猫も大事な家族の一員。もしものときには、一緒に避難することが推奨されています。
とはいえ、本当に猫を連れて避難所に行けるのか、避難所では何が必要になるのか、不安な飼い主さんも多いのではないでしょうか。
また、自宅で過ごせる場合でも、どんな防災グッズや備蓄があれば安心できるのか気になりますよね。
この記事では、猫と暮らす防災士の私が必要な備えを解説するとともに、実際に備えている防災グッズをご紹介していきます。
▼結論から知りたい方はこちら
この記事の目次
まずは猫の避難事情を把握しておこう
ただでさえ環境の変化に弱い猫。さらに、避難所はペットのための備蓄や環境が整っていないことがほとんどです。
基本的には、自宅が無事なら在宅避難で過ごすのが理想ですね。
とはいえ、災害はいつどれほどの被害が起きるかわからないもの。
避難所を利用せざるを得ない状況になったときのことは、誰でも考えておく必要があります。
東日本大震災以降、「ペットは同行避難」という考え方が浸透しつつありますが、実際のところ、どの避難所でも猫を連れて行けるというわけではありません。
一緒に避難できるかどうかは、自治体や各避難所の方針によって異なります。
自分が利用する可能性のある避難所について、同行避難が可能かどうかを必ず確かめておきましょう。
なお、同行避難とよく似た言葉に「同伴避難」があります。
大雑把に説明すると…
- 同行避難:避難所まで一緒に行くこと
- 同伴避難:避難所の同じスペースで生活すること
という意味で、状況的にはかなり違いがあります。
「同行避難」が可能な避難所であっても、基本的に人とペットのスペースは別で、通いながらお世話する形になる、ということです。
猫と同じ部屋で過ごせる「同伴避難」が可能な避難所は、まだまだ少ないのが現状です。
どちらにせよ、避難所生活では当番があったり、家の片付けに戻ったりと、多くのタスクをこなさなくてはなりません。
離れていても、お互いに安心して過ごせるような備えをしておく必要がありますね。
動物の被災事情や過去の事例については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
ペットのためにいま何をする?揃えるべき防災グッズと避難の心得
普段からしておきたい、猫のための防災対策
上記のような「避難所に行くか問題」が重すぎてつい目が行ってしまいますが、どちらにせよ、室内飼いの猫が最初に被災するのは自宅内です。
まずは、備蓄や地震対策、情報の整理など、お家で安心して過ごすために必要なことをまとめました。
備蓄の基本は、いつも使っているもののローリングストック
まずはモノの備えについてご紹介します。
猫のための備蓄のポイントは、とにかくいつも食べている/使っているものを切らさないこと!
先ほども軽く触れましたが、基本的にペットのための支援は遅れがちです。
物資の支援を受けられたとしても、その子に合ったフードやお世話グッズがすぐに手に入るとは限りません。
猫がいつも食べている(使っている)ものを、常に多めにストックしておきましょう。
量は、最低でも5日分、できれば7日分以上が目安です。
キャットフード・おやつ
賞味期限のあるフードやおやつは、「ローリングストック」で備えるのがおすすめ。
要は買い足しを早めにするだけなので、簡単に実践できます。
公式通販サイトやAmazonなどの定期注文を利用するのもおすすめですよ。
特に療法食などの特殊なフードは手に入りにくくなるため、余裕をもってストックしておきましょう。
常備薬
持病のある子は、かかりつけの動物病院に相談の上、薬も1週間分程度〜ストックしておきましょう。
トイレグッズ(猫砂/ペットシーツ/防臭袋/消臭スプレーなど)
トイレグッズは、使用期限が1年以上と長めだったり、特に定められていないものがほとんど。
もちろんローリングストックにしてもいいですし、防災用として分けて保管(スリーピングストック)しておくのもOKです。
ペットシーツは、人間の簡易トイレの代用にもなります。
猫砂も、非常時には人間のトイレに使えると言われていますよね。
ただ個人的には、人間には人間用のトイレの備えをおすすめします。
もちろん猫砂も使えないわけではないのですが、普段の保管場所を考えたとき、圧倒的に場所をとるからです。
