近年、台風や豪雨による風水害が増加しています。
ニュースを見て「備えなきゃ!」と思っても、具体的にどんなことをすればいいのか迷ってしまいますよね。
時間がかかりそうだから…と後回しにしているうちに、住んでいる地域に台風直撃の予報が出たら…?
2019年の台風19号直前、各地のスーパーやホームセンターでパニック買いが発生したことが記憶に新しい方も多いでしょう。
急いで防災グッズや非常食を備えようと思っても、すでにお店に人が殺到しているかもしれません。
いざ直撃予報が出ても落ち着いて備えられるよう、今からはじめられる防災対策をまとめました。
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この記事の目次
台風に備える!今からはじめる防災の4ステップ
台風はだいたいの進路が事前にわかりますが、予報が出たあとの猶予は数日しかありませんし、お店や業者も混雑します。
いざというときに困らないために、普段から防災を心がけておくことが大切です。
さらに、台風の直前にも、窓ガラスの補強や浸水防止など、状況に応じた対策が必要になってきますよね。
このように、台風への備えは段階別に分けて考えるとわかりやすいでしょう。
- 普段の備え
通年の基本的な防災。地震などと共通 - シーズン前の見直し
備えを夏仕様にするとともに、家の設備を早めに点検 - 予報が出てからの対策
窓やトイレ、バッテリーなどの緊急対策 - 台風通過後の二次災害・三次災害を防ぐ
片付け時のケガや感染症対策
各段階でするべきことについて、詳しく見ていきましょう!
台風にも地震にも備える、きほんの防災
防災といえば、まず大地震を想定する人も多いでしょう。
地震への備えのほとんどは、台風の備えに転用できます。
2020年、新型コロナウイルス感染症関連で買い占めが起きた際も、防災用の備蓄が役立ったという声が多く聞かれました。
まずは、さまざまな災害に対応できる基本的な備えをご紹介します。
防災グッズを揃える
自宅付近で河川の氾濫や土砂災害のリスクがある場合、防災リュックと避難用の身支度は最優先で整えておきましょう。
雨の中での子連れ避難は簡単なことではないですし、特に土砂災害のリスクがある場合はスピードが重要ですので、できるだけ荷物を軽くすることがポイントです。
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また、水害のリスクが低い地域でも、停電や断水が長引いたり、物流が滞るケースも。
当面の不便な生活を乗り切るための備蓄も必要です。
量の目安としては、1週間分程度になります。
どちらのリストもかなり大量に感じられますが、よく見ると普段から使っているものや、100均などで気軽に買えるものも多いですよ。
防災グッズをこれから揃えるという方は、ぜひこちらの記事もご参照ください。
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memo
上記は家に置いておく用のグッズですが、車にも備えがあると安心です。
中でも浸水時に窓から脱出できるウインドウクラッシャーはマスト!
防災グッズや非常食(高温に強いもの)を積んでおいてもいいですね。
1週間分の非常食を備える
非常食は、最低限3日分~できれば1週間分、家族全員の食事を備えておきます。
台風前にはよくカップ麺や菓子パンが売り切れますが、手軽さだけではなく、栄養面も重視したいところ。
最近の非常食は多様化していますので、家族の年齢や好みに合ったものをバランスよく選びましょう。
何をどれだけ買えばいいかわからない方は、電気・ガスを使わないという条件で1週間分の献立を考えてみるとわかりやすいですよ。
非常食の基本はこちらの記事で解説しています。
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食べ物や日用品はローリングストックが◎
長期保存用の非常食だけではなく、いつものごはんも立派な防災食に。
常温保存できるものや賞味期限の長いもの、家族の好物などは、切らさないように備蓄しておきましょう。
ローリングストックなら、生活の延長で気軽に備蓄することができます。
いつもの分+1週間分の食材をすべて管理するのは大変なので、非常食と組み合わせて備えるのがおすすめです。
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災害時は食べ物だけではなく、日用品の流通も滞ります。
トイレットペーパーやウェットティッシュなど、ないと困る日用品も同様にストックが必要です。
特におむつなどの赤ちゃん用品は支援が遅れがちで、届いてもぴったりのサイズやメーカーのものがないこともありますので、余裕をもって備えておきましょう。
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危険な場所や避難経路を確認
モノだけではなく、情報の備えも大切です。
住んでいる地域のハザードマップを確認し、避難所まで安全に行ける道のりを書き込んでおきましょう。
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経験者の声からイメトレ
情報の備えのひとつとして、被災経験のある人や、台風がよく来る地域の人のエピソードを調べてみるのも有効です。
公的な情報だけでは得られない、リアルな失敗や細かいノウハウを学ぶことができますよ。
あくまで個人の体験・意見であることに留意しつつ、自分で応用できそうな知識をインプットしておきましょう。
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防災は季節ごとに見直しを!台風シーズンのチェックポイント
防災は備えて終わりではなく、定期的に見直すことが大切です。
3月11日と9月1日(防災の日)に見直すようにすると、ちょうど半年に一度になり、各種メディアで防災特集が増えるので忘れにくいです。
さらに6月~7月にも、台風や暑さ対策を意識した「プチ見直し」をするのがおすすめ!
