警報音に毎度飛び上がり、心臓バクバク。絶賛反抗期中の中学生の息子が震度4程度の地震では目を覚まさない図太さを、少々うらやましく感じる今日この頃。

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