現代人にとってスマホは「命」とも言えますが、災害時にはスマホの重要性はさらに高くなります。
実際に被災した方の「あってよかった」「なくて困った」と感じたグッズの1位はスマホ充電器だそうです。
いま買うべきスマホ充電器はどんなものか、種類別にメリットやデメリットをまとめてみました。
あわせて、スマホ側でできる節電のための設定もご紹介しています。
なお、持ち歩き用のモバイルバッテリーをお探しの方は、こちらの特集記事がおすすめです。
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※停電時の充電以外の対応については、「ママのための停電対応マニュアル」でまとめています。
※地震対策を知りたい方は、「地震への備えまとめ」もあわせてご覧ください。
この記事の目次
災害グッズの中でも重要度上位に位置する「充電グッズ」
スマホは生存確認のために使うだけでなく、ラジオになり情報収集ができたり、懐中電灯替わりにもなります。
被災時にスマホが使えるかどうかで、安心できるかどうかが左右されるのです。
被災後の体験談を見ながら、なぜ充電グッズが重要と言えるか考えてみましょう。
アンケートから見える、被災時に必要なもの
一般財団法人「ダイバーシティ研究所」は、2018年度に被災した方100人を対象にアンケートを行い、被災時の備えやその後の意識の変化について調査しました。
そのアンケートの中で、災害時に「あってよかったもの」「なくて困ったもの」、また災害後「これは絶対用意すべきと感じたもの」についての質問がありましたが、回答の1位はモバイルバッテリーで、総合すると実に80%以上の方がモバイルバッテリーの重要性を感じたようです。
避難所に充電所が設けられることが多いですが、充電所に関するアンケートでは
- 混雑していて満足に充電できなかった
- 1人あたりの充電時間が短かった
- 充電コーナーが埋まっていることが多かった
など、充電所に人が集結するゆえに満足に充電できなかった、と答えた人が多かったようです。
充電希望者が多いと1人あたりの充電時間が制限され、フル充電できないまま終わってしまう場合もあります。
また中には避難所自体に充電所がなかったという声もあり、個人で用意をしておく重要性が浮き彫りになりました。(※1)
以前は非常持ち出し袋には、懐中電灯やロウソク、携帯ラジオなどを入れるのが主流となっていました。
ですが、大きな震災や台風被害を経て、防災グッズは進化しています。時代とともに生活は変化していきますし、持出袋に入れるものもアップデートが必要です。
【関連】持出グッズリストから外したもの
スマホもまた、生活に不可欠な存在へと変化しました。
スマホが使えないという状況は、他の人との繋がりや情報収集の術が断たれてしまったように感じさせ、避難者に大きな不安を与えるようです。
平成25年度に内閣府がまとめたアンケートでも、被災後二週間経ったときに必要を感じたものとして、
- 1位「下着・衣類」115票
- 2位「ガソリン」113票
- 3位「乾電池や携帯電話等の充電器」89票
という結果でした。
家族がいる方は、常に全員のスマホに電池がある状態にしておくことが望ましいです。
それぞれが違う場所にいる時にさらに災害が起きた場合、すぐに連絡が取れて、どこに集合か確認できるようにしておきましょう。
さらに災害時には犯罪が多くなるので、安全確認のために常に連絡を取りましょう。
下着やガソリンは生活の最低必需品とも言えますが、充電器はそれらに次いで重要度が高いグッズであったことがわかります。
避難所の備えだけに頼らず、個人できちんと準備しておきたいですね。
いつもしもでも、充電器は持ち歩き用の0次の備えから重視するようおすすめしています。
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充電さえできれば、ネットも使えるかも
災害時には電話は通じにくくなるので、インターネットによる安否確認ができるように用意しておくと良いでしょう。
家族で災害用伝言板を使えるように設定したり、SNSなどのコミュニケーションツール・フリーメール等を安否確認のために使うことができます。
災害時にネットが使えなくなる場合のために、避難所によっては無料でWi-Fiを飛ばしているところもあります。
Wi-Fiがあれば、充電さえあれば連絡・情報収集・娯楽にも使えるので大変便利です。
公衆のWi-Fiを利用するためにも、やはり個人で充電グッズを準備しておくことが大切です。
地域団体の情報提供のツールとして、SNSを選ぶ団体もあるようです。(※1)
情報収集の方法がどんどん変化していますので、スマホを使用できるように準備し、それに乗り遅れないようにすることが大切です。
災害時に開放される無料Wi-Fi「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」
2019年10月に台風19号が発生した際、ニュース画面では無料Wi-Fiとして「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」が開放されたと発表されました。
これは東日本大震災を教訓に2018年7月の豪雨時にもされた取り組みで、各通信業者等が公衆無線LANサービスを開設し、一定期間無料開放します(※2)。
開放状況はこちらで確認
被災時は通常の電話回線が繋がりにくくなるため、無料Wi-Fiは安否確認のため非常に役立ちます。
家族で無料Wi-Fiの繋げ方を確認しておき、災害時に備えることができるでしょう。
notice
しかしこの公衆Wi-Fiは緊急時にすぐに繋がることを最重要視しているため、通信の暗号化等のセキュリティ対策が行なわれていません。(※3)
そのため、カード番号等の個人情報を入力すると情報が盗まれてしまう可能性があります。
使用は緊急時のみにし、必要な連絡を行なったらすぐに接続を切断しましょう。
おすすめは何?スマホ充電器の種類とメリット・デメリット
「災害時」という普段とは違う環境で、きちんと使うことができしっかり充電できるアイテムを選ぶ必要があります。
「とりあえず買っておけば安心」というだけでなく、もしもの時にしっかり働いてくれる充電器を選びましょう!