余裕があれば、下記の全体的な見直しもしておきます。(タップで画像が開きます)
防災グッズと備蓄も夏仕様に衣替え
防災リュックには、通気性の良い着替えやタオルを増やしたり、ハンディ扇風機などの暑さ対策グッズを追加しましょう。
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冬用の防災グッズが入っていれば取り出しておきます(季節ものはあらかじめ袋にまとめておくと作業がラクです)。
備蓄には、熱中症対策になる食材や飲み物を追加してもいいですね。
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2019年の台風19号直前には、窓を補強するための養生テープやガムテープが各所で品切れになる事態も発生しました。
避難生活で使うグッズだけではなく、家を守るためのグッズも忘れず確認しておきましょう。
家と周辺の設備をチェック
台風直前になると修理業者が混み合うおそれがありますので、シーズンになった時点で早めに家を点検しておくのがおすすめです。
具体的には、以下のような箇所をチェックします。
- 雨漏り
- 窓ガラスのヒビや欠け
- ドアの隙間
- 排水口や側溝の詰まり
- 屋根の破損
- ガレージの隙間・破損
- 固定されていない室外機やガスボンベ
ヒビや破損が見つかったら、早めに修理業者に依頼しておきましょう。
室外機やプロパンのガスボンベは、ワイヤーやチェーンなどで固定しておきます。
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避難のシミュレーションをしておく
子どもの成長や家族の状況変化によって、前の年と適切な対応方法が違っているかもしれません。
どこに・どう避難するのか、何を持っていくのかなど、あらためて考えておきましょう。
2020年以降は、新型コロナウイルス対策として分散避難も推奨されています。
コロナ対策だけではなく、赤ちゃんや小さなお子さんを避難所に連れて行くのが心配なママにとっても、ぜひ検討したい選択肢です。
親戚・知人宅やホテルなど、一時的に身を寄せられる場所の見当もつけておきましょう。
さらに詳しく
台風が近づいたらやっておくべき防災対策
備えは万全。そしていざ、自分の住んでいる地域に台風直撃の予報が出たら?
防災グッズや備蓄の用意が十分でも、暴風雨に備えてやっておくべきタスクがいくつかあります。
以下の記事で詳しく解説していますが、ここでもダイジェストでご紹介します。
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大雨・暴風への対策
風雨から家を守るため、以下の対策をおこないます。
- 窓ガラスの補強(ダンボールなど)
- ドアのすきまを塞ぐ(土のう・水のう・タオルなど)
- 雨どい、側溝、ベランダの排水口などの掃除
- 外に置いているものをしまう
- しまえないものはしっかり固定
- 車は避難orフロントガラスが壁に向くように停める
- ガレージに土のう・水のうを設置
- 1階のトイレ・風呂場に水のうを設置
水のうは、二重のゴミ袋に水道水を入れた簡易的なものでも十分です。
すべてのトイレに設置した場合、その間は必然的に簡易トイレで用を足すことになりますから、できれば避けたいですよね…。
ただ、トイレから「ボコボコ」と水音がしたときは逆流してくる可能性がありますので、そのときは思い切って設置してしまいましょう。
停電・断水への対策
直接的な被害がなくても、停電や断水によって不便な生活を強いられることがあります。
家の備えとあわせて、以下のような対策も必要です。
- 各部屋・廊下に明かりを設置
- スマホや充電式家電、バッテリーなどをフル充電
- スマホを節電設定にする
- ラジオをリビングに置いておく
- 容器や鍋、浴槽に水をためておく
- 家族全員入浴しておく
- 保冷剤やペットボトルを凍らせる
- 必要に応じて炊飯やお湯の用意をしておく
- 持病のある子は受診しておく
停電や断水は、長期化する可能性もあります。
2019年の台風15号では、千葉県で約2週間もの長期停電が発生しました。
防災グッズを揃えていればある程度乗り切ることはできますが、不安な方は、家電にも使える大容量のバッテリーを備えておくと安心です。
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当日、すぐに避難できる準備
