市販の非常持ち出し袋を買えば安心、と思われるかもしれませんが、実は女性目線、あるいはママ目線で見ると、市販のものだけでは安心できないのが現状です。
実際に被災した方の体験談を見ながら、ママさんが本当に必要な衛生用品についてまとめてみました。
この記事の目次
備えの基本!防災グッズを用意する前に最低限知っておきたいこと
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ママが防災グッズを見直すべき理由
誰もがもしもの時のために備えておくべきですが、ママの場合は特に、いま一度防災グッズの見直しをすることをおすすめします。
以下で、なぜ特にママさんに注意喚起がされているのかをまとめました。
ママの8割近くが防災の備えができていない!
株式会社明治が日本全国の乳幼児のママやプレママを対象に行なった調査(※1)によりますと、対象になった465人中、「大規模災害を想定した準備・対策」が「まったくできていない」「あまりできていない」と答えた人は、全体のなんと81.5%に上ったとのことです。
子供や赤ちゃんを守るべき立場のママさんですが、十分な備えができていると言える人は少ないのが現状なのです。
被災時こそ感染症予防が必要
避難所では大勢で共同生活をするため、感染症に感染しやすくなります。
インフルエンザやノロウイルスなど、感染力の強いウイルスには特に注意が必要です。
子どもと一緒の避難所生活ってどうなの?リアルな実態が知りたい!
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手洗いや歯磨きが十分にできないため、ママ自身の免疫も低下し、感染症にかかりやすくなります。
小さいお子さんがいる場合、お子さんと自分の衛生管理をするのを難しく感じるでしょう。
被災後時間が経つと、水たまりや食品のゴミから虫が発生したり、ネズミが繁殖してしまいます。
すべてを清潔にするのが難しいなかで、自分の健康を保つためには、最低限の衛生を管理するグッズが必要になります。
感染症シーズン到来!防災ママはコロナやノロにどう備えてる?座談会
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被災時のストレスを軽減するために、十分な備えを
女性は被災時に感じるストレスが多く、それでいて声を上げづらいものです。
ストレスの原因には、男性と同じ避難施設で過ごすことへのストレス、生理用品や化粧品など、女性特有の必要物を十分に受け取ることができないことなどが挙げられます。
被災時のストレスを少しでも軽減するために、自分が必要だと思う最低限の物は備えておきましょう。
市町村団体からも救援物資は届きますが、周りの方に遠慮して十分にもらえなかったり、使い慣れない化粧品のために肌荒れしてしまう場合もあるようです。
被災時に感じるストレスを少しでも軽減するために、今から備えるべきなのです。
ママが持つべき!防災グッズにおすすめの衛生用品
今回は女性の中でも、とりわけママさんにおすすめの衛生用品をご紹介します。
子供のために備えるけれど、大人も一緒に使うことができる、そんなアイテムを集めてみました。
食事のときに役立つ衛生用品
用意するべき衛生用品
- 除菌スプレー
- お手拭きシート
- ラップ
災害時に注意したいのが、ウイルス感染や食中毒などの二次災害です。
大勢の人と共同生活するゆえに、また衛生管理がしっかりとできないために発生する場合が多いです。
特に注意すべきなのは、食事の際の衛生管理です。
災害時には手の洗えない状況で食事をすることもあり、その結果ばい菌が体の中に侵入してしまいます。
除菌スプレーやお手拭きシートがあると、食事の前に手を除菌することができ、おにぎりなどを食べるときにも安心できます。
お手拭のタオルなどは、共用であれば他の人の手の雑菌が移ってしまう可能性があります。
使い捨てのシートで、汚れが残りやすい手指の間まで、入念に除菌しましょう。
災害時には洗い物ができないことが多いので、食器やスプーン等も使い捨てのものを用意しておきましょう。
使い捨てのものは何回も使うと衛生的に良くないので、もったいないと思っても捨てましょう。
避難所での生活が長続きして食器がなくなってしまいそうな場合は、食品用ラップをお皿の上から被せて使用し、使い終わったらラップだけ捨てるようにしましょう。
ラップはひとつあると、保温グッズや包帯代わりにも使える便利なアイテムです。持ち出し袋にぜひ入れておきましょう。
体拭き・おしり拭きは必須!ボディのための衛生用品
用意するべきボディ用衛生用品
- おしりふき
- 汗拭きシート
- ドライシャンプー
- タオル
- ガーゼ
被災時に大きなストレスとなるのが、お風呂に入れないことです。
体がベタベタしたり、汗臭くなってくると、精神的にまいってしまうものです。
子供は大人よりも汗をかきますし、ベタベタした不快感を感じると赤ちゃんでも泣き出してしまうでしょう。
お風呂やシャワーに入れなくても、汗を拭きとってすっきりとすることができる、使い捨てのシートがあると便利です。