災害時に使えるスマホ充電器の種類
災害時に使える充電器には、以下の種類があります。
※名称をタップで知りたいところにジャンプできます
それぞれのメリットとデメリットについて、
- 持ち運びのしやすさ
- 充電容量の大きさ
- 充電の速度
- 長期間使えるかどうか
の4点を基準に見ていきましょう。
充電式充電器(モバイルバッテリー)
point
- 持ち運びのしやすさ:◎
- 充電容量の大きさ:○(商品による)
- 充電の速度:◎
- 長期間使えるかどうか:△
各災害用ページにて推奨されているのが、充電式充電器の常備です。
充電式充電器は、薄型・小型のものを選べば重さや大きさを気にせず持ち運びができます。
名刺より小さいサイズのものもあります。
非常持ち出し袋はすぐパンパンになってしまうので、充電器が小型だと安心ですね。
充電式充電器は、普段から持ち運びすることが勧められています。
小型サイズのものを通勤カバンやお出かけバッグに入れておくことで、出先で被災し帰宅難民になった際にも、最低限の連絡を取ることができます。
充電式充電器には容量があるため、購入の前にチェックしましょう。
容量はmAh(ミリアンペアアワー)で表示されています。mAhが大きいほど容量が大きく、充電できる回数が増えます。
自分のスマホのバッテリー容量を確認して、十分に充電できるものを選んでください。
notice
ただし、充電器の容量は、充電する際、スマホ用に電圧を調整する過程で減ってしまうそうです。実際出力されるのは、商品に表記されている数値の6~7割程度と考えてください。
一般的な5,000mAhの充電器であれば、出力が7割になっても3,500mAh程度なので、1回はフル充電できるスマホが多いでしょう。
災害時にすぐに電源が確保できないことを考えると、フル充電が約2回以上できる10,000mAh、あるいは大容量の20,000mAhなどが安心かもしれません。
ただ、容量が大きいものほど、本体の容量も重くなるので、持ち歩く場合は容量と重さのバランスで選んでくださいね。
memo
モバイルバッテリーの広告では「わずか○○グラム!」といううたい文句をよく見ますが、実際は全然わずかじゃないことも多いので注意しましょう。
目安として、スマホの重さは150~200gが多いです(2020年5月現在)。買おうとしているモバイルバッテリーが同程度の重さなら、スマホを2台持ち歩くのが苦ではないか考えてみてください。
また、急速充電機能のついた充電式充電器であれば、短時間でフル充電ができます。
急速充電の充電式充電器には充電にかかる時間の目安が書かれていますが、充電する機器により時間は微妙に異なるのでご注意ください。
せっかく充電器に急速充電機能がついていても、急速充電に対応していないケーブルを使っては意味がないので、ケーブル選びにも気を付けましょう。
自宅で停電した時や家族で避難する場合などは、家族全員分のスマホ複数台を充電する必要があるので、20,000mAh以上の大容量かつ急速充電機能のついた充電式充電器がおすすめです。
デメリットとしては、使い切ったときに再度充電が必要になるという点です。
point
最近は各自治体で公民館や避難所に無料の充電スポットを設けていますが、充電のための設備が準備されるまでに時間がかかることと、充電のために長蛇の列ができることとが予想されます。
最低でも3日程度は電気がストップしても大丈夫なように、容量が大きめの充電式充電器を買っておくこと、または充電式充電器を2台持ちすることをおすすめします。
スタッフがリアルに持ち歩いているモバイルバッテリー紹介
使っているスマホ(Galaxy S20)の容量は4000mAhなので、単純計算で約1.4回充電できる容量です。
最近はスマホ自体の充電が長持ちなこと、ほぼ遠出しないことから、容量よりも軽さを考えて選びました。
別途、在宅避難用として大容量で重たいモバイルバッテリーを自宅に置きっぱなしにしています。
販売価格:1,280円(2023年3月現在)
もっと詳しく
ポータブル電源(大容量充電式充電器)もおすすめ
point
- 持ち運びのしやすさ:△
- 充電容量の大きさ:◎
- 充電の速度:○(商品による)
- 長期間使えるかどうか:△
ポータブル電源とは、充電式充電器の中でも大容量のもので、キャンプ等のアウトドアレジャーで使われるアイテムです。最近は「ポタ電」なんて呼ばれ方もしています。
上記では5,000mAhの充電式充電器が一般的と書きましたが、ポータブル電源の場合は200~500Whのものが一般的です。
5,000mAh=18.5Whなので、容量が格段に上ということがわかりますね。