猫砂もペットシーツも、あえて人間用に備えるよりは、「何もないときに使える豆知識」くらいに考えておいたほうが良いでしょう。
防臭袋については、トイレ処理以外にも何かと使えるので、普段使っていない人もぜひストックしておいてください。
ペット用ウェットティッシュ
断水してしまった場合、いつもよりウェットティッシュが活躍する機会が増えます。
ペット用ウェットティッシュは手に入りにくくなることが予想されるので、多めにストックしておきましょう。
この他にも、普段から欠かせない消耗品があるなら、もしものときも必要になるはず。
愛猫とのいつもの暮らしを振り返りながら、必要なものを整理していきましょう。
飲み水は必ず「軟水」を備蓄
命を守るために絶対に必要な飲み水。
人間用の水に加えて、猫用の水も忘れずに備蓄しておきましょう。
選ぶときに注意するのは、必ず「軟水」を選ぶことです。
memo
硬水か軟水かは、水に含まれるミネラルの量で決まります。
ミネラルの多い硬水は、腸や腎臓・膀胱などの不調につながりやすいので、猫の飲み水には不向きです。
猫に飲ませられる水だとしても、いつもと違う味になることは避けられないので、一度は試し飲みしてもらうことをおすすめします。
災害用の長期保存水である必要もありません。
実は、災害用の水が長期保存できるのは容器のおかげで、中身は普通のミネラルウォーターや水道水です。
成分に問題がなく、人間が飲むことでローリングストックしていけるなら、一般的なペットボトルの水の備えでも差し支えありません。
持病のある子や体が弱い子は、獣医さんに相談の上で備えることをおすすめします。
ケガ防止に欠かせない、家具の地震対策
モノ以外にも、必要な備えはあります。
猫と飼い主の命を守るために、家具や家電の地震対策はマスト。
思わぬ事故を防ぐため、家具の地震対策はしっかり行いましょう。
猫飼い特有のものとしては、ケージとキャットタワーが気になるところではないでしょうか。
ケージについては、一番安心なのは壁に固定してしまうことです。
専用のチェーンなどが付属している場合もありますが、特にない場合はオープンラック用の耐震器具を探してみてください。
3段タイプなど背が高いものなら、上に板を載せて、突っ張り式耐震器具を使うこともできますね。
キャスターつきのケージは、面倒でも毎回ロックをかけておきましょう。頻繁に動かさない場合は、受け皿(ストッパー)をセットしてもいいですね。
突っ張り型のキャットタワーは、定期的にネジが緩んでいないか確認し、締め直すようにします。
据え置き型の場合は、もともと下重心や滑り止めなどの工夫がされている商品が多いかと思いますが、気になるようであれば耐震マットを敷いても良いでしょう。素材との相性には注意してくださいね。
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地震のあと、パニックになった猫がどこかに隠れてしまい、なかなか見つからなかったという声もよく目にします。
日頃から、地震でものが落ちてこない場所にお気に入りの隠れ家を作っておいてあげると良いですよ。
夏は特に必須!停電対策グッズ
自動給餌器などを導入している方は、「留守番中に停電して、さらに家族が帰宅困難になったらどうなるか」をぜひ一度シミュレーションしてみてください。
もし長時間まったくフードが摂れなくなる可能性があるなら、何らかの対策をとる必要があるでしょう。
具体的には、
- 乾電池やバッテリーが使える機種への変更
- ポータブル電源の導入
- 緊急時にお世話を頼める人との交渉
などです。
また、自動化グッズを使っていない方も注意しておきたいのが、エアコンを使う季節、特に夏の停電です。
災害時も使える充電式のミニ扇風機が流行っていますが、猫の体の仕組みでは、人間ほど涼しく感じられません。
室温や体温を下げられる手段は、複数用意しておくことをおすすめします。
余った保冷剤や凍らせたペットボトルなどを冷凍庫にキープしておくほか、叩くとその場で冷えるタイプの冷却剤もあると安心です。
使う際は薄手のタオルなどにくるみ、誤食に注意しましょう。
熱中症予防としては、水のストックを増やしたり、アルミや大理石などのひんやりマットを使ってみるのもいいですね。
ハッカ油は使わないで!