台風直撃の当日は、警報や避難指示の発令をすぐにキャッチできるよう気を配りましょう。
避難に時間がかかる小さな子も、「高齢者等」に含まれます。
つまり警戒レベル3で避難しますので、遅くとも警戒レベル2が発令された時点で準備をします。
ただし、一段階ずつ順番に発令されるとは限りません。警戒レベルにかかわらず、不安を感じたら早めに避難することをおすすめします。
- 防災リュックを出しておく
- レインコート、ヘルメットなどの身支度を整える
- ブレーカーを落とし、ガスの元栓を閉める
- 戸締まりをする
なお、全員避難とは「絶対に避難所に行く」という意味ではありません。「危険な場所から絶対に離れて安全を確保する」と考えてください。
避難指示が発令された地域でも、自宅付近で水害や土砂災害の危険がないのであれば、必ずしも地域の避難所に行く必要はありません。
また、すでに水が大人のふくらはぎまで迫っていたり、日が落ちて真っ暗になっている場合、子連れで外に出るのは逆に危険になることも。
もしそうなってしまったら無理をせず、建物の上階に垂直避難しましょう。
避難する場合は、次のことに気をつけてください。
- 傘はささずに、杖として使う
- 長靴よりもスニーカー(できれば厚底)
- 忘れずに頭を保護(ヘルメットがなければ、自転車用ヘルメットや厚手の帽子を着用)
- ベビーカーは置いていく
- 子どもとしっかり手をつなぐ
- 道の真ん中を歩く
詳しい注意点はこちらの記事にまとめていますので、もし避難する可能性が高い場合は事前に読んでおくことをおすすめします。
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もし台風の被災者になったら?いま知っておきたいこと
台風が過ぎ去ったあとも、生活は続いていきます。
避難所から家に戻り、荒れた自宅を見て途方に暮れてしまうかもしれません。
慣れない状況では判断力が鈍るため、知らず知らずのうちに危険をおかしてしまったり、受けられる支援をスルーしてしまう可能性もあります。
そうならないために、事前にざっくりと知識をつけておくことをおすすめします。
受けられる支援は活用しよう
自宅に帰って安全の確認が取れたら、一刻も早くもとの生活に戻りたくなるでしょう。
ですが、まずするべきことは、家の内外の写真撮影です。
役所に罹災証明書を請求する際、被害の程度を決める参考になりますので、必ず片付けの前に撮る必要があるのです。
罹災証明書を取得することで、さまざまな公的支援や保険の申請ができるようになります。
金銭的な支援はもちろん、子どもの学用品などの給与もありますので、受けられる支援は遠慮せず活用しましょう。
被災後の支援については、こちらの記事でまとめています。
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子どもに片付けをさせないで!大人も十分な準備が必要
水害後の片付けは、ケガや感染症の危険をともないます。
猫の手も借りたくなる状況ですが、些細なケガから感染症につながる可能性がありますので、子どもには手伝わせないようにしましょう。
大人でも、防塵マスクにゴム手袋・長靴など、厳重な装備で臨む必要があります。
家族や身内だけでは非常に困難な作業になりますので、ボランティアや行政の手を借りつつ、無理なく進めていきましょう。
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水害後の掃除ポイントは「しっかり身支度」と「自分たちだけで抱え込まない」こと!
台風や大雨、ゲリラ豪雨、津波などによる水害後の掃除・片づけは、想像以上に大変です。 台風への備えをしっかりしていても、浸水などの被害自体をなくすことは難しいものです。 水害直後は、水道機能が麻痺してい ...
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まとめ:防災はムダにならない!台風を正しく恐れて備えよう
台風による災害は、事前に発生情報があるとはいえ、たった数日で十分に備えることはできません。
必要なのは日々の備えと、その場の判断力です。
「大げさだ」「なんとかなる」なんて声が聞こえてくるかもしれませんが、気にする必要はナシ!
私達が住むのは災害大国日本。たとえ台風が来なくても、その備えは今後も活きます。
空振り上等でしっかり備えて、大切な家族を守りましょう。