アウトドアレジャー用だと重くて持ち運びしにくいものが多いのですが、1kg程度の軽いものを選べば、持ち出し袋に入れることもできます。
1kg程度のものでも、100Wh前後の容量があるものが多いです。
被災時に家で避難生活を送る場合もありますが、そんな時のためには5~8kg程度の大容量ポータブル電源が役立ちます。
重さや大きさは気になりますが、その分容量も大きくて安心。1,000Wh以上の商品も続々と登場していますので、ぜひ最新情報もチェックしてみてくださいね。
memo
WhやmAhなどの単位が出てきても、実際にどの程度の時間、どのように使用できるのか想像するのが難しいですよね。
例えばスマホの充電にどれほどの電力が必要なのかは、スマホのバッテリーを見ればわかります。(主なスマホのバッテリー容量はこちら▲)
バッテリーには「定格 ○○V ○○mAh (○○Wh)」という記載があります。
この数字が、フル充電するのに必要な電力数ということですね。
ちなみにiPhone Xの場合、「2,716mAh(10.35Wh)」となっています。
充電式充電器の場合は1、2回しか充電できませんが、ポータブル電源の場合は20~50回程度充電できる計算になりますね。
ポータブル電源があれば、小型冷蔵庫やテレビ、パソコンなどが使用できる場合もあります。
通常に近い生活を送ることができると、精神的なストレスが軽減するでしょう。
また冬には電気毛布、夏には扇風機を使うこともでき、被災時の体力消耗を防げます。
出力ポートがUSB、ACアダプター、DCケーブルなど様々な家電に対応するものであれば、使用の幅も広がります。
ポータブル電源の出力が、家電の消費電力を上回っていないと動かすことができません。ケトルやドライヤーなど消費電力の多い家電を使いたい場合は、定格出力1000W以上のハイスペックなポータブル電源が必要です。
ポータブル電源自体を充電する際には、
- ACアダプター
- ソーラー充電
- シガー充電
といった充電方法があります。
シガー充電機能のあるポータブル電源であれば、停電が続いても車があれば電源を確保できます。
災害時におすすめなのが、ソーラー充電機能のあるポータブル電源です。
しかし、ソーラー充電にはデメリットもあるので、よく考えてから購入すると良いでしょう。
※下記を参照
ポータブル電源のスペック例はこんな感じ[PR]
ポータブル電源の中では、容量537Whは大きすぎず小さすぎず、中間的なスペックです。
さきほど例に出したiPhone Xでいうと、フル充電約51回分になります。
家族でスマホやゲーム機を充電しても、数日はもちそうですよね。
また、定格出力が700Wなので、扇風機や電気毛布、ノートパソコンなどなら問題なく動くでしょう。
ポータブル電源自体への充電は、家庭用コンセント・シガーソケットからの充電に対応していて、別売のパネルがあればソーラー充電もできます。
販売価格:49,800円(2023年3月現在)
乾電池式充電器
point
- 持ち運びのしやすさ:○
- 充電容量の大きさ:×
- 充電の速度:×
- 長期間使えるかどうか:○
充電式充電器の次におすすめしたいのが、乾電池式充電器です。
メリットとデメリットが充電式充電器と異なるので、2つ持っていると安心かもしれません。
乾電池式充電器は、コンビニなどでも買えます。
乾電池を3~4本入れるものが多く、その場合持ち運びにも困らない小型になっています。
最大のメリットは、乾電池があれば何回も使える点です。
充電式充電器は蓄電してある分を使ってしまうと、次に充電が完了するまで使うことができず、停電が長期化した場合に不便です。
乾電池式であれば、非常持ち出し袋に乾電池を入れておけば、乾電池がなくなるまで充電が何回もできるので安心できますね。
notice
ただし持ち運びできる乾電池の量に限界がある、という注意点もあります。
持出袋の重さの検証記事でも乾電池の重さは負担になりました。防災リュックの中身を工夫して重さを何パターンか作ってみた際、一番軽い5.5キロを達成するためには、乾電池はやむなくリストから外しています。
しかし、乾電池は支援物資として配給されることが多いので、手に入れるのが簡単な物資と言えます。
デメリットのひとつは、充電容量が少ない点です。
スマホを1回フル充電するためには、6~8本の乾電池が必要と言われています。
家族みんなのスマホを充電するとなると、かなりの乾電池が必要になります。
充電時間が長いのもデメリットです。
1時間以上かかるのが一般的で、長いものだと8時間程度かかる場合もあるようです。
すぐに連絡したい!という緊急時には少し不便に感じるかもしれません。
あわせてチェック!