マスクや服にスプレーして手軽に涼感を得られるハッカ油ですが、猫のいる環境で使うのはNG。
アロマなどのエッセンシャルオイル(精油)が猫に良くないと聞いたことがある方も多いと思いますが、ハッカ油もその一種です。
寒い季節には、普段から使っているブランケットやカイロなどの防寒グッズが活躍してくれるでしょう。
カセットコンロがあれば、お湯をわかして湯たんぽを作ることもできます。
特に気温が低くなる地域では、カセットガスストーブやUSB式の電気毛布などの備えもあると安心です。
ポータブル電源があれば、普段使っているヒーターなどを動かすこともできますね。
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キャリーやケージに慣れさせておく
猫の防災のためには、キャリーの備えは不可欠と言えるでしょう。
避難しなければいけない状況になったときは、急いでキャリーに入ってもらわなければいけません。
その後の避難所生活でも、基本的にはキャリーやケージの中で過ごしてもらうことになります。
キャリーやケージで過ごすことに慣れていれば、在宅避難の場合でも、猫の安全を守るために活躍してくれますよ。
たとえば地震直後の室内では、以下のような被害が考えられますよね。
- ガラスや陶器、小物が床に散乱する
- 家具が転倒・移動する
- 窓やドアが壊れる
猫が自由に歩き回るには、とても危険な状況なのは明らかです。
そんなとき、諸々の応急措置ができるまで、キャリーやケージの中で待っていてもらえると安心ですよね!
キャリーやケージが嫌いな猫も多いと思いますが、おやつなどを使いながら少しずつ慣らしていきましょう。
首輪やマイクロチップで迷子対策を
地震が起きると、猫がパニックを起こしたり、窓が割れてしまったりして、脱走のリスクが一気に高まります。
完全室内飼いの子も、迷子への備えはしておきましょう。
首輪をつけさせてくれる猫であれば、ぜひ飼い主の連絡先がわかるようにしてあげてください。
マイクロチップも動物病院で装着しておきましょう。
マイクロチップは首輪と違い、事故等で外れる心配がほぼないこと、読み取りさえできれば飼い主の住所や連絡先をすぐに特定できることが大きなメリットです。
装着したら、忘れずに飼い主の情報登録・更新をしてくださいね。
また、持ち歩きグッズの記事で、家族写真を防災ポーチや財布に入れておくことをおすすめしていますが、ぜひ猫と写ったものも用意してください。
外に出てしまった場合のことを考えると、アップよりも全身の柄や特徴がよくわかる写真がおすすめです。
スマホ内の写真でも兼用できますが、印刷したものが1枚あれば、バッテリーの節約になりますよ。
時間に余裕があるときに、迷子ポスターをあらかじめ作っておくのも備えのひとつです。
定期的なワクチン接種や寄生虫・ノミ・ダニ予防
避難先で不特定多数の動物と接することになった場合、お互いを守るために予防医療が必要です。
定期的な寄生虫予防薬やワクチン接種を忘れないようにしましょう。
避難所によっては、ワクチン接種済みの証明書を求められることもあるようです。
猫に関する情報の整理
予防薬とワクチンの話が出ましたが、家族はかかりつけの病院や持ち物、通院の時期などを把握できていますか?
飼い主にもしものことがあったときのために、大事な情報は抱え込まずに整理しておきましょう。
病歴や体質、食事の量、好きなフードなどを書面に残しておくと、やむを得ず他の人にお世話を頼むときにも役立ちます。
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また、これは災害時に限りませんが、外出中の飼い主に万一があったときのために、自宅に猫がいることを知らせるカードなどを携帯しておくのもおすすめです。
避難所以外の受け入れ先の確保
避難先は、公共の指定緊急避難所だけではありません。
水害の危険区域に指定されている場合は、早めに安全な場所のペットホテルに預けておく方法も考えられます。
他の動物が苦手な猫の場合は、知人・親戚の家などへの避難を検討しても良いでしょう。
過去の災害では、ペットのために車中泊を選択した被災者も多くいました。
自家用車に避難できそうな場合は、車の備えも整えておきましょう。
一緒に避難!猫仕様の防災リュックの中身
ここからは、猫と一緒に避難するための防災リュックについて、実際に我が家の備えを見直しながらご紹介していきます!