特に赤ちゃん用のおしりふきシートは、大判でしっかりしていて大人にも使えるので重宝します。
一石二鳥になるだけでなく、低刺激なので、大人のデリケートゾーン用としても使えます。
汗や匂いが気になる部分には、消臭効果のある大人用の汗拭きシートを使うと良いでしょう。
水を使わないドライシャンプーがあると、大人だけでなく、汗をかきやすい子供のためにも安心です。
point
ドライシャンプーを使うならば、もったいないと思って取っておくよりも、初日から使ってしまったほうが良いかもしれません。
ドライシャンプーを使ったことのある方はおわかりかもしれませんが、汚れを全てすっきりと落とすことはできませんし、すでにひどく汚れた髪に使うと、あまり効果を感じられないという可能性もあります。
荷物にならない程度に、できるだけ家族の分のドライシャンプーを入れておくと良いでしょう。
ドライシャンプーがない場合には、タオルやガーゼを使って髪の毛の汚れを落とすことができます。
- 髪の毛の表面の汚れ
→濡れたタオルで拭く - 頭皮の汚れ
→ガーゼや綿棒で落とす
ガーゼにはオイルを染み込ませると、地肌を傷つけずに汚れを落とすことができます。
ケガをした時のためにガーゼを入れている方が多いかと思いますが、衛生グッズとしても活躍するので、多めに入れておくと良いでしょう。
被災中でも!心を守るスキンケア&化粧品
用意するべきスキンケア・化粧品
- 化粧水
- 保湿クリーム
- リップクリーム
- 鏡
- 眉毛ペンシル
- アロマオイル
被災時、十分に洗顔できないために肌が荒れたり、洗髪できないため髪の臭いが気になったりした結果、人に会いたくなくなってしまうようです。特に女性にその傾向があります。
被災により精神が疲弊しているのに、さらに人と会わずにいると気持ちが落ち込んでしまいます。
非常持ち出し袋に、最低限の化粧用品を入れておくと安心できます。
化粧水や保湿クリーム、リップクリームなどを入れておくと、乾燥によるひび割れやあかぎれを防ぐことができます。鏡も重要です。
そして意外と重宝されるのが、眉毛ペンシルです。
お化粧ができなくても、眉毛だけは描きたい!と思う女性は多いはずです。
被災時に心が疲れきってしまわないために、化粧用品も用意しておきましょう。
また、意外と知られていない便利グッズがアロマオイルです。
例えば「ラベンダーオイル」には、
- 消臭効果
- リラックス効果
- 鎮痛効果
があると言われています。
お風呂に入れずイライラしているときに、衣類などの消臭として使うことで、リラックス効果も期待できるのです。
ラベンダーでなくても、お気に入りのアロマオイルをひとつ入れておくと安心できます。
軽量化できるものを選ぼう!歯磨き衛生用品
おすすめの歯磨きグッズ
- コンパクトな歯ブラシ
- シリコンカップ
- 歯磨きシート
- デンタルフロス
- マウスウォッシュ
災害時の歯磨きには、清涼感以上の重要性があります。
傷の修復や抗菌などのはたらきがあり、唾液が正常に分泌されることで免疫が正常に働き、病気にかかりにくくなると言えます(※2)。
memo
災害時に水が出なくなり、普段の歯磨きができない状態になると、唾液が出にくくなってしまいます。
またストレスを強く感じることによっても、唾液の分泌量が少なくなります。
災害時こそ、いつもと同じように口内を清潔にして、唾液の分泌量が少なくならないようにするべきです。
携帯用の歯磨きを入れるならば、薄型・折りたたみ式のコップも入れておくと便利です。
ですが通常の歯ブラシでは、水が少ない時に思うように歯磨きできないのがデメリットです。
そんなときに使えるのが、歯磨きシートやデンタルフロス、マウスウォッシュです。
ただしマウスウォッシュは重くなってしまうので、小型で持ち運びできるものを選びましょう。
また、ひと口に「マウスウォッシュ」と言っても、実は使い方や効能にさまざまな種類がありますので、購入するときには注意してくださいね。
服は洗濯できる?意外と迷う着替え
揃えておくべき着替え
- カップ付きインナー(黒・グレー)
- パンティーライナー
- ボクサータイプのショーツ(黒・グレー)
- 洗濯用ネット
- 厚手のジャージ
- 子どもの下着
持ち出し袋に入れる衣類は、乾きやすいものを選びましょう。
ブラジャーはかさばり、乾きにくいので、カップ付きインナーがおすすめです。
汚れが目立ちにくい、黒やグレーが良いでしょう。
パンティーライナー(おりものシート)があると、下着を洗濯できない時でも、汚れを防いで衛生管理に役立ちます。
mama's voice
「下着が洗えないときでも、パンティーライナーを替えていれば同じ下着で2,3日過ごすことができて重宝した。」
という女性のコメントもありました。
女性の場合、避難所で下着を洗って干すのに抵抗があり、そのため不衛生になってしまう可能性があります。
避難所で干しても目立たないように、ボクサータイプのショーツを用意しておくと、一目で女性用下着とわからず目立ちません。
洗濯用のネットがあれば、洗濯した後にそのまま干すことができ、下着が見えづらいというメリットもあります。
長引く被災地での生活を予想すると、衣服を洗う際のアイテムも重宝しますね。
check!