ただ、一般的なアルカリ乾電池ではなくリチウム乾電池を使うと、充電時間を短縮し容量を確保できます。
アルカリ乾電池より割高のため予算とも相談が必要ですが、備える乾電池を変えるという選択肢もあることを覚えておいてください。
乾電池式充電器の容量・充電時間については、こちらの記事で実際に検証しています。 被災者へのアンケートによると、被災後に必要だと感じたものの1位は「モバイルバッテリー」、2位が「電池」と「水」でした。(※1) 電池は、ラジオやランタンなどの防災グッズはもちろん、スマホの充電にも活躍 ... 続きを見る
防災グッズに必須!電池の備え方~どの電池をどれくらい、どう備蓄する?
乾電池式充電器の中には、非常時のライトとして使える機能が備わったものもあります。
さらに、電源プラグの付いているタイプであれば、乾電池とプラグどちらでも充電することができます。
乾電池がなくなってしまった時にも、充電スポットで充電器として使えるので重宝するでしょう。
意外と見落としがちなのが、乾電池のサイズや種類です。
アルカリ乾電池を使用するのが一般的ですが、中にはリチウム乾電池やニッケル水素電池を使用するものもあります。
サイズも、単3使用や単4使用など商品により異なりますので、お手持ちの充電器に合った電池の種類・サイズのものを用意しましょう。
pick up!
こちらの記事では、スタッフが自宅で使用電池の種類と数をチェックした結果をご報告しています。
チェックリストもダウンロードできますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
乾電池式充電器を使うなら、電池選びが肝心!
(Panasonic 乾電池式モバイルバッテリー BH-BZ40K/公式サイト)
先程ご紹介した電池の特集記事で、実際に検証した乾電池式充電器がこちらです。
ケーブルは自分で用意する必要がありましたが、乾電池の残量が少なくなると、ランプで知らせてくれるので便利!
付属のアルカリ乾電池で2,500mAhのスマホを充電してみた結果、5時間かかって74%まで充電したところで電池切れになりました。
いっぽう、リチウム乾電池で同様の検証をしてみると、3時間で100%まで充電でき、電池はそのままでさらに40%充電できたという結果に。
充電器そのものよりも、乾電池の性能にかなり左右されることがよくわかります。
詳しい検証結果は、電池特集記事の「災害時に一番気になる、スマホの充電もテスト!」の部分をご覧ください。
販売価格:1,745円(2023年3月現在)
手回し充電器
point
- 持ち運びのしやすさ:○
- 充電容量の大きさ:×
- 充電の速度:×
- 長期間使えるかどうか:○
ずっと使える充電器、と考えて手回し充電器の購入を検討している方も多いでしょう。
ですが、手回し充電器を購入する場合には十分に製品の機能や口コミを調べることをおすすめします。
手回し充電器の場合、価格の安いものは大抵充電機能がとても低い傾向にあります。
本来はラジオやライトのための機器に、おまけ程度に充電機能を足したものが多いのです。
口コミを見て、充電器としての使い勝手をチェックしましょう。
手回し式充電器のメリットは、どんな環境でも充電ができることです。
ほかの機器は、あらかじめの充電や乾電池等の備蓄が必要になりますが、手回し式であれば停電が続いても、物品が尽きても発電が可能です。
被災生活や停電が長引いた場合に、あると便利ですね。
コンパクトなサイズのものもあるので、持ち運びにも適していると言えます。
デメリットは、発電に体力と時間が必要なことです。
1秒間に2回手回しするのを1分間繰り返すと、1分間の会話分の発電ができるもの、5分間の手回しを繰り返すと、3分間の会話分の発電ができるもの…など、製品により必要な手回しの時間は異なりますが、大抵は使う時間と同程度かそれ以上の時間の手回しが必要になります。
使ってみるとわかりますが、5分間一定のリズムで手回しをすると、結構体力と気力を消耗します。
さらに、手回しをしている最中はモーター音のような独特の音がします。
避難所にいる場合、周りの方への影響を考えて使うのをためらってしまうかもしれません。
充電式充電器等が使えなくなった場合の、最終手段として持っていても良いかもしれません。
後日談:手回し充電5分間試した結果→おすすめしません!(2020.8 追記)
スタッフが5分間手回し充電してみました!