防災リュックは、緊急時にすぐ持ち出すための荷物です。
迅速に避難するために、中身は最小限に絞る必要があります。
避難が長期化した場合のみ必要なものについては、安全確認後に取りに戻ることも想定し、中身を厳選しましょう。
防災リュックの基本から知りたい方は、「急いで避難!その時絶対に必要なものは?防災グッズリスト」もあわせてご覧ください。
避難するのはこんな猫
- 1歳/メス/5kg/持病なし/完全室内飼い
- 家はハザードマップにかかっていない、新耐震基準の集合住宅
- 避難所までは徒歩7〜8分。同行避難OK、動物専用スペースあり
ペット用の防災セットってどうなの?
現状、ほとんどの防災セットは犬猫兼用のもので、自分の猫にとって必要な防災セットにしていくためには、相当カスタムする必要がありそうです。
猫用のセットもいくつか見つけましたが、フードをはじめ、結局は自分で足さなければいけないものが多い印象でした。
人間用の防災セットにも共通することですが、100均で買えるようなグッズも含まれていることもあります。
基本的には、使い慣れたものを中心に、自分で備えることをおすすめします。
命をつなぐ「フード・水・薬」
家の備えでも紹介しましたが、この3点は命をつなぐため絶対に必要になります。
フードは、最低でも2日分以上を入れましょう。
ジップロックなどに詰め替える場合は本来の賞味期限よりも短くなるので、早めに入れ替えるようにます。
フードや薬は他のもので代用しにくいので、リュックの容量&重量が許すなら、なるべく多めに備えた方が良いです。
においや扱いやすさの面からドライフードの方がおすすめですが、ウェットフードが必要な場合は、缶よりも軽くて捨てやすいパウチタイプがおすすめです。
水も最低2日分を目安に入れます。2Lよりも500mLのボトルが扱いやすいですよ。
薬を持ち出す必要がある場合は、防災リュックに入れっぱなしにしても大丈夫かどうか、かかりつけ医に確認しておきましょう。
処方が変わったら、忘れずにリュックの中身も入れ替えてくださいね。
入れっぱなしが難しい場合は、地震が起きても散らかりにくく、いざというときにすぐ持ち出せる場所に置いておくなどの工夫が必要です。
大好きなおやつ
ストレスで食欲がわかないときでも食べてくれるような、大好きなおやつもリュックに入れておきましょう。
ちゅ〜るなどのウェットタイプのおやつは、水分補給にもなるので一石二鳥です。
食器は100均でもOK
フードと水をあげるためのお皿も、両方忘れずに用意しておきましょう。
使い捨ての紙皿を利用するか、アルミやシリコンなどの軽いお皿を拭き取りながら使うことが考えられます。
どちらも100均で気軽に買えるので、立ち寄った際はぜひチェックしてみてください。
人間ならお皿にラップを敷いて使っても良いのですが、猫の場合は誤食のリスクがあるので、あまりおすすめしません。
折りたためる簡易トイレ
猫の非常用トイレは、専用のものがいくつか販売されています。
こちらは、後ほど紹介するポータブルケージ▼とセットで購入した猫壱の商品です。
見た目はただの箱ですが、小さくたためることと、中が防水仕様になっていることがポイントです。
デメリットは重さ。安定性があるとも言えますが、防災リュックに入れるにはなかなかのコストです。
このように既製品も完璧ではないので、簡易的に自作する選択肢もアリです。
空き箱や、100均の浅型折りたたみボックスなどにビニール袋をかければ簡易トイレになりますよ。
猫砂やペットシーツは使い慣れたものを
猫砂は使い慣れたものが理想ですが、リュックの容量や重さも考えて、持ち出せるものを検討しましょう。
我が家は普段システムトイレを使っているため、ペットシーツの上に直接いつもの猫砂を敷いて使おうと考えていました。
しかし、使用済みの砂を混ぜつつ実際に設置してみたところ、まったく使ってもらえませんでした。
シートもいつの間にかひっくり返され、不安が残る結果に…。