節水しながら洗たくできる、こんな商品の備えもおすすめです!
アタック(@kao_attackjp)の「どこでも袋でお洗たく」で、子どもの
✅Tシャツ ✕ 2
✅靴下 ✕ 2
を洗ってみました🧼専用の排水口がとても使いやすかったです✨
旅行中、肌着だけでも洗濯できれば、持って行く荷物も旅行後の洗濯物も減らせますよね。特に着替えの増える夏のお出かけにおすすめです✈️ pic.twitter.com/PlFo6MJmUf
— いつもしも◇ママと子どもの防災 (@itumosimo) July 24, 2024
厚手のジャージが一組あると、寒さ対策や作業時に使えます。子供の着替えも、となると大荷物になってしまいますが、できるだけ通年使える素材で、着まわしのできる服を選びましょう。
いつもしもでは、非常持出袋のオプションとして、季節に合わせたグッズを別に用意して避難時に詰め替える方法をおすすめしています。
こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
急いで避難!その時絶対に必要なものは?防災グッズリスト
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匂い対策も万全に!生理用品
女性にとって最重要!揃えておくべき生理用品
- 生理用ナプキン
- パンティーライナー
- 消臭ゴミ袋
- 中身の見えないビニール袋
- 鎮痛剤
災害時には、家族の非常持ち出し袋を持って地域の避難所に行くわけですが、支援を受けるにあたり、男女の間で重要に思うアイテムが異なり、ニーズも異なるようです。
避難所では女性目線での支援がされることが少なく、女性は「自分が我慢すれば良い」と思ってしまうものなので、ストレスが溜まりやすいのです。
東日本大震災後に行なわれた調査では、
- 生理用品
- おりもの用ライナー
など女性特有のグッズの配布について、「備えがない」「男性が配布していてもらいに行きづらい」などが課題とされました。(※3)
これらは支給もされますが、質や量の点で満足できない場合が多いです。
敏感肌の方であれば、普段使い慣れていないものだとかぶれてしまうかもしれません。
また経血量が多いので、支給されたナプキンでは不安だ、という方もいるでしょう。
避難所での生活のストレスを軽減するためにも、使い慣れたナプキンを入れておくのがおすすめです。
災害時には十分に洗濯ができないので、服やシーツが汚れないように、安心して使用できるものを選びましょう。
check!
こちらの記事では、進化系のナプキンなどさまざまな生理用品を紹介していますので、参考にしてみてくださいね!
【関連】生理用品といえば?私たちの選択肢
上記でも触れましたが、パンティーライナー(おりものシート)があると下着が汚れず便利です。
小さく軽いので、ひとつは持ち出し袋に入れておきましょう。
使った生理用品をすぐに捨てられない場合のために、消臭ゴミ袋があると良いです。
ペット用の消臭ゴミ袋はとても強力なので、匂い対策におすすめです。
生理痛が重い方は、鎮痛剤も備えておきましょう。
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▼被災時のトイレについて(近日公開)
まとめ
2019年9月5日には大型台風15号(ファクサイ)が千葉を直撃し深刻な被害をもたらしましたが、断水・停電が復旧するまでにかなりの時間がかかりました。
その間に問題となったのが、お風呂に入れないゆえに感じるストレスや衛生問題です。
衛生的に過ごせるかどうかは、被災時のストレスの程度を大きく左右すると言えます。
持ち出し袋を作るだけでなく、最低限の衛生管理ができるグッズを入れておくことで、本当に災害に備えることができるでしょう。
特にママの立場であれば、自分と子供の衛生をしっかり管理する必要があります。
子供も大人も使えるグッズを揃えて、いつ起こるかわからない災害に備えましょう。
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