試したのはラジオとライト兼用の多機能手回し充電器なのですが、ハンドルが小さく、指先でつまんで回す形になるのがかなり辛いです。
ハンドルを回すにも予想外に力が必要で、指先と手のひらに集中的に負荷がかかります。普段あまり力を入れない場所なので、終わった後もしばらく手が震えてました。
また、単調な作業を5分間というのは想像以上に長く、子どもは即飽きそうです。子連れママには向かないですね…やはり最終手段、という印象です。
もし手回し充電器を備えるのであれば、グーで握れるくらいの大きめのハンドルのものを選んでください!
こちらで2分程度のダイジェスト版動画を公開しています。(※動画は音が出ます)
実際どのくらい音が響くのか、そしてどのくらい体力を奪われるのか、ぜひ確認してみてください!
こちらの充電器は手回しだけではなく、USBからの充電も可能になっているのが助かるポイント。
あらかじめ充電しておき、それでも使い切ってしまったときに手回しを使うことをおすすめします!
販売価格:4,800円(2023年3月現在)
※編集部では、防災セットに付属していたものを使用しました。
ソーラー式充電器
point
- 持ち運びのしやすさ:○
- 充電容量の大きさ:×
- 充電の速度:×
- 長期間使えるかどうか:○
ソーラー式充電器のメリットとデメリットは、手回し式充電器と似ています。
充電容量や充電速度に関しては劣るものの、どこでも充電できるのがメリットです。
こちらも停電が長く続いたときに頼れるアイテム。
ポータブル電源▲とのセット使いもおすすめです。
ソーラー式充電器が抱えるデメリットとしては、晴れている日しか充電ができないということでしょう。
また充電している最中は、その場から離れることができないという点もあります。
途中で雨が降ってくると故障してしまいますし、盗難にあわないためにも、常に見張っている必要があります。
フル充電するまでも時間がかかるので、そのような不便さがストレスとなるかもしれません。
ソーラーパネルで充電するときは、スマホの場所にも注意!
スマホはもちろん、モバイルバッテリーやポータブル電源にも充電可能です。
晴れた日にテスト使用してみたところ、以前使っていたスマホ(iPhone6)が約3.5時間でフル充電できました!
また、実際に使ってみると、パネルの近くに置いていたスマホが高温になって焦るという事態に。
途中からお弁当用の保冷バッグに入れることで事なきを得ましたが、使ってみないと意外と気づけないポイントでした。
先日、思い切ってモバイルソーラーパネル☀️を購入しました!さっそく古いスマホを充電してみたところ約3時間半で充電0%→100%に🔋✨
途中スマホが高温になりすぎて焦りましたが、お弁当用の保冷バッグに入れることで回避👍当然といえば当然なのですが、使ってみないと気づけませんね💦 #いつもしも pic.twitter.com/6P6z4nkvmM
— いつもしも◇子どもとママの防災 (@itumosimo) September 13, 2021
販売価格:33,000円(2023年3月現在)
マグネ式充電器
point
- 持ち運びのしやすさ:△
- 充電容量の大きさ:○
- 充電の速度:○
- 長期間使えるかどうか:△
2020年4月現在、マグネ式充電器は
の二種類が発売されています。
ケースに水を入れることで発電が行なわれ、スマホの充電を行なうことができるという画期的な製品です。
「アクアチャージ」の場合、コップ1杯の水があれば発電が可能なので、停電が長く続いたときや充電スポットに長蛇の列ができている時も、いつでも充電することができます。
開封前であれば5年間の保存が可能なため、5年分の安心を買うことができると言えます。
11,000mAhの大容量なので、スマホ2台をフル充電することができます。
充電スピードは家庭用コンセントと同様でスピーディーです。
デメリットは箱型で、10.5cm×9.5cm×10.4cmなので持ち運びが少し不便なことと、繰り返しの使用はできないことです。
「マグネ充電器」の場合、塩と水とマグネシウム棒を入れることで発電が可能になります。
マグネシウム棒は使い捨てですが、マグネシウム棒4本があればスマホの充電が約10回相当できるので、被災時の備えとしては十分と言えるでしょう。
保存期間は10年以上で、なんとランタンとしても使えます。
水筒型でコンパクトで、重さも約415gと軽量なのがメリットです。
デメリットは発電に2リットルの水が必要な点ですが、どのような状況でも発電できる、という安心感を考えると、ひとつ持っておきたい商品ですね。
シガーソケット式充電器
point