メーカー(猫壱)の公式ブログでは、100均のカゴを挟んでシステムトイレにする方法も紹介されていました。避難が長期化した場合は使えるかもしれません。
次に紙製の固まる砂も試してみましたが、やわらかい感触のせいか、今度はくつろぎスペースになってしまいました。(↓座ってゴロゴロ言ってます…)
2パターンの特徴をまとめてみると、こんな感じ。
システムトイレ用シート+猫砂
- メリット…消臭力が高い、避難が長期化した場合は比較的少量で済む、使い慣れている
- デメリット…重い、かさばる、本来の使い方が難しい
紙製の固まる猫砂
- メリット…圧倒的に軽い、短期使用ならかさばらない
- デメリット…避難が長期化した場合は量が必要、使い慣れていない
文字にするとシステムトイレもどきが圧倒的に良さそうに見えますが、防災リュック作りにおいて、重さと体積はかなり重要です。
リュックの容量や自分の体力と相談しながら決めましょう。
最低限に抑えたい場合は、新聞紙を細かく割いて敷く方法もありますよ。
我が家は2つの防災リュックがあるので、それぞれに紙砂といつもの砂を1回分ずつ入れ、紙砂から使っていくことにしました(ペットシーツは何かと使えるため、両方のリュックに入れています)。
スコップは持ち出さず、固まった砂は袋ごしに回収することを想定していますが、気になる方は予備の紙皿など、スコップ代わりになるものを用意してくださいね。
ツールナイフなどを持ちだせば、飲み終えたペットボトルやダンボールで工作もできます。
ハーネスとリードも必需品
避難所でケージやキャリーを開けてお世話するとき、脱走防止のために必須となるアイテムです。
必要になった場合は、外を歩かせてあげることもできます。
犬用のハーネスでは抜けられてしまうので、必ず猫用に作られたものを選んでください。
慣れないとなかなか歩けない子もいるため、首輪と同様、短時間から少しずつ練習しておきましょう。
衛生用品は人間と兼用もできる
猫が使える衛生グッズは、基本的に人間が使っても問題ありません。
リュックの容量を節約するために、兼用できるものは兼用してしまいましょう!
防臭袋
トイレの処理に使う防臭袋は、猫が1日にトイレに行く回数✕3日分以上を用意しましょう。
できれば、多めに用意しておくと何かと便利です。
ウェットフードのゴミや、人間の汗を拭いたタオルなど、においの出るもの全般の対策に使えますよ。
消臭スプレー
こちらも、トイレやゴミの消臭に使います。
よほどのトラブルがなければ数日で大量に使うことはないので、持ち運びやすいサイズのものがおすすめです。
ウェットティッシュ
食器やケージを拭くのに使えるよう、猫がなめても影響がないものを選びましょう。
人間用ウェットティッシュと兼用する場合は、アルコールやPG(プロピレングリコール)、香料などが含まれていないものを選んでください。
落ち着かせるための洗濯ネット
暴れたり怯えたりしてしまった猫を落ち着かせるために、洗濯ネットが役立ちます。
猫がすっぽり入れるサイズで、目が粗いものを選びましょう。
普段から通院などで洗濯ネットを使っているなら、いつものネットを、避難するときにすぐ出せる位置に置いておくだけでも備えになります。
その場合、地震のときに家具の転倒などで行方不明にならないように注意してくださいね。
バスタオルやブランケットは目隠しにも使える
猫や家のにおいがついたブランケットも、安心材料のひとつになります。
他の猫や人からの目隠しにもなるので、1枚あると便利ですね。
こちらも必ずしもリュックに入れる必要はなく、避難用キャリーにあらかじめ入れておくのもおすすめです。
ワクチン接種や持病などの情報はコンパクトに
他の猫や動物と共同生活をするにあたり、ワクチン接種の情報が必要になる可能性があります。
ペット保険に入っている場合は、さらに保険証も一緒にコピーをとっておきましょう。
保険証がないタイプの場合は、保険名と証券番号、問い合わせ用の電話番号などをメモしておきます。
ポータブルケージは本当に「小型・軽量」?