- 持ち運びのしやすさ:×
- 充電容量の大きさ:○
- 充電の速度:×
- 長期間使えるかどうか:△
車のシガーソケットに差し込める充電器を用意しておけば、車が手元にあれば常に充電が可能です。
デメリットは、車のガソリンを使ってしまうことです。
充電速度はあまり速くないため、無駄にガソリンを使ってしまうかもしれません。
ACコンセント装備の車にも注目
シガーソケットから充電できる充電器は、10A(120Wh程度)を超える使用ができず、スマホの充電のみなら良いですが、使用できる家電に限界があります。
そこで今注目されているのが、「ACコンセント装備車」です。
ACコンセント装備車には車内にACコンセント口が付いており、しかも最大1,500Whまで使用が可能なのです。
1,500Whは電子レンジ、冷蔵庫、ドライヤーなども使用できるWh数です。(商品によります)
中には、ガソリンがなくなるまで平均で7日間家庭用充電を行なうことができるという車もあります。
車が非常用の宿泊に、移動に、そして非常用電源としても活躍するのです。
今後さらに需要が増え、改良が進む分野ですので、引き続き注目したいと思います。
【関連】車で移動中に被災したら?
発電機
point
- 持ち運びのしやすさ:×
- 充電容量の大きさ:◎
- 充電の速度:○
- 長期間使えるかどうか:○
確実な安心が欲しいという方には、発電機がおすすめです。
ひもを引っ張る程度の操作のみで発電できるので、女性でも発電が可能です。
発電機が家に一台あれば、停電が数日間続いたとしてもある程度通常の生活を送ることができます。
特にお子さんやお年寄りがいて、体温調節のための家電を使いたいという場合に重宝するでしょう。
電気毛布や扇風機が使えるならば、体力がなく被災時に体調を崩しやすい方も安心できます。
また家族が多い場合にスマホの充電、パソコン作業、電気ポットや電子レンジを使っての非常食の調理など大量に電気が必要な場合も、しっかり対応してくれます。
発電機は燃料さえ確保できればずっと使えるので、とても頼りになります。
一般的に発電機の燃料はガソリンです。
自動車、バイク等の燃料を使えるものもあるので、災害時に自動車に入っていたガソリンを使用することができます。
notice
ただし、これは自動車と同様に排気ガスが出るという意味にもなります。一酸化炭素による中毒死のおそれがあり、非常に危険ですので、室内では絶対に利用しないよう注意しましょう。(※5)
避難中の女性死亡 自家発電機による一酸化炭素中毒か 鹿児島
台風に備え親族の家に避難していた90代の女性が死亡しました。室内には自家発電機が置かれ、警察は一酸化炭素中毒の可能性もあるとみています。
経産省など「室内や換気の悪い場所で自家発電機を使わないで」https://t.co/cS3hNkvW8F— NHK生活・防災 (@nhk_seikatsu) September 8, 2020
その他にカセットボンベを使って発電するものもあります。
発電機は基本的に重量があり持ち運ぶのは難しいのですが、避難時に持っていくことを想定しているならば、カセットボンベ式のほうが便利でしょう。
燃料を入れても発電機自体の重さがあまり変わらず、持ち運びがしやすいです。
カセットボンベはガソリンと違い使用期限が長く、室内で長期間保管することができるので、もしもの時にガソリンがなくて発電機が使えない…なんて事もありません。
発電機を購入する際には、使用したい家電にあわせて種類を選ぶことが必要です。
スタンダードタイプの発電機は比較的安価で、出力も高いです。
しかし、パソコン等繊細な機械への充電には適さない場合が多いです。
発電機の電気は周波数や電圧の変動が多く、精密機器の充電を行なうと不具合が生じる可能性があるのです。
実際に、発電機で充電してパソコンが故障した…なんて話もあります。
それを避けることができるのが、インバーター式発電機です。
インバーターという周波数をコントロールできる装置が搭載されているので、一定の周波数の電流にて充電が可能になります。
point
ライトや扇風機などにしか使わないつもりであればスタンダードタイプでOKですが、パソコン等の精密機器への充電も考えている場合、インバーター式発電機を選んだほうが良いでしょう。
デメリットは持ち運びし辛いこと、使う場所を選ぶことです。
稼動音がかなり大きいので、人の集まる場所で使うと、周りの方に迷惑となってしまうかもしれません。
しかし、周りの方と分け合って使うのならば重宝されるでしょう。
自宅で避難生活を送ることを考えると、あると安心なアイテムです。
スマホは省エネモードにして節電も