避難所の動物スペースであっても、ペットは基本的にキャリーやケージ等の中で過ごすことになります。
広めのケージはストレスの軽減につながるので、我が家では猫壱のポータブルケージ(前述の簡易トイレ▲とセットのもの)を購入してみました。
ただ、確かに「ケージとしては」とてもコンパクトなのですが、折りたたんでもなかなかの大きさと重さがあります。
公式には30cmx30cmx11cm、重量1214gとなっています。
リュックにも入らないので、場合によっては一度置いて避難し、あとから持ち出したほうが良さそうです。
その他、サブリュックに追加したグッズ
防災リュックは、一人につきひとつ用意する必要があります。
猫グッズを持ち出す必要があり、片方が外出していることの多い我が家では、私用/夫用ではなく、メイン/サブで分けることにしました。
発災直後から必要なもの(いわゆる1次の備え)はメインリュックに入れ、一人で被災した場合はこちらを優先的に持ち出します。
おもちゃなどの、すぐには使わないもの(2次の備え)はサブリュックに入れ、一人で被災した場合でも戻ったときにすぐ持ち出せるようにしました。
ブラシ・爪切り・歯ブラシなどのお世話グッズも、普段からまとめて収納し、サブリュックを使うときにサッと入れられるようにしています。
防災リュックの作り方は、地域や家族の事情によって異なります。
一緒に避難できそうな家族が多いお宅なら、猫グッズだけをまとめたバッグを作り、自分のリュックにプラスして持てる人が持つなど、別の分け方も考えられますよね。
家族の在宅時間や体力面なども考えて、ベストな荷造りを見つけてみてください。
1次・2次など、備えの段階について詳しく知りたい方は、「備えの基本!防災グッズを用意する前に最低限知っておきたいこと」もあわせてご覧ください。
実際に背負ってみた!猫と防災グッズをあわせた重さは?
猫を連れて避難するとき、気になるのが猫を含めた持ち物の重さです。
これまでさまざまな防災グッズをご紹介してきましたが、人間のためのグッズも含め、現実的に避難できる重さになっているのでしょうか?
実際に背負って確かめてみました!
人間用の防災グッズはこんな感じ
私の場合は、猫を迎える前に、大人一人での避難を想定した防災リュックを作っていました。
元々の中身の全リストはこちら。
こちらの内容は、いつもしもで配布している子連れ避難リュックのリストを参考に、大人一人での避難を想定してアレンジしたものです。
フルバージョンのリストはこちらの記事からダウンロードできます。
ここに猫グッズを追加していきます!
猫グッズと猫を追加した重さ
まだリュックには余裕があったので、猫グッズをそのまま詰めてみました。
こちらのリュックは無印良品の撥水リュック(容量20L)で、防災リュックとしては小さめ。
さすがにケージセットまでは入りませんでしたが、それ以外のグッズはちょうどよく収まるサイズ感でした!
そして肝心の重さですが、リュックが約5kg、ケージ+トイレの袋が約1.5kgで、合計約6.5kgという結果に。
女性が背負える重さは約10〜15kgと言われていますので、猫の体重(約5kg)を足しても余裕かな?と思っていたのですが…。
気分は終業式の小学生…。
ケージの袋は身につける用のものではないので仕方ないですが、これでは、火災や落下物に遭ったとき、すばやく対応できません。
さらに、我が家で使っているハードキャリーは手持ちしかできないタイプで、実は1.5kgありました。(猫を迎える前、丈夫さ最重視で買ったのでした…)
通院時もちょっと手が痛い…なんて思っていたので、これを機に軽い肩掛けのキャリーを買い足すことにしました。
身動きが取りやすいよう、構成を見直しました
これでキャリー問題は解決…と思いきや、想定外だったのが、手持ちタイプよりも猫の動きがダイレクトに体幹に影響してくること。
通院時はおとなしい我が家の猫ですが、それ以上の非常事態でも落ち着いていられるかどうかは何とも言えないところです。
夫婦ともに筋力・体力がないこともあり、ひとりで避難する場合や時間がない場合など、避難時の負担が大きいときは、ケージを一旦置いていくことに決めました。
最終的に、全体の重さはこんな感じにまとまりました!
ひとりで避難
メインリュック(5kg)+猫(5kg)+キャリー(0.5kg)=約10.5kg
ふたりで避難
メインリュック(5kg)+ケージセット(1.5kg)=約6.5kg
サブリュック(4kg)+猫(5kg)+キャリー(0.5kg)=約9.5kg
多頭飼いでの避難はどうする?
我が家の荷物はまとまりましたが、よく目にするお悩みとして「多頭飼いの場合はどう避難するのか?」という問題があります。
複数の猫を運べるカート型のキャリーも販売されていますが、それだけに頼ることはあまりおすすめしません。
赤ちゃんのベビーカーでの避難をおすすめしない理由と同じで、災害直後は道にがれきが散乱したり、道自体が破損して思うように動けない可能性があるからです。
もちろん、3匹以上の多頭飼いなどで使わざるを得ない状況もあるかと思いますが、進めなくなった場合の計画を考えておく必要があります。
まず考えられるのは、複数の避難ルートを見つけておくことですね。
また、カート型のキャリーの中でも、持ち手やショルダーベルトがついているものを選んだり、普通のキャリーを台車に乗せるような形を取れば、少しは柔軟に動けそうです。
なお、水害の場合は、雨が強くなる前に余裕をもって避難しておくことをおすすめします。
自宅がハザードマップで危険区域に指定されているのであれば、予報が出た段階で避難先を決め、具体的な準備をはじめてください。
遅くても、赤ちゃんやお年寄りなど要配慮者の避難目安と同じ「警戒レベル3」までには避難を完了できるようにしましょう。
さらに軽量化する方法
避難所で必要なものも、背負える重さも、ひとりひとり違います。
実際に作った荷物を背負ってみて、避難所まで行くのが難しそうであれば、軽量化を検討しましょう。
津波や土砂崩れの危険区域に住んでいる方は特に、避難時のスピードが大事です。
多頭飼いの方や、乳幼児〜小学生の子ども、お年寄りと一緒に避難する方も、できるだけ荷物を軽くしておく必要があります。
前述の「詰めて背負ってみた」記事に軽量化の方法もまとめていますので、グッズの入れ替えやカットを試してみてください。
これから防災リュックを作る場合は、自宅にあるものをメインに作る最低限ver.のリストも参考になりますよ!
助けて防災士!ゼロからはじめる防災リュックのつくりかた
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まとめ:猫のための防災グッズリスト
ここまでご紹介したグッズとタスクを、リストにまとめてみました。
普段から備蓄するもの
最低でも5日分、できれば1週間分以上をストックします。
- フード
- おやつ
- 水
- 薬
- トイレグッズ(猫砂、ペットシーツ、防臭袋など)
- ウェットティッシュ
- 消臭スプレー
- その他、いつもお世話で使っている消耗品
防災リュックに入れておくもの
最低でも2日分以上、可能な範囲でなるべく多めに持ち出します。
- フード
- おやつ
- 水
- 薬
- 食器(フード用+水用)
- 簡易トイレ(容器+猫砂になるもの)
- 防臭袋
- 消臭スプレー
- ハーネス、リード
- ウェットティッシュ
- 洗濯ネット
- ブランケットやバスタオルなど、居場所を覆えるもの
- 健康面や飼い主の連絡先などの情報
- (可能なら)ポータブルケージ
- その他、避難直後に猫が必要とするもの
普段からやっておくこと
- 家具の地震対策
- 避難所以外の受け入れ先の検討
- 避妊・去勢手術
- ワクチン接種
- ノミ・ダニ予防薬
- マイクロチップの装着
- 首輪に慣れさせる
- リード、ハーネスに慣れさせる
- キャリー、ケージに慣れさせる
猫の備えも人間の備えも、「なるべく日常に近い暮らしを続けられるようにすること」を目標に、使い慣れたものを中心に作るのが基本です。
こうして一覧にすると多く感じてしまいますが、大部分はすでに家にあるものや、100均・ドラッグストアなどの身近なお店で買えるもののはず。
100%の備えをすることはできなくても、日常でできる少しの工夫が猫の安全につながっていきます。
まずはいつものフードや日用品のローリングストックから、気軽に備えをはじめてみてください!