ここまで、充電器の必要性やおすすめの種類をご紹介してきました。
充電器の用意が必須なのは言うまでもありませんが、同時にスマホ側でも電池の消費を抑える設定が必要です。
2018年6月の大阪北部地震の際、KDDIのアカウントで以下のようなバッテリー温存方法がツイートされました。
新潟、山形、石川における地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
夜遅い中、また一部停電など発生しているとのことで、情報収集や連絡手段の為にスマホのバッテリーをもたせる方法をまとめました。少しでもお役に立てば幸いです。
どうぞ身の安全を確保してください。 pic.twitter.com/8cr1rJS6Tv— kddipr (@kddipr) June 18, 2019
こちらを参考に、スマホ側でやるべきことを解説していきます。
事前にできること
まず、いまからでもやっておけることを確認しましょう。
緊急時に必要な連絡先をグループ化
ひとつ目は、スマホに登録している連絡先の中で、緊急時に連絡をとりたい人をまとめておくことです。
iPhoneでしたら、連絡先のグループ設定、または「よく使う項目」に登録します。Androidの場合は、グループもしくは「お気に入り」になります。
身内の連絡先のほか、家族の就業先、通園・通学先などを登録しておきましょう。
のちほど解説▼しますが、着信や通知を制限するときに、このグループ分けが活きてきます。
アプリの整理
ふたつ目は、定期的に不要なアプリを削除することです。
ほとんど使っていないアプリの通知や自動更新が負担となっている場合があります。
整理も兼ねて定期的に確認してみましょう。
内蔵バッテリーの状態を確認
みっつ目は、スマホの内蔵バッテリーの状態を確認しておくことです。
バッテリーは使用していくうちに劣化します。2~3年経つと、スマホの電池の減りが早いなと感じることが出てくるのではないでしょうか。
現在のバッテリーの状態は、自身のスマホで確認できます。
充電容量やバッテリー性能を確認し、新品時の80%を下回っているようでしたら、交換を検討しましょう。
交換費用はメーカーや機種にも拠りますが¥10,000以内で収まることが多いようです。保証期間内であれば無料でバッテリー交換が可能な場合もありますので、加入している保証の内容を確認してみてください。
発災後は通知を減らす
次に、もし災害が起こってしまった時にやるべきことを考えていきます。
ただし、何よりも、まずは命を守ることを優先してくださいね。身の安全が確保出来たら、例えば地震で揺れが収まったら、その後で以下の設定をしましょう。
- ディスプレイを暗くする
- 省エネモードにする
- 自身の無事を発信
- 通知制限をかける
ディスプレイの明るさ
まず、ディスプレイを暗くします。
実はディスプレイの消費電力は結構大きいので、これを最小限に押さえるところから始めましょう。自動調整になっている場合は、オフにしてください。
節電モード
次に、節電モードにします。
iPhoneの場合は「低電力モード」、Androidの場合は「省エネモード」「標準省電力モード」「バッテリーセーバー」など機種によって名称が違うようですが、消費電力を抑えるモードに切り替えができます。
この設定によって、
- メールの到着がプッシュ通知されなくなる
- アプリがバックグラウンド更新されなくなる
- 自動ロックまでの時間が短く設定される
などの制限がかかります。
電池残量が基準を下回ると、スマホ側からこの設定にするよう通知が来ますよね。
発災時に電池残量に余裕があっても、温存するために早めに手動で設定しておくと良いでしょう。
自身の無事を発信
発災後少し経過すると、それが大きな災害であればあるほど、家族はもとより友人知人に至るまで安否確認をし合いますよね。
各所からの連絡は、気持ちはありがたいけれどスマホのバッテリー消費を加速する要因の一つです。
災害の規模がわからず先行きが不透明な中、減っていく電池は不安を増長してしまいます。
対策として、SNSを利用しましょう。
SNSのアイコンに「無事です」と文言を入れるなど、一見して無事とわかるようにしておけば、個別のやりとりは極力避けることができます。
いつもしもでも、アイコン作成ツールを用意していますので、ぜひご利用ください♪
災害時のSNSに!「無事です」アイコンかんたん作成ツール
被災してしまったら、LINEやtwitter、facebookなどのSNSで心配のメッセージが送られてくることもあるでしょう。 とてもありがたいことですが、大量のメッセージが来れば、返信に時間がかかり ...
続きを見る
また、SNSでも独自に無事を知らせる手段が提供されています。
例えば、Facebookにはセーフティチェックという機能があり、タップするだけで閲覧者に無事が報告されます。(※4)
LINEにも「LINE安否確認」というツールがありますよ。
普段利用している、あるいは、被災時の連絡手段としているSNSの機能を確認してみてくださいね。
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通知制限
自身の安全を知らせたら、通知に制限をかけましょう。
iPhoneの場合は「おやすみモード」、Androidの場合は「通知の鳴動制限」という機能があります。
- 特定の連絡先からの着信のみ許可
- 特定の連絡先以外からの着信でも、短時間で複数回着信があったら緊急度が高いとみなして許可
など、細かく設定を選ぶことができます。
このとき、事前に緊急時に連絡をとりたい人をまとめておく▲と、1人1人ではなくグループとして一括で登録できて便利です。
通知制限は、設定も解除もタップひとつで簡単に実行できます。
基本的には制限をかけておいて、ほかの場所から連絡が来そうなときや特定の時間だけ解除する、など、状況に応じて設定してみてください。
通信しない/できないときは機内モードか電源オフ
家族全員の無事が確認できた場合、あるいは、圏外になってしまいインターネットが使えない状態になってしまった場合は、更に節電を強化します。
機内モードにする
機内モードは、飛行機の離陸時・着陸時などに電波を発信しない状態にするための設定です。
とはいえ、飛行機に乗らないときでももちろん使用は可能ですので、積極的に使っていきましょう。
機内モードは、以下を一括でオフにできます。
- キャリアによるデータ通信
- Wi-Fi
- Bluetooth
通信は使わないけど、音楽を聴いたり、写真を撮ったり見たり、アプリで遊びたい、などといったときにおすすめです。
Wi-FiやBluetoothは、機内モード設定後に個別に改めてオンにすることも可能です。
飛行機内でも、飛行が安定するとWi-Fiが使えるようになりますよね。
オンオフの切り替えは簡単にできるので、調べものをしたいときだけオンにする、など気軽に切り替えてみてください。
電源を切る
本格的に電池残量が危なくなった時や、手持無沙汰でついスマホを触ってしまう時などは、思い切って電源を切ってしまいましょう。
ただし、電源のオン/オフにも電力を使いますので、一度オフにしたらしばらくそのままにしておきましょう。
短時間で再起動するのであれば、電源をオフにするのではなく、スリープ状態のまま放置しておくことをおすすめします。
注意!機内モードでもアラームは鳴ってしまう
機内モードを設定し、これでひと安心♪と油断していたところに矢継ぎ早に届くリマインダーの通知!!…そんな経験ありませんか?私はあります。
機種によって異なるので一概には言えないのですが、登録済みのアラームやリマインダーの通知は、機内モードでも機能する可能性が高いです。
例えば避難所に移動したときなどは、早朝・夜間に不用意に鳴らしてしまわないよう、あらかじめ解除しておきましょう。
iPhone11で実験してみたところ、おやすみモードのとき、リマインダーアプリとiPhone標準アプリのリマインダーの通知は共に表示されるだけで鳴りませんでしたが、同じく標準アプリのアラームとタイマーはしっかり鳴りました。
まとめ
被災者の方へのアンケートからもわかるように、いま準備すべき必須防災グッズはスマホ充電器です。
総合的に考えておすすめは、持ち運びがしやすく繰り返し使える充電式充電器▲です。
しかし、停電が長く続くことを考えて、乾電池式充電器▲や、手回し式充電器▲も用意しておくと安心です。
種類 | 持ち 運び | 容量 | 充電 速度 | 長期間 停電時 |
---|---|---|---|---|
充電式 | ◎ | ○(※) | ◎ | △ |
充電式(大容量) | △ | ◎ | ○(※) | △ |
乾電池式 | ○ | × | × | ○ |
手回し | ○ | × | × | ○ |
ソーラー式 | ○ | × | × | ○ |
マグネ式 | △ | ○ | ○ | △ |
シガーソケット式 | × | ○ | × | △ |
発電機 | × | ◎ | ○ | ○ |
※商品による
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充電式充電器を普段から持ち歩き、大容量のものや重さのあるものを非常持ち出し袋に入れる、というように分けることでも、日常から災害に備えることができます。
「なくて困った!」とならないように、自分と家族のスマホ充電器を用意しておきましょう。
そして、もしもの時には、スマホ側でも節電の設定をして、ライフラインであるスマホを少しでも長くキープしましょう。